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金は米債務上限問題の協議がまとまるかどうか焦点
2023/5/22
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米経済指標で利上げ見通しも確認
5月15日の週のニューヨーク金市場は、米債務上限問題に対する楽観的な見方やドル高を受けて軟調となった。中心限月となる6月限は3月22日以来の安値1,954.4ドルを付けた。バイデン米大統領と議会指導部の協議で楽観的な見方が出た。共和党のマッカーシー米下院議長は「最終的には債務不履行(デフォルト)は発生しない」と述べ、米大統領も合意が成立すると確信しているとした。ただ19日のホワイトハウスとの協議が行き詰まった。米大統領は21日、共和党が求める歳出削減の意向はあるが、債務上限を引き上げるために共和側の条件だけを受け入れるつもりはないと述べた。またデフォルトは深刻な結果を招き、選択肢にはならないとした。再び期限ぎりぎりまで対立が続く格好となり、協議の行方を確認したい。
堅調な米経済指標を受けて米連邦準備理事会(FRB)の6月利上げ確率が上昇したことも圧迫要因になった。4月の米小売売上高は前月比0.4%増加した。事前予想の0.8%増を下回ったが、基調的には引き続き堅調となった。また米鉱工業生産指数は製造業の生産指数が同1.0%上昇し、事前予想の0.1%上昇を上回った。米新規失業保険申請件数は前週比2万2,000件減少し、24万2,000件となった。労働市場のひっ迫が示されるなか、CMEのフェドウォッチで6月の利上げ確率は36.2%まで上昇した。ただパウエル米FRB議長が19日、最近の銀行セクターにおける混乱の余波がFRBに対する利上げ圧力を幾分軽減していると述べると、利上げ停止期待が戻った。利上げ確率は17.4%に低下した。
主要7カ国(G7)首脳会議(広島サミット)は20日、首脳宣言を採択し、重要なサプライチェーンで中国への依存を減らす措置を進める一方で、同国との「建設的かつ安定した」関係を望むと表明した。21日にはウクライナのゼレンスキー大統領も出席したセッションを行い、支援継続を約束するとともに対ロシア制裁を強化することで一致して閉幕した。バイデン米大統領は、ゼレンスキー大統領と会談し、3億7,500万ドルの新たな軍事支援策とともにロシアからウクライナを防衛するために必要なあらゆる援助を約束した。また今回のサミットでは、インドやブラジルなど対ロシアで中立の立場を維持する新興国「グローバルサウス」の首脳も参加した。インドのモディ首相はゼレンスキー大統領と会談し、ロシアのウクライナ侵攻について「政治や経済ではなく人道に関わる問題だと受け止めている」と述べ、できる限り手を尽くしたいと表明した。
5月19日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比5.20トン増の942.74トンとなった。米国の債務上限問題の協議の行き詰まりを受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月16日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは17万9,814枚となり、前週の19万5,814枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万1,222枚、新規売りが4,778枚出て、1万6,000枚買い越し幅を縮小した。
NYプラチナはドル高が圧迫もレンジ下限を維持
ニューヨーク・プラチナ7月限はドル高を受けて売り優勢となり、5日以来の安値1,055.0ドルを付けた。堅調な米経済指標を受けて米連邦準備理事会(FRB)の6月利上げ確率が上昇したことが圧迫要因になった。ただパウエル米FRB議長が利上げ停止を示唆すると、下げ一服となった。一方、米債務上限問題に対する楽観的な見方が出たことや今年の供給不足見通しが強いことは下支え要因である。ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の四半期報告で、今年のプラチナ需給予想は31トンの供給不足と前回予想17トンの供給不足から大幅に上方修正された。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、18日のロンドンで13.61トン(前週末13.78トン)、19日のニューヨークで30.14トン(同29.99トン)、18日の南アで13.65トン(同13.65トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月16日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万5,823枚となり、前週の2万8,084枚から縮小した。手じまい売り、新規売りが出た。
ニューヨーク金はドル高などで約2カ月ぶりの安値
ニューヨーク金6月限は、米債務上限問題に対する楽観的な見方やドル高を受けて軟調となり、3月22日以来の安値1,954.4ドルを付けた。米大統領と米下院議長が債務上限問題で債務不履行(デフォルト)しないと述べ、楽観的な見方が広がった。ただ19日の協議が行き詰まった。米大統領は共和党の条件のみ受け入れずと述べており、引き続き協議の行方を確認したい。また6月の米連邦準備理事会(FRB)の利上げ確率が上昇しており、米経済指標も焦点である。
5月22日からの週の注目ポイント
22日 | カナダ休場 | ☆ |
機械受注(3月) | ☆☆ | |
英住宅価格指数(5月) | ☆☆ | |
23日 | ユーロ圏国際収支(3月) | ☆☆ |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(5月速報) | ☆☆ | |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(5月速報) | ☆☆ | |
米新築住宅販売(4月) | ☆☆☆ | |
24日 | NZ準備銀行政策金利公表 | ☆☆☆ |
英消費者物価指数(4月) | ☆☆☆ | |
独ifo景況感指数(5月) | ☆☆ | |
米FOMC議事録公表(5月2-3日) | ☆☆ | |
25日 | 独国内総生産(1-3月期確報) | ☆☆ |
南ア準備銀行政策金利公表 | ☆☆☆ | |
米国内総生産(1-3月期改定値) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米中古住宅販売仮契約指数(4月) | ☆☆ | |
26日 | 香港休場 | ☆ |
英小売売上高(4月) | ☆☆ | |
米個人所得・支出(4月) | ☆☆☆ | |
米耐久財受注(4月速報値) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(5月確報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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