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金は米失業率上昇などが支援
2023/3/13
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米FOMCで金融当局者の見通しが焦点
3月6日の週のニューヨーク金市場は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が議会証言でタカ派の見方を示したことを受けて急落したが、ドル高一服を受けて下げ止まると、米雇用統計で失業率が上昇したことなどを受けて急伸した。中心限月となる4月限は戻り高値を突破し、2月14日以来の高値1,874.3ドルを付けた。パウエル米FRB議長は、「最新の経済データは予想以上に強く、最終的な金利水準が従来の予想よりも高くなる可能性が高いことを示唆している」と述べた。今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%ポイント利上げの可能性が高まり、CMEのフェドウォッチではターミナルレート(政策金利の最終到達点)が5.50〜5.75%に引き上げられた。一方、2月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は31万1,000人増加し、事前予想の20万5,000人増加を上回る伸びとなり、雇用の堅調さを改めて示した。ただ失業率は3.6%と前月3.4%から上昇し、賃金の前月比伸び率が鈍化するなど、労働市場が軟化しつつある兆候も示唆した。ターミナルレートの予想が低下し、ドル安に振れた。さらに米カリフォルニア州の銀行規制当局が、米金融持ち株会社SVBファイナンシャル・グループ傘下のシリコンバレー銀行を閉鎖し、リスク回避の動きとなった。金融危機以降で最大の米銀破綻となり、株式市場では世界的に銀行株が売られた。米連邦預金保険公社(FDIC)はシリコンバレー銀行の入札プロセスを開始しており、応札の状況を確認したい。今週は14日に2月の米消費者物価指数(CPI)の発表がある。
米紙ニューヨーク・タイムズは、ロシア産天然ガスをドイツに送る海底パイプライン「ノルドストリーム」と「ノルドストリーム2」で昨年9月に起きたガス漏れについて、親ウクライナのグループによる攻撃が原因だった可能性があると報じた。実行犯はロシアのプーチン大統領と敵対する立場にあると推測されるものの、グループの素性は不明点が多く、メンバーも特定できていないという。一方、ロシア政府は、「ノルドストリーム」爆破に関する西側メディアの報道は、注意をそらすための組織的な試みだとし、爆破に関する公開調査を求めた。ロシアは証拠を提示せず、英国と米国がパイプラインを爆破したと非難しているが、両国ともに否定している。ウクライナ情勢とエネルギー問題の行方も引き続き確認したい。
3月10日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比8.97トン減の903.15トンとなった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のタカ派発言を受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月21日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは10万7,101枚となり、前週の10万5,529枚から拡大した。今回は手じまい売りが189枚、買い戻しが1,761枚入り、1,572枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは供給不足見通しが下支え
ニューヨーク・プラチナ4月限は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のタカ派発言やドル高を受けて急落し、2月27日以来の安値930.9ドルを付けた。ただワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の供給不足見通しが下支えになると、2月の米雇用統計で失業率が上昇し、ドル安に振れたことを受けて下げ一服となった。WPICの四半期報告によると、今年のプラチナは17トンの供給不足が予想され、昨年の24トンの供給過剰から需給が引き締まる見通しとなった。総供給が6トン増にとどまる一方、総需要は48トン増加するとみられている。欧米の利上げ見通しが当面の上値を抑える要因だが、中国の輸入増加が続くと、地合いを引き締めることになりそうだ。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、9日のロンドンで14.07トン(前週末14.06トン)、10日のニューヨークで31.32トン(同31.46トン)、9日の南アで11.86トン(同11.26トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月21日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2,905枚となり、前週の5,998枚から縮小した。手じまい売り、新規売りが出た。
ニューヨーク金は戻り高値を更新
ニューヨーク金4月限はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が議会証言でタカ派の見方を示したことを受けて急落した。その後はドル高一服を受けて買い戻されると、2月の米雇用統計で失業率が上昇したことやシリコンバレー銀行の閉鎖を受けて急伸し、2月14日以来の高値1,874.3ドルを付けた。6日の戻り高値1,864.3ドルを突破し、テクニカル面で改善した。ただ今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%ポイント利上げの見方に変わりはない。ドットプロットでターミナルレート(政策金利の最終到達点)を確認したい。
3月13日からの週の注目ポイント
14日 | 英雇用統計(2月) | ☆☆ |
米消費者物価指数(2月) | ☆☆☆ | |
15日 | 日銀金融政策決定会合議事要旨(1月17-18日分 | ☆☆ |
中国小売売上高(2月) | ☆☆ | |
中国鉱工業生産(2月) | ☆☆ | |
ユーロ圏鉱工業生産(1月) | ☆☆ | |
米小売売上高(2月) | ☆☆☆ | |
米生産者物価指数(2月) | ☆☆ | |
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(3月) | ☆☆ | |
米企業在庫(1月) | ☆ | |
対米証券投資(1月) | ☆☆ | |
16日 | 機械受注(1月) | ☆☆ |
貿易収支(2月速報) | ☆☆ | |
欧州中央銀行(ECB)理事会 | ☆☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(2月) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米輸出入物価指数(2月) | ☆☆ | |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(3月) | ☆☆ | |
17日 | ユーロ圏消費者物価指数(2月確報) | ☆☆☆ |
米鉱工業生産・設備稼働率(2月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(3月速報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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