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2024-11-10 13:23:49

金は予想以下の米経済指標やドル安が支援

2023/9/4
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は米ISM非製造業景況指数などを確認

8月28日の週のニューヨーク金市場は、予想以下の米経済指標やドル安を受けて堅調となった。中心限月となる12月限は8月7日以来の高値1,980.2ドルを付けた。7月の米雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が減少したことや8月の全米雇用報告で民間部門雇用者数の伸びが予想以下となり、労働市場の失速が示された。ただ8月の米雇用統計では失業率が3.8%と前月の3.5%から上昇し、2022年2月以来の高水準となり、賃金の伸びも前年比4.3%上昇と前月の4.4%上昇から鈍化したが、非農業部門雇用者数は18万7,000人増加と事前予想の17万人増加を上回った。一方、第2四半期の米国内総生産(GDP)改定値は前期比2.1%増と速報値の2.4%増から下方改定された。在庫投資と設備投資、知的財産権への支出が速報値から下振れした。ただ7月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年比3.3%上昇と前月の3.0%から伸びが加速し、個人消費支出は前月比0.8%増と堅調な内容になった。CMEのフェドウォッチで、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きの確率は94.0%(前週80.0%)となる一方、11月の利上げ確率は33.5%(同46.7%)に低下したが、ドル安は一服した。今週は8月の米ISM非製造業景況指数などの発表がある。
  中国は株式取引の印紙税を50%引き下げた。また不動産市場対策で住宅ローン金利を引き下げ、融資条件を一部緩和した。政策期待も出ているが、香港証券取引所で取引が再開された不動産開発大手の恒大集団の株価が急落した。同社の上半期決算で純損益は330億元赤字と前年同期から半減したが、債務超過が続いている。また碧桂園は上半期決算で489億元と過去最大の損失を計上し、業績悪化が続けばデフォルト(債務不履行)のリスクがあると警告した。1日の投票で人民元建て債の返済延長の承認を債権者から得たが、ドル建て債2本の利払いの期限を6日に控えている。今週は8月の貿易収支の発表がある。
 金先限は上場来高値9,131円を付けた。日銀の金融緩和継続を受けて円安に振れやすいなか、ドル建て現物相場の上昇を受けて一段高となった。現物(店頭小売価格、税込)は1万0,101円と1万円台の大台に上昇した。7月の日銀金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)柔軟化が発表され、長期金利の上限としていた0.5%を上回ることを容認した。しかし、金融緩和の持続性を高める狙いと説明され、長期金利上昇に対し、日銀が臨時の国債買い入れオペを実施すると、円安に振れた。植田日銀総裁は、米ワイオミング州で開催されたカンザスシティー地区連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で、金融緩和を維持しているのは、基調インフレがなお目標をやや下回っているためだと述べており、金融政策の正常化や本格的な政策修正の兆しは見えない。ただ米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止の確率が高まっており、ドル主導の動きも確認したい。
 9月1日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比6.93トン増の890.97トンとなった。予想以下の米経済指標やドル安を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月29日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは12万3,272枚となり、前週の10万1,946枚から拡大した。今回は新規買いが9,714枚、買い戻しが1万1,612枚入り、2万1,326枚買い越し幅を拡大した。

NYプラチナはドル安や金堅調が支援

ニューヨーク・プラチナ10月限は、ドル安や金堅調を受けて買い優勢となり、7月19日以来の高値995.0ドルを付けた。ただドル安が一服したことや中国経済の先行き懸念が残ることから買い一巡後は上げ一服となった。ニューヨーク市場でファンド筋の買い戻しが目立ったが、景気減速懸念もあり、高値を買い上げる向きは少ないとみられ、900〜1,000ドルのレンジ相場を継続するとみられる。

プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、31日のロンドンで13.41トン(前週末13.52トン)、1日のニューヨークで30.38トン(同30.95トン)、31日の南アで12.74トン(同12.74トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月29日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万5,038枚となり、前週の834枚から拡大した。買い戻しが手じまい売りを上回った。

ニューヨーク金は予想以下の米経済指標やドル安が支援

ニューヨーク金12月限は、予想以下の米経済指標やドル安を受けて堅調となり、8月7日以来の高値1,980.2ドルを付けた。労働市場の失速に加え、米国内総生産(GDP)が下方修正された。200日移動平均線(1日1,975.4ドル)を試しており、回復できるかどうかがテクニカル面の焦点である。ニューヨークの金ETF(上場投信)に投資資金が戻った。ただ個人消費が堅調となった。今週は8月の米ISM非製造業景況指数などの発表がある。

9月4日からの週の注目ポイント

4日 米国、カナダ休場
独貿易収支(7月) ☆☆
5日 全世帯家計調査・消費支出(7月) ☆☆
オーストラリア準備銀行政策金利発表 ☆☆☆
中国財新サービス業購買担当者景況指数(8月) ☆☆
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(8月確報) ☆☆
ユーロ圏生産者物価指数(7月) ☆☆
米製造業新規受注(7月) ☆☆
6日 独製造業受注(7月) ☆☆
ユーロ圏小売売上高(7月) ☆☆
米貿易収支(7月) ☆☆
米ISM非製造業景況指数(8月) ☆☆☆
米地区連銀経済報告(ベージュブック) ☆☆
カナダ銀行政策金利発表 ☆☆☆
7日 中国貿易収支(8月) ☆☆
独鉱工業生産指数(7月) ☆☆
ユーロ圏域内総生産(4-6月期確報) ☆☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
8日 国内総生産(4-6月期2次速報) ☆☆☆
国際収支・経常収支(7月) ☆☆
独消費者物価指数(8月確報) ☆☆
米消費者信用残高(7月)

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

<参照>SBI証券>マーケットデータより

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