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金は米FRBの早期利上げ観測で上げ一服
2022/1/4
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金はETFの投資資金の動向も確認
12月27日の週のニューヨーク金市場は、新型コロナウイルスのオミクロン変異株に対する懸念が後退し、リスク選好の動きとなったことを受けて堅調となった。ただ年明けに11月22日以来の高値1,833.0ドルを付けたのちは米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ観測を背景にドル高に振れたことをきっかけに戻りを売られ、1,800ドル前後に下落した。今週は5日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、7日に12月の米雇用統計の発表があり、強い内容になると、金の売り圧力が強まる可能性がある。CMEのフェドウォッチによると、米短期金利先物市場でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準(現在0〜0.25%)は3月の0.25〜0.50%の確率が61.3%となり、1カ月前の25.9%から上昇した。12月の米FOMCで量的緩和の縮小(テーパリング)加速が決定されており、テーパリング終了と同時に利上げされる可能性が高まった。
新型コロナウイルスのデルタ株がオミクロン株に置き換わるなか、感染拡大が続いているが、毒性が低下したことから、先行きに対する懸念は後退した。ジョンソン英首相は、オミクロン株の病原性はこれまでの変異株よりも「明らかに穏やか」との考えを示し、英国で新たな抑制策を導入する必要はないと述べた。一方、米国では冬休み明けの学校の対面授業再開の延期、もしくはオンライン授業に急きょ切り替える動きが相次いでいる。米クレジットカード大手・マスターカードが発表した昨年11月1日〜12月24日の利用状況によると、米年末商戦の小売売上高は前年比8.5%増加した。好調な年末商戦もリスク選好を促す要因になった。ただ買い物客が集中する前にプレゼントを購入したことが背景にあり、今後も堅調な個人消費が続くかどうかは労働市場の行方に左右されるとみられる。12月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が40万人増(前月21万人増)、失業率は4.1%(同4.2%)が予想されている。
ウクライナを巡る米ロの協議の行方も当面の焦点である。バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領は12月30日に電話会談を行い、ウクライナ情勢を巡る緊張が高まれば、米ロ関係の決裂につながる可能性があると互いに警告した。一方で外交的関与を引き続き進める姿勢も示し、今月の協議で緊張緩和の道が開けるとの期待も示した。ロシアと北大西洋条約機構(NATO)は12日に協議を行うほか、ロシア、米、複数の欧州の国を含む拡大会合が13日に開催される見通しとなっている。ロシアはNATOの東方不拡大を保証することを要求している。
1月3日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は12月23日比2.03トン増の975.66トンとなった。テクニカル面で改善し、小口の買いが入った。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しなどを背景に戻り場面で投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月28日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは21万3,156枚となり、前週の20万5,811枚から拡大した。今回は新規買いが7,251枚、買い戻しが94枚入り、7,345枚買い越し幅を拡大した。
プラチナはドル高で上げ一服
ニューヨーク・プラチナ4月限は、リスク選好の動きを受けて11月26日以来の高値989.9ドルを付けた。年明けは押し目を買われる場面も見られたが、米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ観測によるドル高を受けて上げ一服となった。新型コロナウイルスの感染拡大が続いているが、オミクロン変異株に対する懸念が後退し、景気の先行きに対する楽観的な見方が強い。プラチナETF(上場投信)に安値拾いの買いが入ると、下支えになるとみられる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、12月30日のロンドンで16.48トン(前週末16.54トン)、31日のニューヨークで36.91トン(同37.35トン)、南アで12.98トン(同13.13トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月28日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは4,469枚となり、前週の1,268枚から拡大した。
ニューヨーク金は200日移動平均線を試す
ニューヨーク金2月限は、新型コロナウイルスのオミクロン変異株に対する懸念が後退し、リスク選好の動きとなったことを受けて堅調となり、11月22日以来の高値1,833.0ドルを付けた。ただ米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ観測を背景にドル高に振れたことをきっかけに上げ一服となり、1,800ドル前後に下落した。中長期の節目となる200日移動平均線(3日1,801.83ドル)を試しており、テクニカル面で悪化すると、戻り売り圧力が強まる可能性がある。今週は5日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、7日に12月の米雇用統計の発表がある。
1月3日からの週の注目ポイント
3日 | 日本・豪州・中国・香港・英国休場 | |
4日 | 中国財新製造業購買担当者景況指数(12月) | ☆☆ |
独小売売上高(11月) | ☆☆ | |
独雇用統計(12月) | ☆☆ | |
米ISM製造業景況指数(12月) | ☆☆☆ | |
5日 | 全米雇用報告(12月) | ☆☆☆ |
米FOMC議事録 | ☆☆☆ | |
6日 | 中国財新サービス業購買担当者景況指数(12月) | ☆☆ |
独製造業受注(11月) | ☆☆ | |
ユーロ圏生産者物価指数(11月) | ☆☆ | |
独消費者物価指数(12月速報) | ☆☆ | |
米貿易収支(11月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米製造業新規受注(11月) | ☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(12月) | ☆☆☆ | |
7日 | 全世帯家計調査・消費支出(11月) | ☆ |
独鉱工業生産指数(11月) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(12月速報) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏小売売上高(11月) | ☆☆ | |
米雇用統計(12月) | ☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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