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金は金融不安再燃と追加利上げ見通しでもみ合い
2023/5/1
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は6月以降の金融政策の見通しを確認
4月24日の週のニューヨーク金市場は、金融不安の再燃が支援要因になったが、米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ見通しに上値を抑えられた。中心限月となる6月限は2,020.2ドルで戻りを売られた。米中堅銀ファースト・リパブリック・バンクの決算で預金流出が明らかとなり、人員削減計画が発表された。金融不安が再燃し、同行の株価は最安値を更新した。ただホワイトハウスのジャンピエール報道官は、必要になれば数週間前に使用したものと同様の手段で金融ストレスに対処できると述べた。一方、好調な企業決算などを受けて米国債の利回りが上昇した。また第1四半期の米国内総生産(GDP)速報値は前期比1.1%増と第4四半期の2.6%から伸びが縮小した。市場予想の2.0%も下回った。ただコア個人消費支出(PCE)価格指数は4.9%上昇と前四半期の4.4%上昇から伸びが加速した。3月の米PCE価格指数は前年同月比4.2%上昇と、伸びは前月の5.1%から鈍化し、2021年5月以降で最小の伸びとなった。インフレ高止まりに対する警戒感が残り、今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイント利上げが見込まれている。ただ6月以降は利上げ停止見通しであり、金融政策の見通しを確認したい。
4月の独IFO業況指数は93.6と前月の93.2から上昇し、今冬の景気後退を回避したとの期待感を高めた。また欧州中央銀行(ECB)当局者の利上げ発言もドル安要因になった。シュナーベル専務理事は、ECBは利上げを継続する必要があるとし、ユーロ圏のコアインフレ率はすぐにはピークを付けない可能性があるため、4日の理事会で0.50%ポイントの利上げが決定される可能性は排除できないとの考えを示した。4月の独消費者物価指数(CPI)速報値は、欧州連合(EU)基準(HICP)で前年比7.6%上昇した。2022年3月以降で最も低い伸びとなったが、インフレ目標の2%を大幅に上回っている。
日銀金融政策決定会合で金融緩和が維持された。またフォワードガイダンス(政策金利の推移についての文言)が廃止された。イールドカーブコントロール(YCC)修正は見送られた。円相場が1ドル=136円台後半まで円安に振れ、金先限は8,712円と上場来高値を更新した。国内金にとっては円相場の動向も当面の焦点である。
4月28日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.60トン増の926.28トンとなった。米国の金融不安再燃を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月25日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは18万5,264枚となり、前週の18万9,893枚から縮小した。今回は手じまい売りが6,875枚、買い戻しが2,246枚入り、4,629枚買い越し幅を縮小した。
NYプラチナは踏み上げ一巡で調整局面
ニューヨーク・プラチナ7月限は一代高値1,148.9ドルを付けたのち、利食い売り主導で調整局面を迎えた。米製造業の回復期待が高まったことや、米連邦準備理事会(FRB)の6月以降の利上げ停止が支援要因になった。またニューヨークの指定倉庫在庫が急減し、実需筋の踏み上げも上値を伸ばす要因になった。ただ週明けは利食い売りが出て上げ一服となった。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げが見込まれていることも上値を抑える要因である。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、27日のロンドンで13.80トン(前週末13.73トン)、28日のニューヨークで29.87トン(同30.16トン)、26日の南アで13.86トン(同13.44トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月25日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万9,617枚となり、前週の2万4,319枚から拡大した。新規買いが新規売りを上回った。
ニューヨーク金は調整局面を継続
ニューヨーク金6月限は、金融不安の再燃が支援要因になる場面も見られたが、米国債の利回り上昇や米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ見通しを受けて戻りを売られた。2,000ドル前後での調整局面を継続した。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%ポイントの追加利上げが見込まれている。ただ6月以降の利上げ停止見通しが下支え要因であり、金融政策の見通しを確認したい。
5月1日からの週の注目ポイント
1日 | 中国、香港、欧州、南ア休場 | ☆ |
米ISM製造業景況指数(4月) | ☆☆☆ | |
2日 | 中国休場 | ☆ |
オーストラリア準備銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(4月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(4月速報) | ☆☆☆ | |
米製造業新規受注(3月) | ☆☆ | |
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 | ☆☆ | |
3日 | 憲法記念日、中国休場 | ☆ |
ユーロ圏雇用統計(3月) | ☆☆ | |
ADP全米雇用報告(4月) | ☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(4月) | ☆☆☆ | |
米FOMC声明文公表 | ☆☆☆ | |
4日 | みどりの日 | ☆ |
中国財新サービス業購買担当者景況指数(4月) | ☆☆ | |
欧州中央銀行(ECB)理事会 | ☆☆☆ | |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(4月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏生産者物価指数(3月) | ☆☆ | |
米貿易収支(3月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
5日 | 子供の日 | ☆ |
独製造業受注(3月) | ☆☆ | |
ユーロ圏小売売上高(3月) | ☆☆ | |
米雇用統計(4月) | ☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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