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金は中東の紛争拡大抑制や米FRB議長のタカ派発言が圧迫
2023/11/13
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米CPIでインフレ動向を確認
11月6日の週のニューヨーク金市場は、中東の紛争拡大抑制を受けて手じまい売りが出たことや、パウエル米連邦準備理事会(FRB)のタカ派発言を受けて売り優勢となった。中心限月となる12月限は中長期の節目となる200日移動平均線(10日1,982.2ドル)を割り込み、10月18日以来の安値1,936.9ドルを付けた。イスラエル軍はガザ市を包囲し、市内で作戦を展開した。米ホワイトハウスは9日、イスラエルはガザ北部から民間人が避難できるよう、毎日4時間、戦闘を休止すると発表した。ただイスラエル軍は、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスに対する軍事作戦について、いかなる停戦にも同意していないとした。イスラエル軍は10日、ガザで病院3カ所などを空爆した。ハマスが司令部として使っていると主張している。レバノンの親イラン組織ヒズボラとイスラエルの戦闘があったが、紛争は中東全体に拡大することはなく、金に手じまい売りが出た。イスラエルのガザ攻撃の行方を引き続き確認したい。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)は、適切なら一段の政策引き締めを躊躇しないと述べ、インフレ率を2%に下げる上で十分な引き締めを行ったと完全には確信を持てていないとの考えを改めて示した。11月の米ミシガン消費者信頼感指数速報値は60.4と前月の63.8から低下し、5月以来の低水準となった。4カ月連続で低下したが、1年先のインフレ期待が4.4%と2カ月連続で上昇し、7カ月ぶりの高水準となり、インフレ懸念が残っている。CMEのフェドウォッチで、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の金利据え置きの確率は90.9%(前週95.2%)となった。今週は14日に10月の米消費者物価指数(CPI)の発表がある。また17日のつなぎ予算の期限切れを受け、政府機関の閉鎖が回避できるかどうかも焦点である。ジョンソン米下院議長は11日、共和党保守強硬派が求めている大幅な支出削減を除いたつなぎ予算案を提示したが、与野党双方から反対の声が出ている。
10月の中国の金準備は23トン増の2,215トンとなった。12カ月連続で増加した。10月末時点の外貨準備高は138億ドル減の3兆1,010億ドルとなった。10月の中国の貿易統計によると、輸出は前年比6.4%減(事前予想3.3%減)、輸入は3.0%増(同4.8%減)で565億3,000万ドル黒字(同820億ドル黒字)となった。輸出減少を受けて景気回復のもたつきに対する懸念が強まった。また10月の消費者物価指数(CPI)は前年比0.2%下落と前月の横ばいから下落に転じ、生産者物価指数(PPI)は同2.6%下落し、13カ月連続のマイナスとなった。さらなる支援措置が必要とみられている。
11月10日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比4.91トン増の868.15トンとなった。イスラエルのガザ攻撃が続いていることを受けて押し目買いが入った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告は祝日の影響で13日に発表される。10月31日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは16万3,425枚(前週14万9,385枚)となっている。
NYプラチナは米FRB議長のタカ派発言で一代安値を更新
ニューヨーク・プラチナ1月限は景気減速懸念や金軟調を受けて売り優勢となったことに加え、パウエル米連邦準備理事会(FRB)のタカ派発言を受けて一段安となり、一代安値843.1ドルを付けた。中国の輸出減少やデフレ懸念で景気の先行き懸念が強い。また米FRB議長が利上げの可能性を示したことを受けて米国債の利回りが上昇し、ドル高に振れた。上海プラチナの出来高が増加し、中国勢の安値拾いの買いが入ったことは下支え要因だが、テクニカル要因の売りが続くと、軟調に推移するとみられる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、9日のロンドンで12.64トン(前週末12.98トン)、10日のニューヨークで30.33トン(同30.19トン)、9日の南アで11.57トン(同11.57トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告祝日の影響で13日に発表される。10月31日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の取組は1万0,826枚買い越し(前週480枚売り越し)となっている。
ニューヨーク金は200日移動平均線を割り込む
ニューヨーク金12月限は、中東の紛争拡大抑制で手じまい売りが出たことに加え、パウエル米連邦準備理事会(FRB)のタカ派発言を受けて売り優勢となった。中長期の節目となる200日移動平均線(10日1,982.2ドル)を割り込み、10月18日以来の安値1,936.9ドルを付けた。テクニカル面で悪化し、1,900ドルの節目を目指す可能性が出てきた。今週は10月の米消費者物価指数(CPI)の発表がある。
11月13日からの週の注目ポイント
13日 | 企業物価指数(10月) | ☆☆ |
米財政収支(10月) | ☆☆ | |
14日 | 英雇用統計(10月) | ☆☆ |
ユーロ圏域内総生産(7-9月期改定) | ☆☆☆ | |
独ZEW景況感指数(11月) | ☆☆ | |
米消費者物価指数(10月) | ☆☆☆ | |
15日 | 国内総生産(7-9月期1次速報) | ☆☆☆ |
中国小売売上高(10月) | ☆☆ | |
中国鉱工業生産(10月) | ☆☆ | |
英消費者物価指数(10月) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏鉱工業生産(10月) | ☆☆ | |
ユーロ圏貿易収支(9月) | ☆☆ | |
米小売売上高(10月) | ☆☆☆ | |
米生産者物価指数(10月) | ☆☆ | |
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(11月) | ☆☆ | |
米企業在庫(9月) | ☆ | |
16日 | 機械受注(9月) | ☆☆ |
貿易収支(10月速報) | ☆☆ | |
中国住宅価格指数(10月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米輸出入物価指数(10月) | ☆☆ | |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(11月) | ☆☆ | |
米鉱工業生産・設備稼働率(10月) | ☆☆ | |
対米証券投資(9月) | ☆☆ | |
17日 | 英小売売上高(10月) | ☆☆ |
ユーロ圏国際収支(9月) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(10月確報) | ☆☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(10月) | ☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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