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金は堅調な米労働市場などが圧迫
2023/8/7
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米CPIを確認
7月31日の週のニューヨーク金市場は、堅調なADP全米雇用報告や米国債の利回り上昇を受けて売り優勢となった。中心限月となる12月限は7月7日以来の安値1,954.5ドルを付けた。ただ7月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想以下になると、下げ一服となった。7月のADP全米雇用報告で民間部門雇用者数は32万4,000人増となり、事前予想の18万9,000人増を上回った。一方、米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びは18万7,000人増と事前予想の20万人増を下回った。ただ失業率は3.5%と前月の3.6%から低下、平均時給は0.4%上昇と前月と同水準となり、労働市場の引き締まりを示した。今週は7月の米消費者物価指数(CPI)の発表がある。事前予想は前年比3.3%上昇と前月の3.0%上昇から再加速するとみられている。
米10年債利回りは昨年11月以来となる4.19%まで上昇した。米経済のソフトランディング期待に加え、米債の大量供給を受けて利回りが上昇した。米財務省は、四半期定例入札(クオータリー・リファンディング)における米債の発行規模を第3四半期に「漸増的に」引き上げると発表した。一方、格付け会社フィッチは1日、米国の外貨建て長期債格付けを「AAA」から「AA+」に引き下げた。向こう3年間に予想される財政悪化に加え、一般政府債務が高水準で増加していることを反映した。見通しは安定的。ただ7月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想以下になると、米10年債の利回りは上げ一服となった。CMEのフェドウォッチで、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率が30%前後に上昇する場面も見られたが、米雇用統計を受けて25.9%に低下した。
日銀金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロール(YCC)柔軟化が決定され、長期金利の上限としていた0.5%を上回ることを容認した。週明け31日に長期金利が0.6%に上昇すると、臨時の国債買い入れオペを実施した。また3日には長期金利0.65%で臨時オペを実施し、円相場は1ドル=143円台後半まで円安に振れた。10年国債を1%の利回りで無制限に買い入れる指し値オペを通知しており、今後の長期金利と円相場の動向も確認したい。
7月の中国の財新製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.2と前月の50.5から低下し、4月以来で節目となる50を下回った。事前予想の50.3も下回った。ただ財新サービス部門PMIは54.1と前月の53.9から上昇した。一方、中国人民銀行は4日、不動産開発業者など民間部門への資金調達支援の強化を発表した。中国はこれまでに消費拡大策などを発表しており、景気の先行きに対する楽観的な見方が戻るかどうかを確認したい。
8月4日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比6.93トン減の906.00トンとなった。米経済のソフトランディング期待を受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月1日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは16万4,924枚となり、前週の17万3,639枚から縮小した。今回は手じまい売りが9,244枚、買い戻しが529枚入り、8,715枚買い越し幅を縮小した。
NYプラチナはドル高や金軟調が圧迫
ニューヨーク・プラチナ10月限は、ドル高や金軟調を受けて売り優勢となり、7月10日以来の安値914.1ドルを付けた。ただ7月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想以下になると、米国債の利回り上昇が一服し、下げ一服となった。今週は7月の米消費者物価指数(CPI)の発表がある。また中国経済の見通しも焦点である。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、3日のロンドンで13.25トン(前週末13.24トン)、4日のニューヨークで30.67トン(同30.54トン)、3日の南アで13.22トン(同13.22トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月1日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万2,290枚となり、前週の1万5,487枚から縮小した。新規売りが新規買いを上回った。
ニューヨーク金は200日移動平均線を試す
ニューヨーク金12月限は、予想以上の全米雇用報告や米国債の利回り上昇を受けて軟調となり、7月7日以来の安値1,954.5ドルを付けた。ただ7月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想以下となったことを受けて下げ一服となった。中長期の節目となる200日移動平均線(4日1,957.3ドル)を試し、テクニカル面で弱気に傾きつつある。6月安値1,939.2ドルを割り込むと、手じまい売りが出て200日移動平均線を下放れることになりそうだ。ただ今週発表される7月の米消費者物価指数(CPI)ではインフレの伸びが鈍化するとみられており、下支え要因になる可能性がある。
8月7日からの週の注目ポイント
7日 | オーストラリア休場 | ☆ |
独鉱工業生産指数(6月) | ☆☆ | |
米消費者信用残高(6月) | ☆ | |
8日 | 全世帯家計調査・消費支出(6月) | ☆☆ |
国際収支・経常収支(6月) | ☆☆ | |
中国貿易収支(7月) | ☆☆ | |
独消費者物価指数(7月確報) | ☆☆ | |
米貿易収支(6月) | ☆☆ | |
米卸売在庫(6月確報値) | ☆ | |
9日 | 南ア休場 | ☆ |
中国消費者物価指数(7月) | ☆☆ | |
中国生産者物価指数(7月) | ☆☆ | |
10日 | 企業物価指数(7月) | ☆☆ |
米消費者物価指数(7月) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米財政収支(7月) | ☆☆ | |
11日 | 山の日 | ☆ |
英国内総生産 速報値(4-6月期) | ☆☆☆ | |
英鉱工業生産指数(6月) | ☆☆ | |
米生産者物価指数(7月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(8月速報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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