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金は中東情勢の行方を確認
2023/10/16
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米小売売上高で金融政策の見通しも確認
10月9日の週のニューヨーク金市場は、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲攻撃し、中東情勢の緊迫化を受けて堅調となった。イスラエルが約30万人の予備役を招集し、ガザの住民に対し、南部へ避難するように通告すると金は急騰した。中心限月となる12月限は9月25日以来の高値1,946.2ドルを付けた。イスラエルのネタニヤフ首相は「戦争対応内閣」を組閣し、ガラント国防相は「われわれは彼らを地球上から抹殺する」と述べた。イスラエル軍は14日、地上侵攻に向けた準備が整ったと発表した。米国は空母「ジェラルド・R・フォード」を中心とした打撃群を派遣し、地域の抑止力を高めるため、空母打撃群の追加派遣を決定した。イランはイスラエルに対して何らかの行動を取ると国連を通じて伝えており、中東情勢の行方を確認したい。
9月の米生産者物価指数(PPI)は前年比2.2%上昇し、前月の2.0%から伸びが加速した。事前予想の1.6%上昇も上回った。米消費者物価指数(CPI)は同3.7%上昇と事前予想の3.6%上昇を上回った。ただコア指数は同4.1%上昇と前月の4.3%から伸びが鈍化した。一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録によると、参加者の大半が経済の先行きは依然として非常に不透明と判断していたことが分かった。金融市場の状況や潜在的な原油価格ショック、労働組合のストライキの影響など、先行きをめぐる不確実性の高まりが背景にある。米10年債利回りは米金融当局者の利上げ停止発言を受けて4.53%まで低下したのち、予想以上の米CPIを受けて再び上昇したが、イスラエルのガザ侵攻が懸念されると、上げ一服となった。CMEのフェドウォッチで、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率は28.8%(前週36.7%)となっている。今週は9月の米小売売上高の発表がある。
中国は2023年の財政赤字拡大を容認することを検討しており、経済成長率の目標を達成するため、景気刺激策の準備を政府が進めている。水利事業などインフラ整備に向け少なくとも国債1兆元を追加発行する可能性について話し合っている。中国の不動産開発大手の碧桂園(カントリー・ガーデン)はオフショアの支払い義務について、期限内または猶予期間内に全てを履行できない可能性があるとしており、不動産業界に対する懸念が強い。実際に大型の刺激策が打ち出されれば、政府がスタンスを変えたことを意味する。
10月13日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比3.48トン減の862.37トンとなった。米国債の利回り上昇は一服したが、戻り場面で投資資金が流出し、2019年8月以来の低水準となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月10日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは7万1,433枚となり、前週の9万1,226枚から縮小した。今回は手じまい売りが8,074枚、新規売りが1万1,719枚出て1万9,793枚買い越し幅を縮小した。
NYプラチナは予想以上の米CPIが圧迫も金急騰が下支え
ニューヨーク・プラチナ1月限は、中東情勢の緊迫化による金堅調につれ高となり、2日以来の高値902.6ドルを付けた。その後は、予想以上の米消費者物価指数(CPI)を受けて上げ一服となったが、イスラエルのガザ侵攻が懸念されるなか、金が急騰したことが下支えになった。中東情勢の行方と各市場の反応を確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、12日のロンドンで12.89トン(前週末13.02トン)、13日のニューヨークで30.64トン(同30.64トン)、12日の南アで11.99トン(同11.99トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月10日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の取組は36枚売り越しとなり、前週の2,616枚買い越しから売り方に転じた。新規売りが新規買いを上回った。
ニューヨーク金はイスラエルのガザ侵攻通告で急伸
ニューヨーク金12月限は、イスラエルがパレスチナ自治区ガザの住民に避難を通告したことを受けて急伸し、9月25日以来の高値1,946.2ドルを付けた。ガザを実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲攻撃したことを受け、イスラエルは予備役を約30万人招集した。イスラエル軍は14日、地上侵攻に向けた準備が整ったと発表した。イランはイスラエルに対して何らかの行動を取ると国連を通じて伝えており、中東情勢の行方を確認したい。テクニカル面では200日移動平均線1,981.16ドルが目先の抵抗線である。
10月16日からの週の注目ポイント
16日 | ユーロ圏貿易収支(8月) | ☆☆ |
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(10月) | ☆☆ | |
17日 | 英雇用統計(9月) | ☆☆ |
独ZEW景況感指数(10月) | ☆☆ | |
米小売売上高(9月) | ☆☆☆ | |
米鉱工業生産・設備稼働率(9月) | ☆☆ | |
米企業在庫(8月) | ☆☆ | |
対米証券投資(8月) | ☆☆ | |
18日 | 中国国内総生産(7-9月期) | ☆☆☆ |
中国小売売上高(9月) | ☆☆ | |
中国鉱工業生産(9月) | ☆☆ | |
英消費者物価指数(9月) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(9月確報) | ☆☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(9月) | ☆☆☆ | |
米地区連銀経済報告(ベージュブック) | ☆☆ | |
19日 | 貿易収支(9月速報) | ☆☆ |
中国住宅価格指数(9月) | ☆☆ | |
ユーロ圏国際収支(8月) | ☆☆ | |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(10月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米中古住宅販売統計(9月) | ☆☆ | |
20日 | 消費者物価指数(9月) | ☆☆☆ |
英小売売上高(9月) | ☆☆ | |
独生産者物価指数(9月) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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