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金はドル安継続なら買い戻し主導で上昇へ
提供:SBIゴールド
金はETFからの投資資金流出が続く
8月20日の週のニューヨーク金市場は、トランプ米大統領の利上げ批判や元側近の有罪評決による米政権に対する懸念、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を受けてドル安に振れたことが支援要因となって反発した。指標の期近12月限は、8月13日以来の高値1,215.4ドルを付けた。大口投機家の売り越し拡大や金ETF(上場投信)からの投資資金流出が圧迫要因だが、ドル安が続くと、買い戻し主導で上昇するとみられる。
トランプ米大統領は20日、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の利上げ継続方針について「気に入らない」と述べた。ただカプラン米ダラス地区連銀総裁やジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁などの金融当局者は、米大統領の発言に影響されず、利上げ見通しを示した。また7月31日〜8月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で、経済の力強さに対応するために近い将来に利上げを実施する可能性について討議されたことが分かった。同時に世界的な貿易摩擦が企業や家計に及ぼす影響についても議論されたことも明らかになった。通商リスクに対する警戒感が出たが、利上げ見通しが示された。米FRB議長はジャクソンホールの講演で、米大統領の発言には言及せず、利上げ見通しを示した。ただ失業率は米FOMCが推計する自然失業率を下回っているものの、「過熱のリスクは高まっていないようだ」としたことから、ドルの利食い売りが出た。米金利先物市場では年内あと2回の利上げが見込まれている。
トランプ陣営の元選対本部長マナフォート被告が脱税など8件で有罪の評決を受けた。また元顧問弁護士のコーエン被告がトランプ氏との不倫関係を主張する女性への口止め料支払いをトランプ氏の指示で行ったと認めた。「任期中に弾劾」との見方も出ており、米政局に対する不安感が出た。今後の動向を確認したい。
22〜23日に米中通商協議が再開されたが、大きな進展は見られなかった。ホワイトハウスのウォルターズ報道官は、双方が「公平でバランスが取れ、相互主義的な経済関係の実現方法」について意見交換したと発表した。一方、23日には米中両政府が、互いに160億ドルに相当する輸入品に25%の追加関税を発動した。次はトランプ米政権が2,000億ドル相当の中国製品に25%の輸入関税を計画していることに対し、中国は600億ドル相当の米国製品に追加関税を課す報復措置を講じる方針を発表している。トルコの通貨危機に関しては目立った動きが見られなかったが、トランプ米大統領は、南アフリカでの「土地や農地の収用」や「農家殺害」の実態を詳しく調査するようポンペオ国務長官に指示したことをツイッターで明らかにした。南アの報道官はトランプ氏が「誤解している」としたが、制裁が意識されると、南アランドが急落する可能性も出てくる。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月21日時点のニューヨーク金の大口投機家の売り越しは8,710枚となり、前週の3,688枚から拡大した。2001年12月以来の売り越し水準となった。今回は新規買いが1,721枚、新規売りが6,743枚出て5,022枚売り越しを拡大した。一方、8月24日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比7.66トン減の764.58トンとなった。ドル安を受けて下げ一服となったが、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しから、戻り場面で投資資金が流出した。
プラチナはドル安で下げ一服
ニューヨーク・プラチナ10月限は、ドル安を受けて下げ一服となり、803.21ドルまで戻した。米中の通商協議で進展が見られず、戻りを売られたが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演によるドル安を受けて地合いを引き締めた。800ドル台で上値を伸ばせるかどうかが当面の焦点である。一方、パラジウムのリースレート(貸出金利)が急騰する場面が見られ、供給ひっ迫感が強い。パラジウムが上値を試すとプラチナの支援要因になる可能性もある。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月21日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の売り越しは1万0,992枚となり、前週の1万0,182枚から拡大した。手じまい売りが買い戻しを上回った。一方、プラチナETF(上場投信)の現物保有高は24日のロンドンで9.91トン(17日9.91トン)と変わらず、16日のニューヨークで18.90トン、24日の南アで23.50トン(同23.51トン)に小幅減少した。
原油はイランの供給の行方が焦点
ニューヨーク原油は、米中の通商協議再開やイランの生産減少観測、ドル安を受けて堅調となり、期近つなぎ足で8月8日以来の高値69.31ドルを付けた。米中の通商協議で進展が見らなかったが、米国はイラン制裁で同国の原油輸出をゼロにする方針を示している。米エネルギー情報局(EIA)が発表した8月17日までの週間石油統計で、原油在庫は前週比583万6,000バレル減少した。事前予想は150万バレル減少。一方、米油田サービス会社ベーカー・ヒューズから発表された8月24日までの週の米石油リグ稼動数は前週比9基減の860基となった。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月21日時点のニューヨーク原油の大口投機家の買い越しは53万8,785枚となり、前週の57万3,428枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。一方、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で取引されている原油ETF(コード:USO)の残高は24日時点で1億2,160万株となり、前週末比510万株減少した
ニューヨーク金はドル安で1,200ドル台を回復
ニューヨーク金12月限は、ドル安を受けて下げ一服となった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しを受けて1,200ドル台で戻りを売られたが、パウエル米FRB議長の講演をきっかけにドル安が進むと、上値を伸ばし、8月13日以来の高値1,215.4ドルを付けた。22日の戻り高値1,208.4ドルを突破し、25日間移動平均線を試した。金ETF(上場投信)から投資資金の流出が続いているが、先物市場でファンド筋の売り越しが拡大しており、ドル安が続くと、買い戻し主導で上昇するとみられる。テクニカル面では4月高値1,388.2ドルから8月安値1,167.1ドルに対するフィボナッチ・リトリースメント38.20%の1,251.6ドルが戻りの目途となる。
8月27日からの週の注目ポイント
27日 |
英国休場(サマー・バンク・ホリデー) |
☆ |
---|---|---|
独景況感指数(8月) |
☆☆ |
|
28日 |
米ケース・シラー住宅価格指数(6月) |
☆☆ |
米消費者信頼感指数(8月) |
☆☆ |
|
29日 |
米国内総生産(4-6月期改定値) |
☆☆☆ |
米中古住宅販売仮契約指数(7月) |
☆☆ |
|
30日 |
ユーロ圏消費者信頼感(8月確報) |
☆☆ |
独消費者物価指数(8月速報) |
☆☆ |
|
米個人所得・支出(7月) |
☆☆☆ |
|
米週間新規失業保険申請件数 |
☆☆ |
|
31日 |
鉱工業生産指数(7月速報) |
☆☆ |
中国製造業購買担当者景況指数(8月) |
☆☆ |
|
ユーロ圏消費者物価指数(8月速報) |
☆☆☆ |
|
シカゴ購買部協会景気指数(8月) |
☆☆ |
|
米ミシガン大消費者信頼感指数(8月確報値) |
☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
<参照>SBI証券>マーケットデータより
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