金・銀・プラチナ > 金・プラチナ取引とは(金・銀・プラチナの特徴) > 金・銀・プラチナについてもっと知ろう!「マーケットレポート・コラム」 > 金はドル安も米FRBの利上げ見通しが上値を抑える
金はドル安も米FRBの利上げ見通しが上値を抑える
2022/1/17
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米国債の利回り上昇が再開すると圧迫要因に
1月10日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ見通しを織り込み、ドル安に振れたことを受けて堅調となった。中心限月となる2月限は5日以来の高値1,829.3ドルを付けた。パウエル米FRB議長は、上院銀行委員会で開かれた議長再任指名に関する公聴会で証言し、米経済はFRBによる大規模な刺激策を「もはや必要としておらず」、現在見られる新型コロナウイルス感染者の急増に伴う「短期的」な影響を切り抜ける見通しで、FRBが年内に計画する金融引き締めに対する準備が整っているという見解を示した。米10年債利回りは10日に1.81%まで上昇し、2年ぶりの高水準となったが、米FRBの早期利上げ見通しを織り込んだことから上げ一服となった。12月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.0%上昇と前月の6.8%上昇から加速し、39年6カ月ぶりの高い伸びを記録した。ただ12月の米小売売上高は前月比1.9%減少し、10カ月ぶりの大幅な落ち込みとなった。消費者が年末商戦の購入を前倒ししたことが背景にある。リスク回避でドル安が一服しており、ドル高が再開するようなら金の戻りは売られるとみられる。また1月の米ミシガン大消費者信頼感指数速報値は68.8と12月確報値の70.6から低下し、過去10年間で2番目の低水準となった。新型コロナウイルスの感染拡大と高インフレを受けて消費者心理が悪化した。CMEのフェドウォッチによると、米短期金利先物市場でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準(現在0〜0.25%)は、3月の0.25〜0.50%の確率が79.0%(1カ月前39.9%)となり、量的緩和の縮小(テーパリング)終了直後の利上げを織り込んでいる。
ウクライナを巡る欧米とロシアの協議の行方も焦点である。ロシアは米国が主導する北大西洋条約機構(NATO)に対し、旧ソ連構成国の加盟を承認しないよう求めている。しかし、欧州安全保障協力機構(OSCE)の会合で打開策を見いだせず、対話が行き詰まったことから、戦争突入に対する懸念が高まった。ロシアのリャブコフ外務次官は、軍事専門家がプーチン大統領に選択肢を示したと述べた。米ホワイトハウスは、ロシアが外交で目的を果たせなかった場合に戦争の口実を捏造し、ウクライナに近く侵攻する準備を進めているとの懸念を表明した。
1月14日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比0.87トン減の976.21トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ見通しを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月11日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万9,737枚となり、前週の21万1,355枚から縮小した。今回は手じまい売りが6,481枚、新規売りが5,137枚出て1万1,618枚買い越し幅を縮小した。
プラチナはドル安が支援もリスク回避で上げ一服
ニューヨーク・プラチナ4月限は、ドル安を受けて堅調となり、983.0ドルまで戻したが、リスク回避の動きが出ると上げ一服となった。米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ見通しを織り込み、ドル安に振れたが、米小売売上高が減少し、リスク回避の動きが出ると、上げ一服となった。新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることも上値を抑える要因である。ただ英国で感染率が低下した。政府発表によると、10人に1人だった感染者の割合は15人に1人へと改善した。感染拡大がピークを迎えた可能性があり、各国の感染拡大の行方を確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、1月13日のロンドンで16.47トン(前週末16.39トン)、ニューヨークで36.75トン(同36.75トン)、南アで13.01トン(同12.98トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月11日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは5,289枚となり、前週の6,762枚から縮小した。
ニューヨーク金は200日移動平均線前後で方向性を模索
ニューヨーク金2月限は、米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ見通しを織り込み、ドル安に振れたことを受けて堅調となり、5日以来の高値1,829.3ドルを付けた。中長期の節目となる200日移動平均線(14日1,805.51ドル)を上回ったが、3日の戻り高値1,833.0ドルを突破できず、テクニカル面で中立である。ただロシアのウクライナ侵攻に対する懸念も出ており、地政学的リスクも確認したい。
1月17日からの週の注目ポイント
17日 | 米国休場 | ☆ |
機械受注(11月) | ☆☆ | |
日銀金融政策決定会合1日目 | ☆☆ | |
中国国内総生産(10-12月期) | ☆☆☆ | |
中国小売売上高(12月) | ☆☆ | |
中国鉱工業生産(12月) | ☆☆ | |
18日 | 日銀総裁記者会見 | ☆☆☆ |
英雇用統計(12月) | ☆☆ | |
独ZEW景況感指数(1月) | ☆☆ | |
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(1月) | ☆☆ | |
対米証券投資(11月) | ☆☆ | |
19日 | 独消費者物価指数(12月確報) | ☆☆ |
英消費者物価指数(12月) | ☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(12月) | ☆☆ | |
20日 | 貿易収支(12月速報) | ☆☆ |
ユーロ圏消費者物価指数(12月確報) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(1月) | ☆☆ | |
米中古住宅販売統計(12月) | ☆☆ | |
21日 | 消費者物価指数(12月) | ☆☆☆ |
日銀金融政策決定会合議事要旨 | ☆☆☆ | |
英小売売上高指数(12月) | ☆☆ | |
米景気先行指数(12月) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
金・銀・プラチナについてもっと知ろう!
当コラムに関してご留意頂きたい事項
- 当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
- 当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドの見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
- 本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
ご注意事項
- 買付時の手数料は、売買代金の1.65%(税込)、売却時の手数料は無料です。
- 本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
- 本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。 - 本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
- 本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
- 本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
- スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。