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金は米FOMCの大幅利上げ見通しが圧迫
2022/5/9
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金はG7のロシア産原油禁輸で投資資金の動向も確認
5月2日の週のニューヨーク金市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利上げ見通しを受けて下値を試した。中心限月となる6月限は2月15日以来の安値1,849.7ドルを付けた。米FOMCでは、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.50%ポイント引き上げ、0.75〜1.00%とした。また6月に保有資産の縮小に着手することも決定した。米短期金利先物市場では6月の0.75%ポイントの利上げを織り込む動きとなったが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)は今後のFOMCで0.75%ポイントの利上げは「積極的に」検討しないと述べた。ドル高が一服し、金が買い戻される場面も見られた。米FRBは中立金利となる2.0〜2.5%への利上げを機械的に進める見通しである。ただ3月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比6.6%上昇しており、インフレ抑制にはさらなる利上げが必要である。CMEのフェドウォッチによると、6日時点の6月の0.75%ポイント利上げの確率は9.3%(前週35.2%)に低下したが、ドル指数は104.06と2002年12月以来の高値を付けており、ドル高が続くと、金の圧迫要因になるとみられる。
欧州連合(EU)欧州委員会のフォンデアライエン委員長は4日、欧州議会で、ウクライナ侵攻を受けた対ロ制裁の第6弾として、ロシア産原油の段階的輸入禁止、主要銀行や放送局への制裁措置を提案した。ただハンガリー、スロバキア、チェコには時間的猶予を与えるとしている。主要7カ国(G7)首脳も8日、ロシア産原油輸入を禁止する方針を表明しており、ロシアからの輸出はさらに減少する見通しである。原油などエネルギー価格の行方とインフレ見通しを確認したい。一方、ロシアのプーチン大統領は8日、対独戦勝記念日を前に「人々に戦争の災禍をもたらしたナチズムの復活を許さないことが共通の義務だ」と述べた。ウクライナのゼレンスキー大統領はクリミア半島を取り戻すと述べ、米独首脳会談ではロシアによるいかなるウクライナ領土の獲得も認めない方針で一致しており、今後のウクライナ情勢の行方を確認したい。
イングランド銀行(BOE)は政策金利を0.25%ポイント引き上げ、1%とすると発表した。利上げは昨年12月から4会合連続。保有資産の圧縮に向けた方針も表明した。一方、成長率見通しについては、2022年は3.75%と従来の見通しを維持したが、2023年は0.25%のマイナス成長に陥るとし、従来のプラス1.25%成長から下方修正した。エネルギー価格の上昇が成長率を押し下げるとしている。また中国の景気後退(リセッション)リスクも高まっており、世界経済の景気減速に対する懸念が出ている。米金融大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)が公表した調査によると、4日までの1週間に欧州株から41億ドル、米国株から21億ドル、日本株から10億ドルがそれぞれ流出した。流出は欧州株が12週連続、米国株が4週連続、日本株が8週連続。各国の中央銀行が利上げを開始したことを受けて株式市場から投資資金が流出しており、金ETF(上場投信)の動向も焦点である。
5月6日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比12.55トン減の1,082.00トンとなった。米連邦公開市場委員会(FOMC)の大幅利上げ見通しなどを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月3日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万9,168枚となり、前週の21万8,024枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万7,072枚、新規売りが1,784枚出て、1万8,856枚買い越し幅を縮小した。
プラチナは買い戻し主導で上昇
ニューヨーク・プラチナ7月限は、売られ過ぎ感から買い戻し主導で堅調となり、4月20日以来の高値993.1ドルを付けた。大口投機家が途転売り越しとなるなか、900ドル前後で下げ止まり、実需筋の買い戻しが入った。ただ米連邦公開市場委員会(FOMC)の大幅利上げ見通しや景気減速懸念が上値を抑える要因である。当面は900〜1,000ドルのレンジで方向性を模索することになりそうだ。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、5日のロンドンで16.42トン(前週末16.05トン)、ニューヨークで37.54トン(同37.70トン)、南アで10.77トン(同11.01トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月3日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の売り越しは1,541枚となり、前週の2,357枚から縮小した。
ニューヨーク金は200日移動平均線に接近
ニューヨーク金6月限は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の大幅利上げ見通しを受けて軟調となり、2月15日以来の安値1,849.7ドルを付けたのち、下げ一服となった。6月の米FOMCでの0.75%利上げを織り込んだが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が否定的な見方を示したことが下支えになった。ただ0.50%の大幅利上げが続く見通しであり、戻りは売られやすい。一方、主要7カ国(G7)首脳がロシア産原油の輸入禁止を表明しており、今週はロシアの対独戦勝記念日後のウクライナ情勢を確認したい。テクニカル面では200日移動平均線(6日1,840.21ドル)に近づいており、ここを維持できるかどうかが焦点である。
5月9日からの週の注目ポイント
9日 | 香港休場 | ☆ |
日銀金融政策決定会合議事要旨 | ☆☆☆ | |
中国貿易収支(4月) | ☆☆ | |
米卸売在庫(3月確報) | ☆ | |
10日 | 独ZEW景況感指数(5月) | ☆☆ |
11日 | 中国消費者物価指数(4月) | ☆☆ |
中国生産者物価指数(4月) | ☆☆ | |
独消費者物価指数(4月確報) | ☆☆ | |
米消費者物価指数(4月) | ☆☆☆ | |
米財政収支(4月) | ☆☆ | |
12日 | 国際収支・経常収支(3月) | ☆ |
英国内総生産(1-3月期速報) | ☆☆☆ | |
英鉱工業生産指数(3月) | ☆☆ | |
米生産者物価指数(4月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
13日 | ユーロ圏鉱工業生産(3月) | ☆☆ |
米輸出入物価指数(4月) | ☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(5月速報) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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