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金は中東情勢の緊迫化で逃避買い
2023/10/10
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米CPIで金融政策の見通しも確認
10月2日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)の高金利長期化の見方による米国債の利回り上昇を受けて売り優勢となった。中心限月となる12月限はテクニカル要因の売りを巻き込んで急落し、昨年11月以来の安値1,823.5ドルを付けた。ただ週末にパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃し、中東情勢が緊迫化すると、週明けに逃避買いが入って下げ一服となった。今回の奇襲攻撃はイスラエルの情報当局が事前に把握することができず、9日までに双方合わせて1,100人余りが死亡した。イスラエルはイランの関与を主張しているが、イランは否定している。イスラエルは米シェブロンが操業する東地中海の大型ガス田の生産停止を指示した。またガザへの電力、燃料、食料の供給を停止した。米国は空母「ジェラルド・R・フォード」を含む、艦船6隻から成る空母打撃群を地中海東部に向かわせた。欧州連合(EU)は10日に緊急会合を開くとしており、戦闘の行方と各国の対応を確認したい。
9月の全米雇用報告で民間部門雇用者数は8万9,000人増と事前予想の15万3,000人を大きく下回った。ただ8月の雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が69万件増の961万件と約2年ぶりの高水準となり、労働市場の堅調が示された。また9月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が33万6,000人増となり、8月は18万7,000人増から22万7,000人増に上方修正された。事前予想は17万人増。失業率は3.8%と事前予想の3.7%と上回った。米経済のソフトランディング(軟着陸)の見方を受けて米10年債利回りは4.89%と2007年以来の高水準まで上昇した。ただ過熱感も出ていたことから週末にかけては利回り上昇が一服した。米連邦準備理事会(FRB)のジェファーソン副議長は9日、インフレ率は依然として高過ぎるとした上で、米国債利回り上昇が景気を一段と抑制する可能性があり、注視していると述べた。今週は12日に9月の米消費者物価指数(CPI)の発表があり、インフレに対する見方を確認したい。
米下院での後任議長選出の行方も当面の焦点である。米下院は2日、共和党保守強硬派議員が提出したマッカーシー議長の解任動議を216対210の賛成多数で可決した。格付け会社フィッチは、米下院で議長解任動議が可決されたことを受け、連邦予算を巡る与野党の攻防で年内に政府機関が一部閉鎖される可能性があるとした。つなぎ予算が成立したが、11月17日までの暫定予算である。米共和党は11日に次期下院議長を選ぶ投票を実施する。
10月6日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比7.79トン減の865.85トンとなった。米国債の利回り上昇を受けて投資資金が流出し、2019年8月以来の低水準となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月3日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは9万1,226枚となり、前週の11万5,815枚から縮小した。今回は手じまい売りが7,154枚、新規売りが1万7,435枚出て2万4,589枚買い越し幅を縮小した。
NYプラチナは米国債の利回り上昇で一代安値を更新
ニューヨーク・プラチナ1月限は、米国債の利回り上昇やド金軟調を受けて売り優勢となり、一代安値856.8ドルを付けた。ただ米雇用統計発表後にドル高が一服したことや中東情勢の緊迫化を受けて下げ一服となった。国慶節明けの中国勢の安値拾いの買いが入っており、米国債の利回り上昇が一服すると、買い戻し主導で上昇するとみられる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、5日のロンドンで13.02トン(前週末13.16トン)、6日のニューヨークで30.64トン(同30.65トン)、5日の南アで11.99トン(同11.99トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、10月3日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2,616枚となり、前週の7,326枚から縮小した。新規売りが新規買いを上回った。
ニューヨーク金は中東情勢の緊迫化で逃避買い
ニューヨーク金12月限は、米国債の利回り上昇を受けて急落し、昨年11月以来の安値1,823.5ドルを付けたのち、中東情勢の緊迫化を受けて下げ一服となった。米連邦準備理事会(FRB)の高金利維持の見方を受けて米10年債利回りが4.89%と2007年以来の高水準まで上昇した。ただ過熱感が出ていたことや中東情勢の緊迫化で米国債が安全資産として買われたことから利回り上昇は一服した。パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が激化するようなら支援要因になるとみられる。
10月9日からの週の注目ポイント
9日 | スポーツの日 | |
10日 | 国際収支、経常収支(8月) | ☆☆ |
米卸売在庫(8月確報値) | ☆ | |
11日 | 独消費者物価指数(9月確報) | ☆☆ |
米生産者物価指数(9月) | ☆☆ | |
米FOMC議事録公表(9月19-20日) | ☆☆ | |
12日 | 企業物価指数(9月) | ☆☆ |
機械受注(8月) | ☆☆ | |
英貿易収支(8月) | ☆☆ | |
英鉱工業生産指数(8月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米消費者物価指数(9月) | ☆☆☆ | |
米財政収支(9月) | ☆☆ | |
13日 | 中国消費者物価指数(9月) | ☆☆ |
中国生産者物価指数(9月) | ☆☆ | |
中国貿易収支(9月) | ☆☆ | |
ユーロ圏鉱工業生産(8月) | ☆☆ | |
米輸出入物価指数(9月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(10月速報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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