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金は米中の貿易戦争激化が支援要因
2019/8/26
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米中の通商協議の行方も確認
8月19日の週のニューヨーク金市場は、中国やドイツの政策に関する報道を受けてリスク回避の動きが一服し、調整局面を迎えた。ただパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演で追加利下げが示唆されるとの見方が下支え要因になった。その後は中国が750億ドルの米国製品に対して追加関税を課すと発表したことや、米FRB議長の講演後にドル安に振れたことを受けて急反発した。
中国は23日、750億ドルの米国製品に対して5〜10%の追加関税を課すと発表した。トランプ米大統領が発表した第4弾の対中追加関税に対する報復措置で、一部は9月1日、残りは12月15日に発動される。米大統領は同日、対抗措置を発表し、既に発動している2,500億ドルの中国製品に対する25%の関税率を10月1日から30%に引き上げ、9月1日と12月15日に発動を予定している3,000億ドルに対する関税率を従来の10%から15%に変更するとした。第4弾の対中追加関税が発動すると、中国の経済成長率が6%以下に鈍化するとの見方が出ている。今回の米中の対立激化で見通しはさらに悪化するとみられる。一方、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は22日、数日以内に米中の電話協議をすると述べた。これまで電話協議がうまくいけば中国側を米国に招いて閣僚級協議を行うことを計画しているとしており、協議で対立激化が避けられるかどうかも当面の焦点になりそうだ。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は23日、ジャクソンホールの経済シンポジウムで講演し、米経済は「良好な立場」にあり、米FRBは足元の景気拡大を維持すべく「適切に対応」すると述べた。前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で同議長は、利下げについて「サイクル半ばの政策調整」としたが、今回はドイツや中国の景気減速や、英国の合意なき欧州連合(EU)離脱の可能性、香港の緊張激化、イタリアの政局不安などを指摘し、金融政策に影響を与えかねないとの見方を示した。米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁と米カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁が追加利下げは不要との見方を示したが、市場では9月17〜18日の米FOMCでの追加利下げの見方が強い。CMEのフェドウォッチによると、23日の米短期金利先物市場で12月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準の確率は1.25〜1.50%が33.0%(前週49.1%)、1.50〜1.75%が47.8%(同33.7%)、1.75〜2.00%が15.0%(同5.7%)となった。現在の2.00〜2.25%から年末までに2〜3回の利下げが見込まれている。
8月23日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比16.43トン増の859.83トンとなった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演で追加利下げが示唆されるとの見方や、米中の貿易戦争激化を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月20日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは29万9,993枚となり、前週の29万0,090枚から拡大した。今回は新規買いが6,071枚、買い戻しが3,832枚入り、9,903枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは米中の貿易戦争激化で上げ一服に
ニューヨーク・プラチナ期近10月限は、中国やドイツの政策に関する報道を受けてリスク回避の動きが一服したことや、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演で追加利下げが示唆されるとの見方を受けて堅調となり、8日以来の高値872.3ドルを付けた。しかし、中国の対米報復関税の発表や株価急落に上値を抑えられて上げ一服となった。米FRB議長の講演後にドル安に振れたことは下支え要因だが、トランプ米大統領が関税率引き上げを発表しており、米中の貿易戦争激化から先行き懸念が強まると、プラチナの上値を抑える要因になるとみられる。米中の通商協議で対立激化が回避できるかどうかも当面の焦点である。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、22日のロンドンで13.11トン(16日12.96トン)、23日のニューヨークで23.04トン(同22.75トン)、南アで31.96トン(同32.18トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月20日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万9,615枚(前週2万1,676枚)に縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。
ニューヨーク金は調整局面後の押し目を買われる
ニューヨーク金12月限はリスク回避の動きが一服したことを受けて調整局面を迎えたが、中国が対米報復関税を発表したことやパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演後にドル安に振れたことを受けて急反発した。米大統領は中国の措置に対して関税率引き上げを発表しており、先行き懸念の高まりから逃避買いが入ると、一代高値を更新して1,550ドルや1,600ドルの節目を試すことになりそうだ。
8月26日からの週の注目ポイント
26日 | 英国休場 | ☆ |
景気動向指数(6月改定) | ☆ | |
独ifo景況感指数(8月) | ☆☆ | |
米耐久財受注(7月) | ☆☆ | |
27日 | 独国内総生産(4-6月期確報) | ☆☆☆ |
米住宅価格指数(6月) | ☆ | |
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(6月) | ☆☆ | |
米消費者信頼感指数(8月) | ☆☆ | |
28日 | 米住宅ローン申請指数 | ☆ |
29日 | 独雇用統計(8月) | ☆☆ |
独消費者物価指数(8月速報) | ☆☆ | |
米国内総生産(4-6月期改定値) | ☆☆☆ | |
米中古住宅販売仮契約指数(7月) | ☆☆ | |
30日 | 失業率(7月) | ☆☆ |
鉱工業生産指数(7月速報) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(8月速報) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏雇用統計(7月) | ☆☆ | |
米個人所得・支出(7月) | ☆☆☆ | |
シカゴ購買部協会景気指数(8月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(8月確報値) | ☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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