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金は1,300ドル割れも景気減速懸念が下支え
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金はドル高が圧迫要因
3月25日の週のニューヨーク金市場は、ドル高を受けて軟調となり、29日に期近6月限が7日以来の安値1,291.3ドルを付けた。ニュージーランド準備銀行が景気見通しの下振れリスクが増したため、次の政策変更は利下げの可能性が高いとの見方を示したことをきっかけにニュージーランドドルが急落し、ドル高に振れた。これまで米連邦準備理事会(FRB)の利上げ休止の見方が市場の関心を集めていたが、欧州の景気減速懸念に加え、各国中銀のハト派見通しが示されると、ドル買いに転じた。また英国の欧州連合(EU)離脱に対する懸念もドル高要因となった。英下院は3度目のEU離脱協定案を否決した。EU首脳は4月12日まで離脱日を延期し、新たな計画を示すか、合意なき離脱を選ぶか決断するよう求めている。一方、ニューヨーク市場で3カ月物財務省短期証券(Tビル)と10年債利回りの逆イールドを受けて景気減速懸念が高まった。ただ米FRB前議長のジャネット・イエレン氏は、米国債のイールドカーブについて、景気後退でなく、ある時点で利下げを行う必要性を示している可能性を指摘した。米経済指標で景気見通しの行方も焦点である。
ムニューシン米財務長官とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表らが28日、北京に到着し、米中の通商協議が再開された。米当局者は、米中通商協議は議題となっている全ての分野で前進しており、強制的な技術移転に関する問題で中国側がこれまでにない提案を行ったと明らかにした。米ホワイトハウスは、米中が北京で行った通商協議は「建設的」だったとの認識を示し、両国は合意に向け進展しているとの見解を示した。協議は今週も続き、中国の劉鶴副首相がワシントンを訪問し、米交渉団およびトランプ大統領と会談する。米中首脳会談につながるようなら景気の先行き懸念が後退するとみられる。
米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は、このところの米経済の弱さが一時的なものなのか、それとも将来的な悪化の兆しなのかが明確になるまで、米連邦準備理事会(FRB)は市場の圧力に屈して「時期尚早な」利下げに踏み切るようなことがあってはならないという考えを示した。米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は、米FRBが「直ちに」50ベーシスポイント(bp)の利下げを行うことが望ましいとの認識を示している。第4四半期の米国内総生産(GDP)確報値は年率換算で前期比2.2%増と、2月発表の2.6%増から下方改定され、米経済指標は軟調となっている。事前予想は2.4%増だった。今週は米雇用統計などの発表がある。CMEのフェドウォッチによると、12月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準は据え置きの確率が33.7%(前週45.6%)、2.00〜2.25%への利下げの確率が41.4%(同38.8%)、1.75〜2.00%の確率が19.7%(同13.1%)となった。市場では利下げの見方が強まっている。
3月29日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比3.23トン増の784.26トンとなった。世界的な景気減速懸念を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月26日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは11万9,741枚となり、前週の8万8,396枚から拡大した。今回は新規買いが1万0,122枚、買い戻しが2万1,223枚入って3万1,345枚買い越し幅を拡大した。
プラチナはドル高も押し目買い意欲が強い
ニューヨーク・プラチナ期近7月限は、ドル高を受けて軟調となり、28日に18日以来の安値838.7ドルを付けた。パラジウムが景気減速懸念などを受けて調整局面を迎えたことも圧迫要因になった。ただロンドンと南アのプラチナETF(上場投信)に投資資金が流入し、押し目買い意欲が強い。米中の通商協議に対する期待感もあり、引き続き買われると下支え要因になるとみられる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は29日のロンドンで10.33トン(22日10.08トン)に増加、ニューヨークで21.78トン(同21.93トン)に減少、南アで31.74トン(同28.13トン)に増加した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月26日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万4,207枚買い越し(前週1万7,581枚買い越し)に拡大した。
ニューヨーク金はドル高で1,300ドル割れ
ニューヨーク金6月限は、ドル高を受けて軟調となり、7日以来の安値1,291.3ドルを付けた。各国中銀のハト派見通しや英国の欧州連合(EU)離脱に対する懸念を受けてドル高に振れた。英下院は3度目のEU離脱協定案を否決した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げの見方も強まったが、ドル高が続くと、7日安値1,287.5ドルを割り込む可能性もある。ただ世界的な景気減速懸念の強まりが下支え要因であり、安値拾いの買いが入ると下支え要因になるとみられる。今週は米中の通商協議や英国の欧州連合(EU)離脱の行方が引き続き焦点である。
4月1日からの週の注目ポイント
1日 |
日銀短観 概要及び要旨(3月調査) |
☆☆☆ |
---|---|---|
中国財新製造業購買担当者景況指数(3月) |
☆☆ |
|
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(3月確報) |
☆☆ |
|
米小売売上高(2月) |
☆☆☆ |
|
米ISM製造業景況指数(3月) |
☆☆☆ |
|
米企業在庫(1月) |
☆ |
|
2日 |
豪準備銀行政策金利発表 |
☆☆☆ |
ユーロ圏生産者物価指数(2月) |
☆☆ |
|
米耐久財受注(2月) |
☆☆ |
|
3日 |
中国財新サービス業購買担当者景況指数(3月) |
☆☆ |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(3月確報) |
☆☆ |
|
ADP全米雇用報告(3月) |
☆☆☆ |
|
米ISM非製造業景況指数(3月) |
☆☆☆ |
|
4日 |
独製造業受注(2月) |
☆☆ |
米新規失業保険申請件数 |
☆☆ |
|
5日 |
中国・香港休場 |
☆ |
景気動向指数(2月速報) |
☆ |
|
独鉱工業生産指数(2月) |
☆☆ |
|
米雇用統計(3月) |
☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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