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金は米金融当局者の発言による利下げ期待で急伸
2023/12/4
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は中東情勢の行方も焦点
11月27日の週のニューヨーク金市場は、米金融当局者の発言で利下げ期待が高まったことを受けて急伸した。中心限月となる2月限は5月16日以来の高値2,095.7ドルを付けた。週明けの時間外取引では2,149.0ドルと一代高値を更新した。また現物相場は史上最高値2,139.05ドルを付けた。米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事はインフレ率が低下し続ければ、数カ月先に政策金利を引き下げる可能性を示唆した。一方、米サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、米FRBが利上げに終止符を打つかどうか「知るには時期尚早だ」と述べた。ただ10月の米個人消費支出(PCE)価格指数が前年比3.0%上昇と前月の3.4%上昇から伸びが鈍化し、2021年3月以来の低水準となった。米FRBの利上げ停止見通しに変わりはなかった。パウエル米FRB議長はスペルマン大学(ジョージア州アトランタ)での講演で、利上げが行き過ぎ必要以上に景気を減速させるリスクと、インフレ抑制のために十分な利上げを実施しないリスクは「より均衡している」と述べた。その上で、FRBが今後の金融政策決定において慎重であることを改めて確認した。10月までの6カ月間の主要インフレ指標が平均2.5%と、FRBが目標とする2%に近い水準であったことを指摘した。CMEのフェドウォッチで、来年3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げ確率が55.1%(前週21.0%)に高まった。今週は11月の米雇用統計の発表があり、労働市場に対する見方を確認したい。
11月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年比2.4%上昇と、前月の2.9%から低下した。事前予想の2.7%を大幅に下回った。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、ユーロ圏のインフレ圧力は予想通り緩和しているが、物価上昇との戦いはまだ終わっていないと述べた。賃金の伸びは依然として強く、先行きが不透明であるためとした。
イスラエルはイスラム組織ハマスとの戦闘を12月1日に再開した。ブリンケン米国務長官は、戦闘休止合意が「失効となったのは、ハマスが理由だ」と述べた。ハマスはエルサレムで「残忍なテロ攻撃を仕掛け」3人を殺害し、「人質解放の点で約束を守らなかった」と続けた。イスラエル政府は交渉チームをカタールから引き揚げ、イスラエル軍はガザ南部を空爆した。一方、米国防総省は紅海で米駆逐艦が攻撃されたことを発表した。イスラム教シーア派武装組織フーシ派は、「イスラエルの船2隻」に対して作戦を実行したとした。中東情勢の行方も焦点である。
12月1日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比3.46トン減の878.82トンとなった。米金融当局者のタカ派姿勢を受けて876.51トンまで減少したのち、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言で利下げ期待が高まったことを受けて投資資金が戻った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月28日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは20万0,084枚となり、前週の17万1,705枚から拡大した。今回は新規買いが2万0,144枚、買い戻しが8,235枚入り、2万8,379枚買い越し幅を拡大した。
プラチナはレンジ上限付近でもみ合い
ニューヨーク・プラチナ1月限は米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止見通しや金堅調を受けて買い優勢となり、9月19日以来の高値955.5ドルを付けた。その後は、ドル高一服に上値を抑えられたが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言で利下げ期待が高まると、押し目を買われた。9月19日の高値959.9ドルが目先の抵抗線である。中国の製造業購買担当者景況指数(PMI)が2カ月連続で節目となる50を下回ったことも上値を抑える要因である。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、30日のロンドンで11.78トン(前週末12.63トン)、1日のニューヨークで30.91トン(同30.91トン)、30日の南アで11.98トン(同11.38トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月28日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万0,034枚となり、前週の7,136枚から拡大した。
ニューヨーク金は米FRBの利上げ期待で急伸
ニューヨーク金2月限は、米金融当局者の発言を受けて利下げ期待が高まったことを受けて急伸し、5月16日以来の高値2,095.7ドルを付けた。週明けの時間外取引では2,149.0ドルと一代高値を更新した。ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事に続いてパウエル米FRB議長が金融政策決定に慎重姿勢を示し、利下げ期待が高まった。早ければ来年3月の利下げを織り込んだ。またイスラエルがイスラム組織ハマスとの戦闘を再開し、ガザ南部を空爆したことも支援要因である。ただRSIが買われ過ぎの水準に入っており、利食い売り主導の調整局面も警戒される。
12月4日からの週の注目ポイント
4日 | 独貿易収支(10月) | ☆☆ |
米耐久財受注(10月確報値) | ☆☆ | |
米製造業新規受注(10月) | ☆☆ | |
5日 | 中国財新サービス業購買担当者景況指数(11月) | ☆☆ |
オーストラリア準備銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(11月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏生産者物価指数(10月) | ☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(11月) | ☆☆☆ | |
6日 | 独製造業受注(10月) | ☆☆ |
ユーロ圏小売売上高(10月) | ☆☆ | |
ADP全米雇用報告(11月) | ☆☆ | |
米貿易収支(10月) | ☆☆ | |
カナダ銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
7日 | 中国貿易収支(11月) | ☆☆ |
独鉱工業生産指数(10月) | ☆☆ | |
ユーロ圏域内総生産(7-9月期確報) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米卸売在庫(10月確報値) | ☆ | |
8日 | 全世帯家計調査・消費支出(10月) | ☆☆ |
国内総生産(7-9月期2次速報) | ☆☆☆ | |
国際収支・経常収支(10月) | ☆☆ | |
独消費者物価指数(11月確報) | ☆☆ | |
米雇用統計(11月) | ☆☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(12月速報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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