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金はドル高継続なら戻りを売られやすい
2023/9/19
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
9月11日の週のニューヨーク金市場は、堅調な米経済指標を受けて売り優勢となったが、今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据え置き見通しに変わりがないことから買い戻されて下げ一服となった。中心限月となる12月限は8月22日以来の安値1,921.7ドルを付けた。8月の米消費者物価指数(CPI)は前年比3.7%上昇した。伸びは2カ月連続で加速し、事前予想の3.6%も上回った。コア指数は同4.3%上昇と約2年ぶりの小幅な伸びにとどまった。また米小売売上高は前月比0.6%増加し、事前予想の0.2%増を上回った。ガソリン価格上昇が押し上げ要因となった。一方、米鉱工業生産指数は製造業の生産指数が0.1%上昇と小幅な伸びにとどまった。自動車生産が落ち込んだ。全米自動車労組(UAW)は15日未明、米3大自動車メーカー(ビッグ3)との労使交渉の不調を理由に3社3工場で約1万2,700人の労働者が「史上初」の一斉ストライキに突入した。18日時点で合意に向けた進展の兆しはほとんど見られていない。自動車生産が2週間完全に停止すれば、9月の鉱工業生産は約1.9%ポイント、製造業生産は約2.5%ポイント押し下げられるとの見方が出ている。CMEのフェドウォッチで、19〜20日の米FOMCで金利据え置きの確率は99.0%(前週92.0%)に上昇する一方、11月の利上げ確率は33.8%(同38.4%)に低下した。ニューヨーク原油が昨年11月以来の高値92.33ドルを付け、インフレ高止まりが懸念される一方、ストライキの行方も焦点である。
欧州中央銀行(ECB)理事会で、主要政策金利を0.25%ポイント引き上げる一方で、利上げ打ち止めの可能性を示唆した。ECBは声明で「現在の評価を踏まえ、主要政策金利はインフレ率の適時目標回帰に多大な寄与をするとみられる水準に到達し、十分長い期間維持されたと理事会は考える」とした。またECBは成長率見通しを今年が0.7%、来年は1.0%に下方修正する一方、来年のインフレ率を3.2%と6月予想の3.0%から引き上げた。スタグフレーションへの懸念が高まった。ラガルドECB総裁は理事会後の記者会見で、必要になった場合の追加利上げの可能性を完全に否定はせず、「現在がピークと言うことはできない」と述べた。今週は21日に英中銀の金融会合があり、政策金利を0.25%ポイント引き上げる可能性がある。
金先限は上場来高値9,170円を付けた。現物(店頭小売価格、税込)も1万0,153円と最高値を更新した。円安に加え、現物相場の下げ一服が支援要因になった。植田日銀総裁は読売新聞の単独インタビューに応じ、賃金上昇を伴う持続的な物価上昇に確信が持てた段階になれば、大規模な金融緩和策の柱である「マイナス金利政策」の解除を含め「いろいろなオプション(選択肢)がある」と述べた。年内の金融政策正常化の思惑を受けて長期金利が2014年1月以来の高水準となる0.72%まで上昇した。ただ関係者への取材で、日銀内では発言内容と市場の解釈とのギャップを指摘する声が出ていることが指摘されると、円安が再開した。21〜22日の日銀金融政策決定会合では金融緩和の維持が見込まれている。
9月15日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比6.37トン減の880.27トンとなった。堅調な米経済指標を受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月12日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは12万3,864枚となり、前週の13万8,006枚から縮小した。今回は手じまい売りが98枚、新規売りが1万4,044枚出て、1万4,142枚買い越し幅を縮小した。
NYプラチナは900ドル前後で下げ止まり
ニューヨーク・プラチナ10月限は、堅調な米経済指標が圧迫要因になったが、900ドル割れで買い戻されて下げ一服となった。その後は、今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据え置き見通しを受けて金が買い戻されたことにつれ高となった。上海プラチナの出来高が増加し、中国勢の安値拾いの買いが入ったことも下支え要因になった。また8月の中国の鉱工業生産、小売売上高が予想以上となり、最悪期を脱したとの見方が出ている。不動産業界の先行き懸念が残るが、今後発表される経済指標を確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、14日のロンドンで13.37トン(前週末13.37トン)、15日のニューヨークで30.79トン(同30.36トン)、14日の南アで11.93トン(同12.14トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月12日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは6,721枚となり、前週の1万4,602枚から縮小した。新規売りが新規買いを上回った。
ニューヨーク金はレンジ形成
ニューヨーク金12月限は、堅調な米経済指標を受けて売り優勢となり、8月22日以来の安値1,921.7ドルを付けた。ただ今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据え置き見通しに変わりがないことから、買い戻されて下げ一服となった。1,913.6〜1,980.2ドルのレンジを形成した。また中長期の節目となる200日移動平均線(18日1,980.1ドル)が抵抗線である。今週は米英日の金融会合があり、金融政策の見通しを確認したい。
9月18日からの週の注目ポイント
18日 | 敬老の日 | |
19日 | ユーロ圏国際収支(7月) | ☆☆ |
ユーロ圏消費者物価指数(8月確報) | ☆☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(8月) | ☆☆ | |
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 | ☆☆ | |
20日 | 貿易収支(8月速報) | ☆☆ |
独生産者物価指数(8月) | ☆☆ | |
英消費者物価指数(8月) | ☆☆☆ | |
英生産者物価指数(8月) | ☆☆ | |
米FOMC声明文公表 | ☆☆☆ | |
21日 | 日銀金融政策決定会合1日目 | ☆☆ |
英中銀政策金利公表 | ☆☆☆ | |
スイス国立銀行政策金利公表 | ☆☆☆ | |
南アフリカ準備銀行政策金利公表 | ☆☆☆ | |
米経常収支(4-6月期) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(9月) | ☆☆ | |
米中古住宅販売統計(8月) | ☆☆ | |
22日 | 消費者物価指数(8月) | ☆☆☆ |
日銀政策金利公表 | ☆☆☆ | |
英小売売上高(8月) | ☆☆ | |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(9月速報) | ☆☆ | |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(9月速報) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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