金・銀・プラチナ > 金・プラチナ取引とは(金・銀・プラチナの特徴) > 金・銀・プラチナについてもっと知ろう!「マーケットレポート・コラム」 > 金は米追加利上げ見通しが上値を抑える
金は米追加利上げ見通しが上値を抑える
2023/4/10
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米CPIや米小売売上高を確認
4月3日の週のニューヨーク金市場は、米労働市場の減速による米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止見通しを受けて堅調となった。中心限月となる6月限は昨年3月以来の高値2,049.2ドルを付けた。2月の米雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が63万2,000件減の990万件と、2021年5月以来の低水準となった。3月の全米雇用報告で民間部門雇用者数は14万5,000人増加したが、事前予想の20万人増を大きく下回った。労働市場の減速の見方から米FRBの利上げ停止見通しが強まった。ただ3月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数は23万6,000人増と事前予想の23万9,000人増加を下回ったが、堅調なペースを維持した。2月分は31万1,000人増から32万6,000人増に上方改定された。失業率は2月の3.6%から3.5%に低下した。5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイントの利上げが決定されるとの見方が強まった。利食い売りが出るようなら調整局面を迎える可能性がある。今週は3月の米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高の発表がある。一方、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」は、5月から日量100万バレルを上回る減産を実施すると発表した。原油が急伸し、インフレ高止まりに対する懸念が出た。ただイラク北部からの輸出再開見通しが上値を抑える要因になった。原油価格の動向も当面の焦点である。
3月末時点の中国の外貨準備高は前月比510億ドル増の3兆1,840億ドルとなった。金準備は前月比18トン増の2,068トンとなった。今年に入ってからの中央銀行の金購入は125トンとなり、金価格を押し上げる要因になっている。ただ上海金のプレミアムは3月8日の41.38ドル(現物相場1,812ドル)から4月6日には3.90ドル(同2,013ドル)に急落し、高値での買い意欲が後退している。3月の中国の財新サービス部門購買担当者景気指数(PMI)が57.8と前月の55.0から上昇し、2020年11月以来の高水準となったが、財新製造業PMIは50.0と前月の51.6から低下し、景気回復に対する不透明感が強まった。欧米の金融不安に対する懸念も残っており、中国勢の動向も確認したい。
4月6日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.89トン増の930.91トンとなった。米労働市場の減速の見方を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月4日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万5,216枚となり、前週の18万1,630枚から拡大した。今回は新規買いが2万1,029枚、新規売りが7,443枚入り、1万3,586枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは一段高も追加利上げ見通しが上値を抑える
ニューヨーク・プラチナ7月限は、ドル安や金堅調を受けて堅調となり、2月3日以来の高値1,036.9ドルを付けた。2月の米求人件数の減少を受けて米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止見通しが強まった。ただ3月の米雇用統計が堅調な内容となり、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げが決定されるとの見方が戻った。ドル高に振れると、利食い売りに上値を抑えられるとみられる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、6日のロンドンで13.59トン(前週末13.34トン)、ニューヨークで30.44トン(同30.46トン)、5日の南アで12.67トン(同12.22トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月4日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万5,423枚となり、前週の1万0,374枚から拡大した。新規買いが新規売りを上回った。
ニューヨーク金は利上げ停止見通しで昨年3月以来の高値
ニューヨーク金6月限は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止見通しを受けて堅調となり、昨年3月以来の高値2,049.2ドルを付けた。2月の米求人件数の減少を受けて労働市場の減速の見方が強まった。ただ3月の米雇用統計は堅調な内容となり、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げが決定されるとみられている。今週は3月の米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高の発表があり、インフレや個人消費に対する見方を確認したい。テクニカル面で強気だが、買われ過ぎとの見方もあり、利食い売り主導の調整局面も警戒される。
4月10日からの週の注目ポイント
10日 | 豪州、香港、欧州、南ア休場 | ☆ |
国際収支・経常収支(2月) | ☆☆ | |
米卸売在庫(2月確報値) | ☆ | |
11日 | 中国消費者物価指数(3月) | ☆☆ |
中国生産者物価指数(3月) | ☆☆ | |
ユーロ圏小売売上高(2月) | ☆☆ | |
12日 | 企業物価指数(3月) | ☆☆ |
機械受注(2月) | ☆☆ | |
米消費者物価指数(3月) | ☆☆☆ | |
米FOMC議事録(3月21-22日) | ☆☆ | |
米財政収支(3月) | ☆☆ | |
カナダ銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
13日 | 中国貿易収支(3月) | ☆☆ |
独消費者物価指数(3月確報) | ☆☆ | |
英鉱工業生産指数(2月) | ☆☆ | |
ユーロ圏鉱工業生産(2月) | ☆☆ | |
米生産者物価指数(3月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
14日 | 米小売売上高(3月) | ☆☆☆ |
米輸出入物価指数(3月) | ☆☆ | |
米鉱工業生産・設備稼働率(3月) | ☆☆ | |
米企業在庫(2月) | ☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(4月速報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
金・銀・プラチナについてもっと知ろう!
当コラムに関してご留意頂きたい事項
- 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドの見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
ご注意事項
- 買付時の手数料は、売買代金の1.65%(税込)、売却時の手数料は無料です。
- 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
- 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。 - 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
- 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
- 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
- スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。