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金は米FRBの利上げ停止の見方もドル高が圧迫
2023/7/31
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米雇用統計を確認
7月24日の週のニューヨーク金市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定されたが、今後の利上げ停止見通しによるドル安が支援要因になった。その後は欧州中央銀行(ECB)理事会で9月の利上げ停止の可能性が示されたことや予想以上の米国内総生産(GDP)を受けて戻りを売られたが、米個人消費支出(PCE)デフレータでインフレの伸びが鈍化すると、下げ一服となった。中心限月となる12月限は12日以来の安値1,981.2ドルを付けたのち、2,000ドル前後に戻した。米FOMCではフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ、5.25〜5.50%とすることが決定された。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はFOMC後の記者会見で、今回の利上げに続き、9月の次回会合でも利上げを決定する可能性があると指摘した。市場では利上げ停止を織り込んでおり、米国債の利回りが低下するとドル安に振れた。一方、第2四半期の米国内総生産(GDP)速報値は前期比2.4%増となった。事前予想の1.8%増を上回り、ドル高に振れた。ただ6月の米個人消費支出(PCE)デフレータが前年同月比3.0%上昇と前月の3.8%上昇から伸びが鈍化し、2年3カ月ぶりの低水準となった。CMEのフェドウォッチでは、9月の米FOMCでの利上げ停止の確率が80.0%(前週83.5%)となった。今週は7月の米雇用統計の発表があり、労働市場に対する見方を確認したい。
欧州中央銀行(ECB)理事会では、主要政策金利を0.25%ポイント引き上げた。ただラガルドECB総裁が会見終盤でデータ次第とし、利上げ停止の可能性を示すと、ユーロ安に振れた。7月のユーロ圏のHCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は48.9と前月の49.9から低下し、8カ月ぶりの低水準となった。事前予想の49.7を大幅に下回り、ユーロ圏の景気後退に対する懸念が残った。一方、日銀金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロール(YCC)柔軟化が決定された。長期金利の変動幅を±0.5%を目途とし、指し値オペの利回りを1%へ引き上げた。金融緩和継続が決定されたが、長期金利が上昇した。今週は豪中銀や英中銀の金融会合がある。
中国共産党中央政治局は24日、不動産政策を緩和し、地方債務のリスク解消を図る計画を進める方針を示唆した。ただ大規模な景気刺激策の発表はなかった。政治局は中国の長期的なファンダメンタルズは引き続き強いとしているが、デフレ入りが警戒されるなか、若者の失業率が50%近くに達した可能性が指摘され、労働市場の低迷に対する懸念も出ている。約2年前に経営危機が表面化した中国の不動産大手の恒大集団が2021年と2022年の通期決算を発表し、大幅な債務超過となった。恒大集団の支払いが滞ればシステミックリスクを引き起こす可能性があるとされ、バブルが弾けた中国の不動産業界の見通しは厳しい。
7月28日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比6.07トン減の912.93トンとなった。予想以上の米国内総生産(GDP)などを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、7月25日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは17万3,639枚となり、前週の19万3,348枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万5,511枚、新規売りが4,198枚出て、1万9,709枚買い越し幅を縮小した。
NYプラチナはドル高や金反落が圧迫
ニューヨーク・プラチナ10月限は、欧米の利上げ見通しに上値を抑えられると、予想以上の米国内総生産(GDP)によるドル高や金反落を受けて一段安となり、12日以来の安値935.0ドルを付けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)の9月以降の利上げ停止見通しが強いが、欧米の利上げが決定されたことを受けて景気の先行き懸念が残っている。中国の景気回復の遅れに対する懸念も上値を抑える要因である。7月の米雇用統計で労働市場の堅調が示されると、プラチナは軟調に推移するとみられる。ただ事前予想は非農業部門雇用者数が19万1,000人増(前月20万9,000人増)となっている。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、27日のロンドンで13.24トン(前週末13.31トン)、28日のニューヨークで30.54トン(同30.68トン)、27日の南アで13.43トン(同13.43トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、7月25日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万5,487枚となり、前週の1万5,736枚から縮小した。手じまい売りが買い戻しを上回った。
ニューヨーク金は2,000ドル前後での攻防
ニューヨーク金12月限は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定されたが、ドル安に振れたことが支援要因になった。その後は欧州中央銀行(ECB)理事会で9月の利上げ停止の可能性が示されたことや予想以上の米国内総生産(GDP)を受けて戻りを売られると、12日以来の安値1,981.2ドルを付けた。一方、6月の米個人消費支出(PCE)デフレータでインフレの伸びが鈍化したことが下支えになった。2,000ドルを挟んでの攻防となった。今週は7月の米雇用統計の発表があり、労働市場に対する見方を確認したい。
7月31日からの週の注目ポイント
31日 | 鉱工業生産指数(6月速報) | ☆☆ |
小売業販売額(6月速報) | ☆☆ | |
中国製造業購買担当者景況指数(7月) | ☆☆ | |
中国非製造業購買担当者景況指数(7月) | ☆☆ | |
ユーロ圏国内総生産(4-6月期速報) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(7月速報) | ☆☆☆ | |
シカゴ購買部協会景気指数(7月) | ☆☆ | |
1日 | スイス休場 | ☆ |
失業率(6月) | ☆☆ | |
オーストラリア準備銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
中国財新製造業購買担当者景況指数(7月) | ☆☆ | |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(7月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏雇用統計(6月) | ☆☆ | |
米ISM製造業景況指数(7月) | ☆☆☆ | |
2日 | 日銀金融政策決定会合議事要旨公表(6月15-16日 | ☆☆ |
ADP全米雇用報告(7月) | ☆☆ | |
3日 | 中国財新サービス業購買担当者景況指数(7月) | ☆☆ |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(7月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏生産者物価指数(6月) | ☆☆ | |
英中銀政策金利発表 | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米製造業新規受注(6月) | ☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(7月) | ☆☆☆ | |
4日 | ユーロ圏小売売上高(6月) | ☆☆ |
米雇用統計(7月) | ☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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