金・銀・プラチナ > 金・プラチナ取引とは(金・銀・プラチナの特徴) > 金・銀・プラチナについてもっと知ろう!「マーケットレポート・コラム」 > 金は各国中銀の利上げ見通しやドル高が圧迫
金は各国中銀の利上げ見通しやドル高が圧迫
2023/7/3
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米雇用統計で労働市場に対する見方を確認
6月26日の週のニューヨーク金市場は、各国中銀の利上げ見通しやドル高を受けて売り優勢となった。中心限月となる8月限は3月10日以来の安値1,900.6ドルを付けた。欧州中央銀行(ECB)フォーラムで欧米の金融当局者がタカ派姿勢を示した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、大半の米FRB当局者が年内あと2回の利上げを見込んでいると述べた。また堅調な米経済指標を受けてドル高に振れた。6月の米消費者信頼感指数は109.7と前月改定値102.5から上昇し、約1年半ぶりの高水準となった。事前予想の104.0も上回った。米新規失業保険申請件数は前週比2万6,000件減の23万9,000件となった。減少件数が20カ月ぶりの大きさとなり、労働市場の堅調が示された。ただ5月の米個人消費支出(PCE)デフレータでインフレの伸びが鈍化すると、ドル高が一服した。前年比3.8%上昇と前月の4.3%から伸びが鈍化し、2021年4月以来の低水準となった。CMEのフェドウォッチで、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率は84.3%(前週71.9%)に上昇した。ただ7月以降は年末まで据え置かれる確率が42.8%(前週28.3%)となっている。今週は6月の米雇用統計の発表があり、労働市場に対する見方を確認したい。
ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は、基調的なインフレが低下基調にあることを示す十分な証拠はまだ得られていないとした。イングランド銀行のベイリー総裁は、英国では労働市場とインフレ指標の双方が持続的インフレの明確な兆候を示していると述べた。一方、植田日銀総裁は緩和維持の正当性を主張し、円相場は昨年11月以来の円安水準となる1ドル=145円台前半まで円安に振れた。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は28日、商業用不動産セクターのリスクを注視していると述べた。ただ同セクターへのエクスポージャーの多くは大手銀行にはなく、中小の金融機関に分散しているため、万が一問題が発生した場合でも影響は限定的だと指摘した。またイエレン米財務長官は商業用不動産に関連し、銀行に幾らか損失が生じる見通しだが、システミックな問題になる可能性は低いとの見方を示した。商業用不動産のリスクが表面化すれば金の支援要因になるとみられていたが、影響が限定的なら手じまい売りが続くことになりそうだ。
6月30日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比5.20トン減の921.90トンとなった。各国中銀の利上げ見通しを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月27日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは15万1,910枚となり、前週の16万2,975枚から縮小した。今回は手じまい売りが8,427枚、新規売りが2,638枚出て1万1,065枚買い越し幅を縮小した。
NYプラチナは景気減速懸念や各国中銀の利上げ見通しで一時900ドル割れ
ニューヨーク・プラチナ10月限は昨年10月以来の安値894.2ドルを付けた。景気減速懸念に加え、各国中銀の利上げ見通しやドル高が圧迫要因になった。1〜5月の中国の工業部門企業利益は前年比18.8%減少した。景気回復の遅れに対する懸念が出るなか、需要鈍化で利益率が圧迫された。李強首相は、内需拡大に向けてより効果的な政策を打ち出すと述べており、景気刺激策に対する期待感も出ている。共産党政治局の会議で刺激策がまとまるかどうかを確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、29日のロンドンで13.14トン(前週末13.18トン)、30日のニューヨークで30.84トン(同30.41トン)、29日の南アで13.28トン(同13.11トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月27日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万2,160枚となり、前週の1万9,472枚から縮小した。手じまい売り、新規売りが出た。
ニューヨーク金は1,900ドルを試す動き
ニューヨーク金8月限は、各国中銀の利上げ見通しやドル高を受けて軟調となり、3月10日以来の安値1,900.6ドルを付けた。ただ5月の米個人消費支出(PCE)デフレータでインフレの伸びが鈍化すると、下げ一服となった。今週は6月の米雇用統計の発表がある。テクニカル面では1,900ドルの節目や200日移動平均線(30日1,896.4ドル)が目先の支持線である。
7月3日からの週の注目ポイント
3日 | 日銀短観(6月調査) | ☆☆ |
中国財新製造業購買担当者景況指数(6月) | ☆☆ | |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(6月確報) | ☆☆ | |
米ISM製造業景況指数(6月) | ☆☆☆ | |
4日 | 米国休場 | ☆ |
オーストラリア準備銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
独貿易収支(5月) | ☆☆ | |
5日 | 中国財新サービス業購買担当者景況指数(6月) | ☆☆ |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(6月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏生産者物価指数(5月) | ☆☆ | |
米製造業新規受注(5月) | ☆☆ | |
米FOMC議事録公表(6月13-14日) | ☆☆ | |
6日 | 独製造業受注(5月) | ☆☆ |
ユーロ圏小売売上高(5月) | ☆☆ | |
ADP全米雇用報告(6月) | ☆☆ | |
米貿易収支(5月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(6月) | ☆☆☆ | |
7日 | 全世帯家計調査・消費支出(5月) | ☆☆ |
独鉱工業生産指数(5月) | ☆☆ | |
米雇用統計(6月) | ☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
金・銀・プラチナについてもっと知ろう!
当コラムに関してご留意頂きたい事項
- 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドの見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
ご注意事項
- 買付時の手数料は、売買代金の1.65%(税込)、売却時の手数料は無料です。
- 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
- 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。 - 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
- 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
- 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
- スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。