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金は米雇用統計で労働市場に対する見方を確認
2021/8/2
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米FOMC後のドル安でETFに投資資金が戻る
7月26日の週のニューヨーク金市場は、中国の規制強化によるリスク回避の動きに上値を抑えられたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル安を受けて地合いを引き締めた。米FOMCでは、新型コロナウイルスの感染者が増加しているにもかかわらず、米経済の回復は引き続き順調との見方を表明した。また金融支援策の最終的な撤回に向けた議論を継続する意向を示した。ただ具体的な縮小時期などを示すには至らなかった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が慎重姿勢を示すと、ドル安に振れた。同議長は、利上げ検討は程遠いとの認識を示した。また経済支援策を撤回する時期を迎えるには、米労働市場にはまだ「いくつかの着手すべき問題がある」と述べた。一方、米セントルイス地区連銀のブラード総裁は、米FRBが今秋にテーパリング(量的緩和の縮小)を開始すべきとの見解を示した。インフレ懸念を背景としたタカ派発言が出たが、雇用不足によるハト派の意見もあり、今週発表される7月の米雇用統計で労働市場に対する見方を確認したい。事前予想は非農業部門雇用者数が88万8,000人増(前月85万人増)、失業率が5.7%(同5.9%)となっている。
第2四半期の米国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比6.5%増加し、規模としては新型コロナウイルス禍前の2019年第4四半期を上回った。個人消費や企業の設備投資が堅調で、成長を後押しする一方、サプライチェーン(供給網)の制約に伴う在庫の大幅な切り崩しが重しとなった。ただ事前予想の8.5%増を下回った。米疾病対策センター(CDC)は、新型コロナウイルスのデルタ株には水ぼうそう並みの感染力があり、ワクチン接種を完了している人にも感染する可能性があるほか、従来のコロナウイルスよりも重症化する恐れがあるという内部文書を公表した。米国内では、職員や従業員らにワクチン接種や屋内でのマスク着用を義務付ける動きが広がっており、今後の感染拡大の行方を確認したい。一方、英インペリアル・カレッジの疫学者ニール・ファーガソン氏は27日、新型コロナウイルスワクチンのおかげで入院・死亡リスクが劇的に低下したとして、英国での感染はあと数カ月で収束する可能性があると述べた。26日に報告された新型コロナウイルスの新規感染者は2万4,950人と、前日の2万9,173人から減少し、7月4日以来の低水準となった。6日連続の減少で、デルタ株の流行による最近の感染拡大はピークを越えた可能性がある。イングランドで19日に規制がほぼ解除されたが、新規感染者数が半年ぶりに5万人を超え、先行き不透明感が出ていた。
中国は24日、学校の教科課程に関する個別指導やオンライン学習サービスを手掛ける企業に非営利団体への転換を求めた。学習塾熱が子供たちの負担となるほか教育費を高騰させるとの業界への批判が規制の背景にある。オンライン学習の大手企業に多額の投資をしているファンドに対する懸念が出た。またネットサービス大手テンセント・ホールディングスに対し、音楽の著作権について独占的な契約を結ぶことを禁じた。規制強化に対する懸念を受けてリスク回避の動きとなり、株価が急落した。規制強化の影響も当面の焦点である。
7月30日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比4.08トン増の1,031.46トンとなった。米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル安を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、7月27日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万9,388枚となり、前週の19万5,972枚から拡大した。今回は手じまい売りが3,624枚、買い戻しが7,040枚入り、3,416枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは中国の規制強化やサプライチェーンに対する懸念が圧迫
ニューヨーク・プラチナ10月限は米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル安が下支えになったが、中国の規制強化やサプライチェーンに対する懸念を受けて戻りを売られ、6月21日以来の安値1,032.5ドルを付けた。中国の規制強化を受けてリスク回避の動きとなった。一方、第2四半期の米国内総生産(GDP)速報値が予想以下となり、サプライチェーンに対する懸念が出た。半導体不足を受けて自動車生産が減少している。ただ中長期の景気回復見通しに変わりがなければ、安値拾いの買いが下支えになるとみられる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、29日のロンドンで19.51トン(前週末19.46トン)、ニューヨークで39.62トン(同39.62トン)、南アで15.98トン(同15.98トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、7月27日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万1,795枚買い越しとなり、前週の1万2,113枚買い越しから縮小した。
ニューヨーク金は200日移動平均線を突破できず
ニューヨーク金8月限は、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大を背景とした米国債の利回り低下が支援要因になる場面も見られたが、リスク選好の動きが戻ると、上げ一服となった。感染拡大が続いているが、ワクチン接種で死者や重症者が減少した。また米企業の好決算を受けて株価の押し目を買われた。テクニカル面では中長期の節目となる200日移動平均線(23日1,833.1ドル)を突破できず、弱気である。内部要因では先物市場での短期筋の買いが続いているが、金ETF(上場投信)から投資資金が流出したことが上値を抑える要因である。今週は27〜28日に米連邦公開市場委員会(FOMC)がある。
8月2日からの週の注目ポイント
2日 | オーストラリア休場 | ☆ |
中国財新製造業購買担当者景況指数(7月) | ☆☆ | |
3日 | 独小売売上高(6月) | ☆☆ |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(7月確報) | ☆☆ | |
米ISM製造業景況指数(7月) | ☆☆☆ | |
オーストラリア準備銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
ユーロ圏生産者物価指数(6月) | ☆☆ | |
米製造業新規受注(6月) | ☆☆ | |
4日 | 中国財新サービス業購買担当者景況指数(7月) | ☆☆ |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(7月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏小売売上高(6月) | ☆☆ | |
全米雇用報告(7月) | ☆☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(7月) | ☆☆☆ | |
5日 | 独製造業受注(6月) | ☆☆ |
英中銀政策金利発表 | ☆☆☆ | |
米貿易収支(6月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
6日 | 独鉱工業生産指数(6月) | ☆☆ |
シカゴ購買部協会景気指数(7月) | ☆☆ | |
米卸売在庫(6月) | ☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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