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金は米インフレ鈍化も追加利上げ見通しが上値を抑える
2023/4/17
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米大手銀行の四半期決算も確認
4月10日の週のニューヨーク金市場は、米国のインフレが予想以上に鈍化し、ドル安に振れたこと受けて急伸した。中心限月となる6月限は昨年3月以来の高値2,063.4ドルを付けた。ただ米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ見通しに変わりはなく、利食い売りなどが出て上げ一服となった。3月の米消費者物価指数(CPI)は前年比5.0%上昇と前月の6.0%から減速し、2021年5月以来の穏やかな伸びになった。事前予想の5.2%上昇を下回った。米生産者物価指数(PPI)も同2.7%上昇と前月の4.9%上昇から伸びが鈍化した。事前予想は3.0%上昇。また米小売売上高は前月比1.0%減少し、事前予想の0.4%減を下回った。自動車などの高額商品の購入が減るなか、2カ月連続で減少した。インフレ鈍化や弱い経済指標を受けて米FRBの利上げ停止期待が高まった。
ただ米金融当局者のタカ派発言に変わりはなかった。米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、米連邦準備理事会(FRB)があと1回の0.25%ポイントの利上げを実施するという見通しは妥当な出発点としつつも、政策の道筋は入手されるデータ次第という認識を改めて示した。ウォラーFRB理事は、米FRBが過去1年にわたり積極的な利上げを行ってきたにもかかわらず、インフレ率を目標とする2%に戻すことにあまり進展が見られていないと述べ、一段の利上げが必要との考えを示した。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、米銀2行の経営破綻で広範な金融ストレスが引き起こされないと明確になるまで利上げを一時停止することが検討されたが、最終的にはインフレ対応を優先すると結論付けたことが分かった。CMEのフェドウォッチで、5月の米FOMCで0.25%ポイント利上げの確率は83.4%となった。
米大手銀行のJPモルガン・チェース、シティグループ、ウェルズ・ファーゴの第1四半期決算は利息収入が増加し、市場予想を上回った。また米銀2行の経営破綻で先行き懸念が残るなか、JPモルガンの預金残高は2%増加した。今週は18日にバンク・オブ・アメリカ(BofA)とゴールドマン・サックス、19日にモルガン・スタンレーが決算を発表する。
4月14日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比3.19トン減の927.72トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ見通しを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月11日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万2,745枚となり、前週の19万5,216枚から縮小した。今回は手じまい売りが5,999枚、買い戻しが3,528枚入り、2,471枚買い越し幅を縮小した。
プラチナはドル安や金急伸が支援
ニューヨーク・プラチナ7月限は、ドル安や金急伸を受けて堅調となり、1月24日以来の高値1,071.1ドルを付けた。3月の米消費者物価指数(CPI)や米生産者物価指数(PPI)でインフレの伸びが予想以上に鈍化し、ドル安に振れた。国際通貨基金(IMF)が経済成長率見通しを下方修正し、景気後退懸念が残るが、金が急伸したことが支援要因になった。一方、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げが決定される見通しだが、6月以降は停止されるとみられている。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、13日のロンドンで13.56トン(前週末13.59トン)、14日のニューヨークで30.44トン(同30.44トン)、13日の南アで12.73トン(同12.67トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月11日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万3,333枚となり、前週の1万5,423枚から縮小した。手じまい売り、新規売りが出た。
ニューヨーク金は昨年3月以来の高値も上げ一服
ニューヨーク金6月限は、米国でインフレの伸びが予想以上に鈍化したことを受けて昨年3月以来の高値2,063.4ドルを付けた。ただ米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ見通しに変わりはなく、利食い売りなどが出て上げ一服となった。3月の米消費者物価指数(CPI)や米生産者物価指数(PPI)が予想以下となり、ドル安に振れた。米小売売上高も予想以下となったが、米金融当局者のタカ派発言を受けて5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げが決定されるとみられている。また米大手銀行の四半期決算が予想以上となったことも金の上値を抑える要因になった。
4月17日からの週の注目ポイント
17日 | 米ニューヨーク連銀製造業景況指数(4月) | ☆☆ |
対米証券投資(2月) | ☆☆ | |
18日 | 中国国内総生産(1-3月期) | ☆☆ |
中国小売売上高(3月) | ☆☆ | |
中国鉱工業生産(3月) | ☆☆ | |
英雇用統計(3月) | ☆☆ | |
ユーロ圏貿易収支(2月) | ☆☆ | |
独ZEW景況感指数(4月) | ☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(3月) | ☆☆☆ | |
19日 | 英消費者物価指数(3月) | ☆☆ |
ユーロ圏消費者物価指数(3月確報) | ☆☆☆ | |
米地区連銀経済報告(ベージュブック) | ☆☆ | |
20日 | 貿易収支(3月速報) | ☆☆ |
独生産者物価指数(3月) | ☆☆ | |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(4月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米中古住宅販売統計(3月) | ☆☆ | |
21日 | 消費者物価指数(3月) | ☆☆☆ |
英小売売上高(3月) | ☆☆ | |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(4月速報) | ☆☆ | |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(4月速報) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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