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金は予想以上の米雇用統計で調整局面
2023/2/6
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米サービス業の回復でインフレ高止まりを警戒
1月30日の週のニューヨーク金市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル安を受けて堅調となったが、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁の発言をきっかけにドル高に転じると、予想以上の米雇用統計も圧迫要因になって急落した。中心限月となる4月限は昨年4月以来の高値1,975.2ドルを付けたのち、急落して1,900ドルの節目を割り込んだ。米FOMCでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ4.50〜4.75%とした。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は記者会見で継続的な利上げが適切と再表明したが、インフレ圧力緩和で進展しているという見解を示した。利上げ打ち止めが意識され、ドル安に振れた。一方、ECB理事会で政策金利を0.5%ポイント引き上げ3%とした。3月にも0.5%ポイントの追加利上げの方針を示したが、ラガルドECB総裁が「経済成長の見通しに対するリスクは、より均衡化している」と述べると、利上げペース減速が意識され、ドル高に転じた。ただECB当局者のタカ派発言が目立ち、5月も利上げを継続する可能性があるとしている。1月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)速報値は前年比8.5%上昇と前月の9.2%から伸びが鈍化した。また英中銀は政策金利を0.5%ポイント引き上げ4.0%とした。ベイリー総裁は、利上げの必要性に関する英中銀の見解がトーンダウンしたが、利上げ打ち止めを意味するものではないと述べた。
1月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は51万7,000人増加し、事前予想の18万5,000人増を上回った。失業率は3.4%(前月3.5%)と53年半超ぶりの低水準となった。賃金の上昇率は前年同月比4.4%(同4.8%)と一段と緩やかになったものの、レジャー・接客が12万8,000人増加し、労働市場の引き締まり継続を示唆した。また1月の米ISM非製造業総合指数(NMI)は55.2と前月の49.2から上昇し、事前予想の50.4を上回った。新規受注は回復、支払い価格の伸びは鈍化した。消費者の需要が再び活発化していることが指摘された。CMEのフェドウォッチでは、3月と5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)を5.00〜5.25%とすることが織り込まれた。また9月まで維持する見通しである。
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の「ゴールド・ディマンド・トレンズ2022」によると、2022年の金需要は前年比18%増の4,741トンとなり、2011年以来の高水準となった。中央銀行の購入は1,136トンと55年ぶりの高水準となり、投資需要は同10%増の1,107トンとなった。金供給は同2%増の4,755トンとなった。鉱山生産は3,612トンと4年ぶりの高水準となった。
2月3日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比1.74トン増の920.24トンとなった。米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル安を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告はサイバー攻撃の影響でデータがそろわず、発表が延期された。1月24日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは15万3,240枚となっている。
プラチナは調整継続も1,000ドル割れで下げ止まるかどうか
ニューヨーク・プラチナ4月限は、米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル安が下支えになる場面も見られたが、予想以上の米雇用統計を受けて調整局面を継続し、昨年12月22日以来の安値977.9ドルを付けた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長がインフレ圧力緩和の見方を示し、利上げ打ち止め観測からドル安に振れたが、ラガルド欧州中央銀行(ECB)の発言を受けて利上げペース減速が意識されると、ドル高に転じた。また予想以上の米雇用統計を受けてドル高が加速した。ただ米国のサービス業が回復しており、プラチナ需要増加につながると、下支え要因になるとみられる。春節明けの中国勢の安値拾いの買いも入っており、1,000ドル割れの水準で下げ止まるかどうかを確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、2日のロンドンで14.35トン(前週末13.98トン)、3日のニューヨークで32.49トン(同32.36トン)、2日の南アで10.31トン(同10.31トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告の発表はサイバー攻撃の影響で延期された。1月24日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万0,261枚となっている。
ニューヨーク金は戻り高値更新後に急落
ニューヨーク金4月限は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ打ち止めの見方などを受けて昨年4月以来の高値1,975.2ドルを付けた。その後はラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁の発言で利上げペース減速の見方が出てドル安が一服すると、予想以上の米雇用統計も圧迫要因になって急落した。1,900ドルの節目を割り込んでおり、当面は米FRBの利上げ長期化の見方を受けて調整局面を迎えることになるとみられる。
2月6日からの週の注目ポイント
6日 | ニュージーランド休場 | ☆ |
独製造業受注(12月) | ☆☆ | |
ユーロ圏小売売上高(12月) | ☆☆ | |
7日 | 全世帯家計調査・消費支出(12月) | ☆☆ |
オーストラリア準備銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
独鉱工業生産指数(12月) | ☆☆ | |
米貿易収支(12月) | ☆☆ | |
8日 | 国際収支・経常収支(12月) | ☆☆ |
米卸売在庫(12月確報値) | ☆ | |
9日 | 米新規失業保険申請件数 | ☆☆ |
10日 | 企業物価指数(1月) | ☆☆ |
中国消費者物価指数(1月) | ☆☆ | |
中国生産者物価指数(1月) | ☆☆ | |
英国内総生産(GDP)速報値(10-12月期) | ☆☆ | |
英鉱工業生産指数(12月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(2月速報値) | ☆☆ | |
米財政収支(1月) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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