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金は景気減速懸念が下支え
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米中の通商協議や英国のEU離脱の行方を確認
3月4日の週のニューヨーク金市場は、ドル高を受けて調整局面を継続し、期近4月限が昨年12月以来の安値1,280.8ドルを付けたのち、下げ一服となった。欧州中央銀行(ECB)理事会で利上げが先送りされ、新たな刺激策が決定されたことや、2月の米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが大幅に鈍化し、景気減速懸念が強まったことが下支え要因となった。ECBは政策金利に関するフォワードガイダンスを修正し、「主要政策金利は少なくとも今年末まで、また必要な間、現行水準にとどまると予想する」とした。また期間2年の貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の第3弾(TLTROーIII)を9月から実施すると発表した。スタッフ予想で、2019年のユーロ圏の経済成長率は1.1%になるとし、昨年12月時点の1.7%から引き下げた。また19年のインフレ率は1.2%とし、前回の1.6%から下方修正した。また2月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が2万人増と事前予想の18万人増を大幅に下回り、2017年9月以来の小幅な伸びとなった。建設や小売りなどの業種でマイナスとなった。ただ失業率は0.2%ポイント低下し3.8%に改善。時間当たり賃金は前月比0.4%増と、1月の0.1%増から加速した。米連邦準備理事会(FRB)当局者は利上げに対する「忍耐強い」姿勢を相次いで表明しており、今後発表される経済指標と景気見通しを確認したい。当面は米中の通商協議や英国の欧州連合(EU)離脱の行方も焦点である。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が3月27日ごろに首脳会談を開き、正式に通商合意を結ぶ可能性があると報じた。また中国が知的財産権の保護強化や米製品の大量購入など公約を履行した場合に限り、米国が昨年から課している対中関税の全てか大半が撤回される可能性が強い、と伝えられた。ただポンペオ米国務長官は、米中通商合意が満足のいく内容とならなければ米大統領に受け入れる意向はないとしつつも、米政府は引き続き合意形成に向けて注力するとの見解を示した。
一方、メイ英首相は欧州連合(EU)離脱問題の方向性を決する12日の議会採決で、首相の離脱案を議会が否決すれば、EU離脱は決して成し遂げられない可能性もあると述べた。EU首脳は譲歩するにしても、英国が離脱を予定する3月29日の直前まで待つとの観測が流れているが、否決されれば、議会は合意なき離脱、次いで離脱延期に関する採決へと進み、不安と分裂が長期化することになるとの見方を示した。
3月8日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比5.88トン減の766.59トンとなった。ドル高を受けて調整局面を継続するなか、投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月5日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは8万8,018枚となり、前週の13万5,696枚から縮小した。今回は手じまい売りが3万4,207枚、新規売りが1万3,471枚出て4万7,678枚買い越し幅を縮小した。
プラチナはドル高や供給過剰見通しが圧迫要因
ニューヨーク・プラチナ期近4月限は、ドル高やワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)の供給過剰見通しを受けて軟調となり、2月19日以来の安値812.6ドルを付けた。WPICは四半期報告で2019年のプラチナは21.2トンの供給過剰を予想し、2018年の20.1トンから過剰幅を拡大し、2013年以来の高水準になるとした。欧州中央銀行(ECB)理事会や2月の米雇用統計を受けて景気減速懸念が強まっており、リスク回避の動きが強まると、プラチナの圧迫要因になるとみられる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は7日のロンドンで9.98トン(1日9.99トン)、8日のニューヨークで21.48トン(同21.64トン)に減少、南アで25.16トン(同24.97トン)に増加した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月5日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万1,463枚となり、前週の1万5,745枚から拡大した。
ニューヨーク金は調整局面で1,300ドル割れ
ニューヨーク金4月限は、ドル高を受けて調整局面を継続し、昨年12月以来の安値1,280.8ドルを付けたのち、下げ一服となった。欧州中央銀行(ECB)が利上げを先送りし、新たな刺激策を決定したことや、2月の米雇用統計が事前予想を下回ったことを受けて景気減速懸念が強まり、金の下支え要因となった。1,300ドル割れの安値を買い拾われており、景気の先行き懸念から逃避買いが入るようなら、金は再び上値を試すことになりそうだ。当面は米中の通商協議や英国の欧州連合(EU)離脱の行方などが焦点である。
3月11日からの週の注目ポイント
11日 |
独貿易収支(1月) |
☆ |
---|---|---|
独鉱工業生産指数(1月) |
☆☆ |
|
米小売売上高(1月) |
☆☆☆ |
|
12日 |
英貿易収支(1月) |
☆ |
英鉱工業生産指数(1月) |
☆☆ |
|
米消費者物価指数(2月) |
☆☆☆ |
|
米財政収支(2月) |
☆☆ |
|
13日 |
機械受注(1月) |
☆☆ |
ユーロ圏鉱工業生産(1月) |
☆☆ |
|
米生産者物価指数(2月) |
☆☆ |
|
米耐久財受注(1月) |
☆☆ |
|
14日 |
日銀金融政策決定会合1日目 |
☆☆ |
中国小売売上高(2月) |
☆☆ |
|
中国鉱工業生産(2月) |
☆☆ |
|
独消費者物価指数(2月確報) |
☆☆ |
|
米輸出入物価指数(2月) |
☆ |
|
米新築住宅販売件数(1月) |
☆☆☆ |
|
15日 |
日銀金融政策決定会合 |
☆☆☆ |
ユーロ圏消費者物価指数(2月確報) |
☆☆☆ |
|
ニューヨーク連銀製造業景況指数(3月) |
☆☆ |
|
米鉱工業生産・設備稼働率(2月) |
☆☆ |
|
ミシガン大消費者信頼感指数(3月速報) |
☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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