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金は米利上げ停止見通しも予想以上の米雇用統計で上げ一服
2023/6/5
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米国のデフォルト回避も上値を抑える要因
5月29日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止見通しや、米議会で債務上限法案が可決され、リスク選好の動きとなったことが支援要因になった。ただ予想以上の米雇用統計を受けて7月の利上げの可能性が残ると、ドル高に振れ、上げ一服となった。中心限月となる8月限は2,000.7ドルで上げ一服となった。ジェファーソン米FRB理事が「次回の会合で利上げを見送れば、米連邦公開市場委員会(FOMC)が追加引き締めの程度について決定する前により多くのデータを見ることができる」と指摘すると利上げ停止の見方に転じた。一方、5月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数は33万9,000人増と、事前予想の19万人増を大幅に上回った。前月の非農業部門雇用者数は25万3,000人増から29万4,000人増に上方改定された。一方、失業率は3.7%と7カ月ぶりの高水準に上昇した。前月は3.4%と53年ぶりの低水準だった。時間当たり平均賃金は前月比0.3%上昇、前年同月比4.3%上昇し、前月の前月比0.4%上昇、前年同月比4.4%上昇から伸びが鈍化した。CMEのフェドウォッチでは、次回の米FOMCでの金利据え置きの確率は71.9%(前日79.6%)となった。ただ7月の0.25%ポイント利上げの確率が51.5%(同45.4%)に上昇した。当面は13日に発表される5月の米消費者物価指数(CPI)を確認したい。
バイデン米大統領と共和党のマッカーシー下院議長が債務上限問題で基本合意したことに対し、共和党の保守強硬派が反対したが、債務上限法案は5月31日に下院、6月1日に上院で可決された。米大統領が3日に署名して成立し、債務不履行(デフォルト)は回避された。ホワイトハウスの声明で議会指導者らの「パートナーシップに感謝する」とした。米議会での可決を受けてリスク選好のドル安となり、金の支援要因となったが、戻り場面で金ETF(上場投信)から投資資金が流出した。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止見通しが強いが、投資資金の流出が続くと、上値を抑える要因になるとみられる。
6月2日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比3.18トン減の938.11トンとなった。米国の債務不履行(デフォルト)回避見通しを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月30日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは16万9,316枚となり、前週の16万0,732枚から拡大した。今回は新規買いが1,157枚、買い戻しが7,427枚入り、8,584枚買い越し幅を拡大した。
NYプラチナは中国の景気回復の遅れで一時1,000ドル割れ
ニューヨーク・プラチナ7月限は中国の製造業購買担当者景況指数(PMI)が予想外に低下したことや、米債務上限法案に共和党の保守強硬派が反対し、不透明感が出たことを受けて売り優勢となり、4月10日以来の安値997.4ドルを付けた。米議会で債務上限法案が可決されると、下げ一服となったが、予想以上の米雇用統計によるドル高を受けて戻りを売られた。1,000ドル割れで下げ一服となったが、ドル高が続くと1,000ドルを挟んだ値動きになるとみられる。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ停止が見込まれているが、堅調な経済指標が続くと、7月の追加利上げの可能性があり、今後発表される経済指標を確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、1日のロンドンで13.44トン(前週末13.50トン)、2日のニューヨークで30.70トン(同30.71トン)、1日の南アで13.50トン(同13.50トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月30日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万3,406枚となり、前週の2万7,479枚から縮小した。手じまい売り、新規売りが出た。
ニューヨーク金は7月の米利上げの可能性が上値を抑える
ニューヨーク金8月限は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止の見方や米議会での債務上限法案の可決によるリスク選好の動きが支援要因になったが、予想以上の米雇用統計を受けてドル高に振れると、上げ一服となった。5月の米雇用統計で賃金の伸びが鈍化し、6月の利上げ停止の見方が強いが、非農業部門雇用者数が予想以上に増加し、7月の利上げの可能性が残り、ドル高に振れた。一方、米債務上限法案はバイデン米大統領が3日に署名して成立し、債務不履行(デフォルト)が回避された。当面は13日に発表される5月の米消費者物価指数(CPI)が焦点である。テクニカル面では1,949.6ドルが目先の支持線であり、ここを維持できるかどうかを確認したい。
6月5日からの週の注目ポイント
5日 | ニュージーランド休場 | ☆ |
中国財新サービス業購買担当者景況指数(5月) | ☆☆ | |
独貿易収支(4月) | ☆☆ | |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(5月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏生産者物価指数(4月) | ☆☆ | |
米製造業新規受注(4月) | ☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(5月) | ☆☆☆ | |
6日 | オーストラリア準備銀行政策金利発表 | ☆☆☆ |
独製造業受注(4月) | ☆☆ | |
ユーロ圏小売売上高(4月) | ☆☆ | |
7日 | 中国貿易収支(5月) | ☆☆ |
独鉱工業生産指数(4月) | ☆☆ | |
米貿易収支(4月) | ☆☆ | |
カナダ銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
8日 | 国内総生産(1-3月期2次速報) | ☆☆☆ |
国際収支・経常収支(4月) | ☆☆ | |
ユーロ圏域内総生産(1-3月期確報) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
9日 | 中国消費者物価指数(5月) | ☆☆ |
中国生産者物価指数(5月) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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