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金は米FRBの大幅利上げ見通しが圧迫
2022/4/25
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金はロシアとウクライナの戦闘の行方も確認
4月18日の週のニューヨーク金市場は、インフレヘッジの買いが一服したのち、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ見通しによる米国債の利回り上昇を受けて反落した。中心限月となる6月限は3月11日以来の高値2,003.0ドルを付けたのち、1,950ドルの節目を割り込んだ。米金融当局者のタカ派発言が目立つなか、パウエル米FRB議長は、5月3〜4日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(bp)の利上げが「検討される」と述べた。インフレ率がFRB目標である2%の約3倍に達していることから、「もう少し迅速に動くことが適切だ」とした。米10年債利回りは2018年12月以来となる2.98%まで上昇した。CMEのフェドウォッチによると、5月の米FOMCでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準は0.75〜1.00%の確率が99.6%となり、大幅利上げを織り込んでいる。また6〜9月の米FOMCの大幅利上げの確率が急速に上昇した。欧州中央銀行(ECB)当局者の利上げ発言も出ているが、ラガルドECB総裁は、ロシアによるウクライナ侵攻が家計や企業に重くのしかかるなか、成長見通しをさらに引き下げなくてはならない可能性があると述べており、ドル高が続くと、金の圧迫要因になるとみられる。
ロシアのショイグ国防相は、ロシア軍はウクライナ東部のルガンスクとドネツク両地域の「解放」計画を「系統的に実施している」と述べた。ウクライナ国防省のモツヤニク報道官は、ウクライナ東部におけるロシア軍の新たな軍事攻撃の目的は同地域を制圧し、東部とクリミアとをつなげ、ウクライナ軍を打ち負かすことだと述べた。ロシアはウクライナ東部と南部を制圧し、5月9日の対独戦勝記念日に勝利宣言を出すことを目指しているとみられている。ただゼレンスキー大統領はロシア軍に対抗するためのさらなる軍事支援を西側諸国に求め、徹底抗戦する方針である。バイデン米大統領はウクライナに対する8億ドル規模の追加軍事支援を発表しており、戦闘の長期化が見込まれる。一方、ロシア国防省は、次世代の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」の発射実験が成功したと発表した。核兵器で西側諸国をけん制しており、今後の行方を確認したい。
国際通貨基金(IMF)は世界経済見通しで、2022年の世界経済の成長率予測を1月時点の予測から0.8%ポイント下方修正し、3.6%とした。ロシア産エネルギーに対する追加制裁、戦争の拡大、予想を上回る中国経済の減速、新型コロナウイルスの再流行で、さらに景気が減速し、インフレが進行する可能性があると指摘した。原油が急落する場面も見られ、バブル崩壊で株安が進むと、金に現金化の動きが出る可能性もある。
4月22日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比4.64トン増の1,104.13トンとなった。インフレヘッジとして買われたが、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ見通しを受けて一部利食い売りが出た。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月19日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは23万9,757枚となり、前週の25万4,287枚から縮小した。今回は手じまい売りが7,419枚、新規売りが7,111枚出て、1万4,530枚買い越し幅を縮小した。
プラチナは米FRBの大幅利上げ見通しや景気減速懸念が圧迫
ニューヨーク・プラチナ7月限は、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ見通しや景気減速懸念を受けて軟調となり、1月10日以来の安値923.0ドルを付けた。5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅利上げが確実視されている。一方、国際通貨基金(IMF)が世界経済の成長率見通しを大幅に下方修正し、原油が急落した。株安も進んでおり、リスク回避の動きが強まると、900ドルの節目を試す可能性も出てくる。ただ上海プラチナの出来高が急増する場面も見られ、実需筋の安値拾いの買いが入っており、下支えになるかどうかを確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、21日のロンドンで16.35トン(前週末16.30トン)、ニューヨークで37.85トン(同37.85トン)、南アで11.01トン(同11.01トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月19日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは7,537枚ろなり、前週の6,415枚から拡大した。
ニューヨーク金は米大幅利上げ見通しで2,000ドル台で上げ一服
ニューヨーク金6月限は、インフレ懸念が支援要因となり、3月11日以来の高値2,003.0ドルを付けたのち、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げ見通しを受けて上げ一服となった。米10年債利回りが3%直前まで上昇し、金に利食い売りが出た。ただロシアとウクライナの戦闘長期化見通しで先行き不透明感も強く、逃避買いが入りやすい。1,893.2〜2,003.0ドルの新たなレンジを形成しており、当面は5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)やロシアの対独戦勝記念日を控え、方向性を模索することになりそうだ。
4月25日からの週の注目ポイント
25日 | 豪州・ニュージーランド休場 | ☆ |
独ifo景況感指数(4月) | ☆☆ | |
26日 | 失業率(3月) | ☆☆ |
米耐久財受注(3月速報) | ☆☆ | |
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(2月) | ☆☆ | |
米新築住宅販売(3月) | ☆☆☆ | |
米消費者信頼感指数(4月) | ☆☆ | |
27日 | 南ア休場 | ☆ |
日銀金融政策決定会合1日目 | ☆☆ | |
米卸売在庫(3月速報) | ☆ | |
米中古住宅販売仮契約指数(3月) | ☆☆ | |
28日 | 鉱工業生産指数(3月速報) | ☆ |
日銀総裁記者会見 | ☆☆☆ | |
独消費者物価指数(4月速報) | ☆☆ | |
米国内総生産(1-3月期速報) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
29日 | 昭和の日 | ☆ |
中国財新製造業購買担当者景況指数(4月) | ☆☆ | |
ユーロ圏域内総生産(1-3月期速報) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(4月速報) | ☆☆☆ | |
米個人所得・支出(3月) | ☆☆☆ | |
米雇用コスト指数(1-3月期) | ☆☆☆ | |
米シカゴ購買部協会景気指数(4月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(4月確報) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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