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金はリスク選好のドル安見通しが支援
2021/1/4
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金はETFに投資資金が戻るかどうかも焦点
12月28日の週のニューヨーク金市場で、中心限月となる2月限は21日以来の高値1,904.1ドルを付けたのち、年末前に手じまい売りに上値を抑えられて上げ一服となった。英国と欧州連合(EU)の通商合意に加え、トランプ米大統領が追加経済対策と歳出法案に署名し、リスク選好の動きが支援要因になった。ただ新型コロナウイルスの感染拡大が続き、短期的に景気の下振れリスクが残っていることが上値を抑える要因になった。英国は変異種の感染拡大を受けて最も厳しい対象地域を拡大した。英国では英アストラゼネカとオックスフォード大学が共同開発したワクチンが30日に承認され、接種が開始される見通しであることから、ロックダウン(都市封鎖)は2月末には緩和される可能性がある。ただ米国でのワクチン接種は目標に届かず、1日時点の死者は35万人に達した。中長期の景気回復見通しからリスク選好のドル安が見込まれているが、感染拡大で景気の二番底に対する懸念が出ると、金の上値を抑える要因になるとみられる。
トランプ米大統領は27日、9,000億ドル規模の追加経済対策と1兆4,000億ドル規模の歳出法案に署名した。米大統領が要求した個人給付額を2,000ドルに引き上げる法案は米下院で可決され、米上院で審議されたが、採決は見送られた。米上院では1日の採決で米大統領が拒否権を行使した国防権限法を再可決した。当面は米ジョージア州で5日に行われる米上院の2議席を巡る決選投票が焦点である。民主党が2議席とも確保すれば上下両院を支配することになる。一方、欧州連合(EU)加盟国は29日、英国との間で合意した自由貿易協定(FTA)などを承認した。「暫定適用」で欧州議会の承認なしに合意を発効させた。欧州議会は近く承認する見通しである。
米国と欧州連合(EU)は中国が市民記者の張展氏に懲役4年の実刑判決を下したことに対し、強く非難する声明を発表した。同氏は新型コロナウイルスの流行で湖北省武漢から実態を報じており、上海の裁判所は同氏が「混乱を誘発した」とした。ポンペオ米国務長官は、中国共産党は武漢での感染状況を巡る情報を制限し、操作していると批判した。世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスの起源を調査するため、国際調査団を1月第1週に武漢市に派遣する予定であり、調査の行方を確認したい。
12月31日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比3.21トン増の1,170.74トンとなった。リスク選好のドル安見通しなどを背景に押し目を買われた。ただ中長期の景気回復見通しは機関投資家のポートフォリオ組み替えを促し、金ETFから投資資金が流出する可能性もある。新型コロナウイルスのワクチン開発を受けて一部でビットコインへの投資資金流出が指摘されており、今年はドル安・インフレ見通しを背景に投資資金が戻るかどうかも焦点である。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月21日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは27万8,196枚となり、前週の27万1,584枚から拡大した。今回は新規買いが9,260枚、新規売りが2,648枚入り、6,612枚買い越し幅を拡大した。29日時点の建玉明細報告は新年の祝日により、4日に発表される。
プラチナはリスク選好が支援
ニューヨーク・プラチナ4月限は、リスク選好の動きを受けて堅調となり、12月4日以来の高値1,091.8ドルを付けた。英国と欧州連合(EU)の通商合意に加え、米大統領が追加経済対策や歳出法案に署名した。ただ新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、当面は短期的な景気の下振れリスクに対する懸念が出るかどうかも焦点である。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、30日のロンドンで18.84トン(前週末18.83トン)、29日のニューヨークで38.74トン(同38.74トン)、30日の南アで16.07トン(同16.07トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月21日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万4,705枚(前週2万5,076枚)に縮小した。
ニューヨーク金は1,900ドル前後の抵抗帯を試す
ニューヨーク金2月限は11月9日以来の高値1,912.0ドルを付けたのち、年末前の手じまい売りに上値を抑えられたが、リスク選好のドル安見通しから押し目は買われ、再び1,900ドルの節目を試した。新型コロナウイルスの感染拡大で短期的な景気の下振れリスクが残り、手じまい売りが出やすい。ただワクチンの接種開始に加え、英国と欧州連合(EU)の通商合意や米国での追加経済対策の成立で中長期の景気回復が見込まれており、リスク選好のドル安が進むとみられている。年明けから買い意欲が強まると、戻り高値を突破し、昨年11月の高値1,973.3ドルを目指すことになりそうだ。
1月4日からの週の注目ポイント
4日 | 大発会 | ☆ |
中国財新製造業購買担当者景況指数(12月) | ☆☆ | |
5日 | 独雇用統計(12月) | ☆☆ |
米ISM製造業景況指数(12月) | ☆☆☆ | |
6日 | 中国財新サービス業購買担当者景況指数(12月) | ☆☆ |
独消費者物価指数(12月速報) | ☆☆ | |
全米雇用報告(12月) | ☆☆☆ | |
米製造業新規受注(11月) | ☆☆ | |
米FOMC議事録 | ☆☆☆ | |
7日 | ユーロ圏消費者物価指数(12月速報) | ☆☆☆ |
米貿易収支(11月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(12月) | ☆☆☆ | |
8日 | 独鉱工業生産指数(11月) | ☆☆ |
米雇用統計(12月) | ☆☆☆ | |
米卸売在庫((11月) | ☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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