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金は米中の貿易戦争休戦で調整局面を警戒
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は今後発表される経済指標を確認
6月24日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測や米国のイラン制裁を受けて急伸した。期近8月限は一代高値1,442.9ドルを付けた。ただ7月の米FRBの大幅利下げが否定されると、ドル安が一服し、金は調整局面を迎えた。米セントルイス地区連銀のブラード総裁は、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(BP)の利下げが必要だとは考えていないと述べた。CMEフェドウォッチによると、米短期金利先物市場で7月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準の確率は1.75〜2.00%が16.3%(前週28.1%)、2.00〜2.25%が83.7%(同71.9%)となり、25BPの利下げが見込まれている。
米中首脳会談では、通商協議を再開することで合意した。トランプ米大統領は、すでに発動した制裁関税は維持するものの、ほぼすべての中国製品に追加関税をかける第4弾の発動は差し控える方針を示した。また貿易合意をいつ達成できるか具体的な期限は示さず、合意を急いでいないと述べた。一方、華為技術(ファーウェイ)をエンティティー・リスト(EL)から除外するか、商務省が数日中に協議する予定だと述べた。中国外務省の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)担当特使の王小龍氏は「米国がその通り実行するなら、もちろん我々は歓迎する」と述べた。ただ米中の貿易戦争休戦が長く続かないとの見方もあり、今後の協議の行方を確認したい。米中が貿易戦争休戦で合意し、先行き懸念が後退することは金の圧迫要因である。ただ米国はこれまでの制裁関税を維持するとしており、今後発表される経済指標を確認したい。6月の中国の製造業購買担当者指数(PMI)は49.4と、前月と同水準となった。事前予想の49.5を下回った。製造業PMIの項目別では新規輸出受注指数が前月から一段と低下し、中国製品2,000億ドル相当への関税引き上げに伴う輸出業者への圧力が影響している。
トランプ米大統領は24日、イランに対する追加制裁を科す大統領令に署名した。同国の最高指導者ハメネイ師のほかイラン精鋭部隊「イスラム革命防衛隊(IRGC)」の幹部を制裁対象とした。米大統領は21日、イランによる米軍の無人偵察機撃墜に対する報復措置として軍事攻撃を承認したものの、その後撤回したことについて、軍事攻撃は無人偵察機の撃墜に対する報復措置としては釣り合いが取れないと判断したためだと説明していた。イランは、米国の制裁は外交の道を永久に閉ざすと批判した。またイラン最高安全保障委員会のシャムハニ事務局長は、2015年の核合意の順守を一段と引き下げる新たな措置を7月7日にとることを明らかにした。イランが保有する低濃縮ウランは核合意に定められた貯蔵量の上限を突破したとみられている。フランスのルドリアン外相は、イランが2015年の核合意の順守を停止すれば、重大な誤りになると警告し、英独仏はこうしたことがイランの国益にかなわないと明確に伝えていると述べた。
6月28日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比4.99トン減の794.04トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の大幅利下げ観測が後退し、利食い売りが出た。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月25日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは23万6,554枚となり、前週の20万4,323枚から拡大した。2017年9月以来の高水準となり、買われ過ぎとの見方が強まると、利食い売りが警戒される。今回は新規買いが2万3,475枚、買い戻しが8,756枚入り、3万2,231枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは貿易戦争休戦で買い戻し主導の上昇を警戒
ニューヨーク・プラチナ期近10月限は、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利下げ観測後退によるドル安一服に上値を抑えられたが、米中首脳会談を控えて買い戻し主導で上値を伸ばし、5月16日以来の高値844.9ドルを付けた。会談では貿易戦争休戦で合意しており、先行き懸念後退から買い戻し主導で上値を伸ばすとみられる。ただ米大統領は、すでに発動した制裁関税は維持するとしており、今後発表される経済指標が弱い内容になると、プラチナの上値を抑える要因になるとみられる。5月の欧州連合(EU27)の新車(乗用車)登録台数が9カ月ぶりに増加したが、欧州自動車工業協会(ACEA)は2019年の乗用車登録台数の見通しを前年比1%減に下方修正した。これまで最大1%増が予想されていたが、英国の欧州連合(EU)離脱に対する不透明感や経済環境の変化を受けて下方修正した。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、26日のロンドンで11.15トン(前週末11.06トン)、28日のニューヨークで21.60トン(同21.30トン)、南アで32.10トン(同31.80トン)に増加した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月25日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1,986枚(前週1,970枚)に拡大した。新規買いが新規売りを上回った。
ニューヨーク金は一代高値更新後に調整局面
ニューヨーク金8月限は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測や米国のイラン制裁を受けて急伸し、一代高値1,442.9ドルを付けた。ただその後は米FRBの大幅利下げが否定されたことをきっかけに調整局面を迎えた。RSIが買われ過ぎの水準に入るなか、金ETF(上場投信)から投資資金が流出しており、利食い売り主導で調整局面が続く可能性がある。また米中首脳会談で通商協議を再開することで合意し、米国の対中追加関税発動は見送られており、先行きに対する懸念が後退すると、金の圧迫要因になるとみられる。
7月1日からの週の注目ポイント
1日 | 香港、カナダ休場 | ☆ |
日銀短観概要及び要旨(6月) | ☆☆☆ | |
中国財新製造業購買担当者景況指数(6月) | ☆☆ | |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(6月確報) | ☆☆ | |
米ISM製造業景況指数(6月) | ☆☆☆ | |
2日 | 豪準備銀行政策金利発表 | ☆☆☆ |
ユーロ圏生産者物価指数(5月) | ☆☆ | |
3日 | 中国財新サービス業購買担当者景況指数(6月) | ☆☆ |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(6月確報) | ☆☆ | |
ADP全米雇用報告(6月) | ☆☆☆ | |
米貿易収支(5月) | ☆☆ | |
米製造業新規受注(5月) | ☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(6月) | ☆☆☆ | |
4日 | 米国休場 | ☆ |
ユーロ圏小売売上高(5月) | ☆☆ | |
5日 | 景気動向指数(5月速報) | ☆ |
米雇用統計(6月) | ☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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