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金は予想以上の米CPIで調整局面を継続
2023/2/20
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米利上げ長期化の見方が圧迫
2月13日の週のニューヨーク金市場は、予想以上の米消費者物価指数(CPI)などを受けて米連邦準備理事会(FRB)の利上げ長期化の見方が強まったことを受けて軟調となった。中心限月となる4月限は昨年12月29日以来の安値1,827.7ドルを付けた。米CPIは前年比6.4%上昇と前月の6.5%上昇から伸びが鈍化したが、事前予想の6.2%上昇を上回った。米生産者物価指数(PPI)も同6.0%上昇し、前月の6.5%上昇から伸びが鈍化したが、事前予想の5.4%上昇を上回った。また米小売売上高は前月比3%増加し、約2年ぶりの大幅な伸びとなった。CMEのフェドウォッチで、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)が5.25〜5.50%に引き上げられた。また米セントルイス地区連銀のブラード総裁が前回の会合で0.50%の利上げが決定されることを望んでいたとし、次回会合でいかなる選択肢も排除しないと述べた。一方、米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は「インフレを目標に戻すにはさらなる利上げが必要だ」としつつも、今後の経済指標に対応する柔軟性を保てるよう、0.25%ポイント刻みの緩やかなペースで利上げを進めるとした。今週は24日に1月の米奇人消費支出(PCE)デフレータの発表がある。
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、ユーロ圏のインフレ圧力は依然として強く、ECBは基調的な物価上昇を抑制するため利上げを継続すると述べた。ECBのパネッタ専務理事は、ユーロ圏のインフレ率が低下し過去の利上げが経済に浸透する中、利上げ幅を小さくするべきで、将来の行動にコミットすることは避ける必要があるとの見方を示した。ECBは3月と5月の利上げを実施するとみられている。
バイデン米大統領は16日、米軍が撃墜した偵察気球について、中国の習近平国家主席と協議したいと述べた。米軍が4日に米東部サウスカロライナ州沖で米本土上空を飛行していた気球を撃墜し、民間の気象研究用だと主張している中国が対抗措置をほのめかしていた。また米軍が北米上空でレーダーを強化すると、3つの飛行物体を探知し、撃墜した。米情報機関の分析によると「民間企業かリクリエーション、研究機関に関係のある気球だった可能性が高い」という。ブリンケン米国務長官は18日、ミュンヘン安全保障会議で中国外交トップの王毅氏と会談した。会談での応酬は米中関係の緊張を浮き彫りにした。一方、北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射訓練を行ったことを伝えた。金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正副部長は談話で「太平洋をわれわれの射撃場に活用する頻度は米軍の行動にかかっている」と表明しており、今後の北朝鮮の動向も確認したい。
2月17日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比0.87トン減の919.92トンとなった。調整局面を継続するなか、投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告はサイバー攻撃の影響でデータがそろわず、前週も発表が見送られた。早ければ24日に発表を再開する。1月24日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは15万3,240枚となっている。
プラチナも調整局面を継続
ニューヨーク・プラチナ4月限は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ長期化の見方を受けて調整局面を継続し、昨年10月25日以来の安値907.8ドルを付けた。予想以上の米消費者物価指数(CPI)などを受けて米FRBの利上げ長期化の見方が強まったことが圧迫要因になった。また欧州議会は14日、域内でガソリン車などの内燃エンジン車の新車販売を2035年から事実上禁止する法律を正式に承認した。パラジウムの現物相場が一段安となり、2019年8月以来の安値1,432.15ドルを付けた。プラチナのディーゼル車向けの自動車触媒需要も喪失するが、水素経済の拡大で燃料電池車向けの需要が伸びるとみられている。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、16日のロンドンで14.47トン(前週末14.27トン)、17日のニューヨークで31.62トン(同32.20トン)、16日の南アで10.34トン(同10.34トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告の発表は前週もサイバー攻撃の影響で見送られた。1月24日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万0,261枚となっている。
ニューヨーク金は米利上げ長期化の見方が圧迫
ニューヨーク金4月限は調整局面を継続し、昨年12月29日以来の安値1,827.7ドルを付けた。予想以上の米消費者物価指数(CPI)などを受けて米連邦準備理事会(FRB)の利上げ長期化の見方が強まった。CMEのフェドウォッチで、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)が引き上げられたことに加え、一部の米金融当局者が大幅利上げの可能性を示した。今週は米個人消費支出(PCE)デフレータの発表がある。
2月20日からの週の注目ポイント
20日 | 米国休場 | ☆ |
21日 | ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(2月速報) | ☆☆ |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(2月速報) | ☆☆ | |
独ZEW景況感指数(2月) | ☆☆ | |
米中古住宅販売統計(1月) | ☆☆ | |
22日 | NZ準備銀行政策金利公表 | ☆☆☆ |
独消費者物価指数(1月確報) | ☆☆ | |
独景況感指数ifo(2月) | ☆☆ | |
米FOMC議事録公表 | ☆☆☆ | |
23日 | 天皇誕生日 | ☆ |
ユーロ圏消費者物価指数(1月確報) | ☆☆☆ | |
米国内総生産(10-12月期改定値) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
24日 | 消費者物価指数(1月) | ☆☆☆ |
独国内総生産(10-12月期確報) | ☆☆ | |
米個人所得・支出(1月) | ☆☆☆ | |
米新築住宅販売(1月) | ☆☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(2月確報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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