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金は米債務上限問題の行方が焦点
2023/5/15
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金はETFへの投資資金流入が続くかどうかを確認
5月8日の週のニューヨーク金市場は、米債務上限問題に対する懸念を受けて押し目を買われたが、景気後退懸念などを背景にリスク回避の動きが出ると、戻りを売られた。中心限月となる6月限は2,056.0ドルで戻りを売られ、2日以来の安値2,005.7ドルを付けた。バイデン米大統領は9日、共和党のマッカーシー下院議長ら議会指導部と債務上限問題について協議を開いたが、双方とも主張を譲らず、平行線に終わった。米財務省は、早ければ6月1日にも政府の債務支払いを履行できなくなる恐れがあるとした。今週、協議が再開される見通しである。事情に詳しい関係筋は、連邦支出を制限する方法についても協議され始めたとしている。米銀最大手JPモルガン・チェース のジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、債務不履行(デフォルト)の可能性について議論する「作戦会議」を毎週開催していることを明らかにした。これまで期限ぎりぎりまで対立が続いており、市場での先行き懸念が強い。
4月の米消費者物価指数(CPI)や米生産者物価指数(PPI)の伸びが鈍化し、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ停止が見込まれている。米CPIは前年比4.9%上昇と2年ぶりに5%を下回った。ただ米FRBが高金利を維持するとの見方から景気後退に対する懸念が出ている。また米地銀パックウエスト・バンコープの預金流出が明らかになると、米地銀に対する懸念が再燃し、リスク回避の動きとなった。一方、5月の米ミシガン大消費者信頼感指数速報値は57.7で、昨年11月以来の低水準となった。前月の63.5から低下し、事前予想の63.0も下回った。1年先のインフレ期待は4.5%。前月は4.6%だった。5年先のインフレ期待は3.2%と前月の3.0%から上昇し、2011年以来の高水準となった。6月の利上げの確率が小幅に上昇し、インフレ高止まりに対する警戒感が残っている。
英中央銀行は、政策金利を4.25%から4.50%に引き上げた。事前予想通りとなった。12回連続の利上げで政策金利は2008年以来の高水準となった。英中央銀行のチーフエコノミスト、ヒュー・ピル氏は、英中銀はインフレ急上昇によるリスク抑制に向け一段の取り組みを行わなくてはならない可能性があると述べた。第1四半期の英国内総生産(GDP)速報値は前期比0.1%増加し、一時予想されていた浅い景気後退(リセッション)は回避した。ただ3月は予想外のマイナス成長となり、回復の脆弱さを示した。
5月12日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比5.77トン増の937.54トンとなった。米国の債務上限問題に対する懸念を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月9日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万5,814枚となり、前週の19万5,567枚から拡大した。今回は新規買いが4,059枚、新規売りが3,812枚出て、247枚買い越し幅を拡大した。
NYプラチナはリスク回避で戻りを売られる
ニューヨーク・プラチナ7月限は米地銀株の下げ一服を受けて買い戻され、4月24日以来の高値1,137.9ドルを付けた。ただ米国の景気後退懸念などを受けてリスク回避の動きが出ると、戻りを売られた。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ停止が見込まれているが、米金融当局者は高金利を維持するとの見通しを示している。また米債務上限問題に対する懸念もあり、リスク回避の動きとなった。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11日のロンドンで13.77トン(前週末13.73トン)、12日のニューヨークで29.99トン(同29.99トン)、11日の南アで13.65トン(同13.86トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月9日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万8,084枚となり、前週の2万6,687枚から拡大した。新規買い、買い戻しが入った。
ニューヨーク金はリスク回避で調整局面
ニューヨーク金6月限は、米債務上限問題に対する懸念を受けて押し目を買われる場面も見られたが、景気後退懸念などによるリスク回避の動きを受けて2,056.0ドルで戻りを売られて調整局面となった。米大統領と議会指導部の債務上限問題の協議は平行線となった。米財務省は早ければ6月1日までに債務支払いが履行できなくなる恐れがあるとしている。今週は4月の米小売売上高などの発表がある。
5月15日からの週の注目ポイント
15日 | 企業物価指数(4月) | ☆☆ |
ユーロ圏鉱工業生産(3月) | ☆☆ | |
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(5月) | ☆☆ | |
対米証券投資(3月) | ☆☆ | |
16日 | 中国小売売上高(4月) | ☆☆ |
中国鉱工業生産(4月) | ☆☆ | |
英雇用統計(4月) | ☆☆ | |
ユーロ圏域内総生産(1-3月期改定) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏貿易収支(3月) | ☆☆ | |
独ZEW景況感指数(5月) | ☆☆ | |
米小売売上高(4月) | ☆☆☆ | |
米鉱工業生産・設備稼働率(4月) | ☆☆ | |
米企業在庫(3月) | ☆☆ | |
17日 | 国内総生産(1-3月期1次速報) | ☆☆☆ |
ユーロ圏消費者物価指数(4月確報) | ☆☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(4月) | ☆☆☆ | |
18日 | フランス、スイス休場 | ☆ |
貿易収支(4月速報) | ☆☆ | |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(5月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米中古住宅販売統計(4月) | ☆☆ | |
19日 | 消費者物価指数(4月) | ☆☆☆ |
独生産者物価指数(4月) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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