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金は米利下げ観測後退が圧迫
2024/2/13
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米CPIや小売売上高を確認
2月5日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けて売り優勢となった。中心限月となる4月限は2,061.3ドルで戻りを売られた。パウエル米FRB議長は4日に放送されたCBSニュースの番組「60ミニッツ」で、3月利下げを否定した。欧米の他の金融当局者も利下げに慎重な見方を示した。一方、中東の緊張の高まりや米地銀ショックが欧州に飛び火したことが下支えになったが、戻りは売られた。1月の米ISM非製造業総合指数は53.4と前月の50.5から上昇し、事前予想の52.0も上回った。新規受注の増加と雇用の回復で押し上げられた。昨年12月の米消費者物価指数(CPI)は前月比で0.3%上昇から0.2%上昇に下方改定されたが、米国債の利回り上昇が続き、金の圧迫要因になった。CMEのフェドウォッチで3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利据え置きが見込まれており、利下げ開始は5月とみられている。今週は1月の米CPIや米小売売上高の発表がある。
第4四半期決算で予想外の赤字と減配を発表した米地銀ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)について、米当局からの圧力が明らかとなり、株価は一段安となった。米格付け会社ムーディーズはNYCBの長期格付けを「Baa3」から投機的(ジャンク)等級の「Ba2」に引き下げた。イエレン米財務長官は、米商業用不動産市場の低迷によって、一部金融機関が一段のストレスにさらされ、損失が生じることが予想されるものの、金融規制当局はこうしたリスクに対処するため金融機関と連携しているという認識を示した。また米国の商業用不動産に対する懸念が欧州に飛び火し、ドイチェ・ファンドブリーフバンク(PBB)の社債が急落した。同行は引当金を積み増したと予定外の発表を行った。ドイツファンドブリーフ銀行協会(VDP)によると、オフィス不動産価格は昨年第4四半期に前年同期比13%下落し、市況の悪化が加速した。2023年は10%以上下落し、2003年の統計開始以降で最大となった。
イスラム組織ハマスは、エジプトやカタールなど4カ国が提示したパレスチナ自治区ガザにおける休戦案への回答として、135日間にわたる3段階の休戦を提案した。しかし、イスラエルのネタニヤフ首相は、ガザでの完全勝利は手の届くところにあると述べ、ハマスが提示した休戦案を拒否する姿勢を示した。イスラエル軍はガザ最南部のラファを爆撃した。同首相は9日、ラファから民間人を退避させると同時に同地域に残っているイスラム組織ハマスの戦闘部隊を壊滅させる計画を策定するよう軍に指示した。イスラエル軍は12日、ラファで特別部隊による作戦を実施し、人質2人を救出した。エジプトとの境界近くにあるラファにはガザ地区の人口の半数を超える100万人以上の避難民が集まっており、地上戦が開始されれば大惨事が懸念されている。一方、米軍は、イラクで親イラン勢力「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ)」の司令官を殺害したと発表した。米国防総省はヨルダンで米兵3人が死亡したドローン攻撃にカタイブ・ヒズボラが関与したとみている。
2月9日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比9.81トン減の841.92トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月6日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは16万1,738枚となり、前週の14万7,791枚から拡大した。今回は新規買いが9,401枚、買い戻しが4,546枚入って1万3,947枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは中国経済の先行き懸念や米利下げ観測後退が圧迫
ニューヨーク・プラチナ4月限は、中国経済の先行き懸念や米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けて売り優勢となり、昨年11月以来の安値873.3ドルを付けた。中国当局が相次いで株安対策を発表したが、中国恒大集団の清算命令で先行き懸念が残っている。中国当局は空売りを規制し、銀行に資金を供給した。中国政府系ファンドはETF(上場投信)保有を増やすとした。また証券監督管理委員会(証監会)の易会満主席を更迭し、元上海市党幹部の呉清氏を起用した。同氏は銀行業界のベテランで、2000年代半ばにトレーダーに対する締め付けを主導したことから「ブローカー殺し」の異名を取り、一段と強力な措置が講じられるとみられている。中国は10〜17日は春節休暇であり、連休明けの動きが待たれる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、7日のロンドンで12.12トン(前週末12.13トン)、9日のニューヨークで31.72トン(同31.72トン)、8日の南アで11.73トン(同11.79トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月6日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは9,534枚となり、前週の1万1,549枚から縮小した。
ニューヨーク金は米利下げ観測後退が圧迫
ニューヨーク金4月限は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けて売り優勢となり、1月25日以来の安値2,025.4ドルを付けた。ただ中長期の節目となる200日移動平均線(12日2,026.7ドル)を維持しており、テクニカル面で底堅い。CMEのフェドウォッチでは、3月の金利据え置きの確率が84.5%(前週85.0%)となっており、利下げ開始は5月との見方が強い。今週は1月の米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高の発表がある。
2月12日からの週の注目ポイント
12日 | 振替休日 | |
13日 | 中国・香港休場 | ☆ |
企業物価指数(1月) | ☆☆ | |
英雇用統計(1月) | ☆☆ | |
独ZEW景況感指数(2月) | ☆☆ | |
米消費者物価指数(1月) | ☆☆☆ | |
14日 | 中国休場 | ☆ |
英消費者物価指数(1月) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏国内総生産(10-12月期改定) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏鉱工業生産(12月) | ☆☆ | |
15日 | 中国休場 | ☆ |
国内総生産(10-12月期1次速報) | ☆☆☆ | |
英国内総生産(10-12月期速報) | ☆☆☆ | |
英鉱工業生産指数(12月) | ☆☆ | |
ユーロ圏貿易収支(12月) | ☆☆ | |
米小売売上高(1月) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米輸出入物価指数(1月) | ☆☆ | |
米鉱工業生産・設備稼働率(1月) | ☆☆☆ | |
米企業在庫(12月) | ☆☆ | |
対米証券投資(12月) | ☆☆ | |
16日 | 中国休場 | ☆ |
英小売売上高(1月) | ☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(1月) | ☆☆☆ | |
米生産者物価指数(1月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(2月速報) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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