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金は米FOMCの利下げ見通しで押し目を買われる
2023/12/18
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米FRBの利下げ開始時期を確認
12月11日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退が圧迫要因になったが、米連邦公開市場委員会(FOMC)で当局者が利下げ見通しを示したことをきっかけに急反発した。中心限月となる2月限は11月20日以来の安値1,987.9ドルを付けたのち、急反発し、2,062.9ドルまで戻した。中長期の節目となる200日移動平均線(15日2,008.6ドル)を一時的に割り込んだが、回復しており、テクニカル面で強気である。米FOMCで当局者は来年3回の利下げを予想しており、ドル安に振れると、金は堅調に推移するとみられる。
米連邦公開市場委員会(FOMC)で当局者が来年3回の利下げ見通しを示した。19人の政策担当者のうち17人が2024年末には政策金利が現在よりも低下するとの予想を示した。ただパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は会合後の記者会見で、予測はあらかじめ決められた計画ではないと強調した。11月の米消費者物価指数(CPI)は前年比3.1%上昇し、前月の3.2%から伸びが鈍化し、事前予想と一致した。米小売売上高は前月比0.3%増と事前予想の0.1%減から予想外に増加した。米鉱工業生産指数は同0.2%上昇し、前月の0.9%低下から全米自動車労働組合(UAW)のストライキ終結を受けて持ち直した。また12月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は51.0と前月の50.7から上昇し、5カ月ぶりの高水準となった。新規受注指数と雇用指数が上昇した。米経済のソフトランディング(軟着陸)期待が強い。CMEのフェドウォッチで、来年3月の米FOMCの利下げ確率が62.7%(前週43.2%)に上昇した。ただニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、金融当局の関心事はインフレ率を2%に下げるために十分に金融政策が景気抑制的かどうかであり、金利を3月にも引き下げることを考え始めるのは早過ぎると述べた。今後発表される経済指標と米金融当局者の発言を確認したい。
欧州中央銀行(ECB)理事会で、政策金利の据え置きを決定した。据え置きは2会合連続。ラガルドECB総裁は、インフレは近く回復するとし、物価圧力は依然として強いと強調し、利下げ観測を押し戻した。利下げは来年3月ではなく4月から始まり、計1.50%ポイント引き下げられるとの見方が織り込まれた。またイングランド銀行も政策金利を15年ぶり高水準となる5.25%に据え置き、金利が「長期にわたり」高止まりする必要があるとの認識を改めて示した。利下げが議論されることはなく、インフレが米国やユーロ圏よりも粘着性が高い可能性を引き続き懸念した。米ゴールドマン・サックスは、イングランド銀行が来年6月に利下げを開始すると予想した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しと対照的でドル安が続く可能性がある。ただ12月のユーロ圏のHCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は47.0と前月の47.6から予想外に低下した。事前予想は48.0。域内経済が景気後退に陥っていることはほぼ確実とみられる。
JPX金先限は10月18日以来の安値9,216円を付けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ見通しを受けてニューヨーク市場で急反発したが、金先限は円急伸に上値を抑えられた。円相場は7月31日以来の円高水準となる1ドル=140.90円を付けた。今週は日銀金融政策決定会合がある。早期の金融政策修正の見通しが示されると、円が引き続き買い戻される可能性がある。
12月15日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比0.86トン減の879.69トンとなった。利食い売りが出て875.65ドルまで減少したのち、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止見通しを受けて押し目を買われた。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月12日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは18万8,233枚となり、前週の20万3,544枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万5,304枚、新規売りが7枚出て、1万5,311枚買い越し幅を縮小した。
プラチナはレンジ上限を突破
ニューヨーク・プラチナ1月限は米経済のソフトランディング(軟着陸)期待を受けて堅調に推移すると、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げ見通しが示されたことや、ドル安を受けて一段高となり、9月5日以来の高値973.2ドルを付けた。中国の中央経済工作会議では産業政策が重視され、住宅部門の救済策は示されなかったことから、新たな景気刺激策を期待していた投資家の失望を招いたことは上値を抑える要因だが、上海プラチナの出来高が急増し、中国勢の買い意欲が強いことも上値を伸ばす要因となった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しを受けて高値での買いが続くかどうかを確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、13日のロンドンで12.30トン(前週末12.30トン)、15日のニューヨークで31.04トン(同31.04トン)、13日の南アで11.89トン(同11.98トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月12日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは7,709枚となり、前週の5,133枚から拡大した。
ニューヨーク金は米FOMCの利下げ見通しが支援
ニューヨーク金2月限は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退を受けて軟調となり、11月20日以来の安値1,987.9ドルを付けたのち、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げ見通しが示されたことをから急反発した。ただニューヨーク連銀総裁が早期利上げをけん制すると上げ一服となった。中長期の節目となる200日移動平均線(15日2,008.6ドル)を割り込んだが、押し目を買われた。来年の米FOMCで3回の利下げが予想されたことが支援要因である。ただ利下げ開始時期については過熱感も出ており、今後発表される経済指標を確認したい。
12月18日からの週の注目ポイント
18日 | 日銀金融政策決定会合1日目 | ☆☆ |
独ifo景況感指数(12月) | ☆☆ | |
19日 | 日銀政策金利発表 | ☆☆☆ |
ユーロ圏消費者物価指数(11月確報) | ☆☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(11月) | ☆☆☆ | |
20日 | 貿易収支(11月速報) | ☆☆ |
独生産者物価指数(11月) | ☆☆ | |
英消費者物価指数(11月) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏国際収支(10月) | ☆☆ | |
米経常収支(7-9月期) | ☆☆ | |
米消費者信頼感指数(12月) | ☆☆ | |
米中古住宅販売統計(11月) | ☆☆ | |
21日 | 米国内総生産(7-9月期確報) | ☆☆☆ |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(12月) | ☆☆ | |
22日 | 消費者物価指数(11月) | ☆☆☆ |
日銀金融政策決定会合議事要旨公表(10月30-31 | ☆☆ | |
英国内総生産(7-9月期確報) | ☆☆☆ | |
英小売売上高(11月) | ☆☆ | |
米個人所得・支出(11月) | ☆☆☆ | |
米耐久財受注(11月速報) | ☆☆ | |
米新築住宅販売(11月) | ☆☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(12月確報) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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