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2024-04-26 22:25:46

金、しばらくは我慢の展開

提供元:森田アソシエイツ

ここ1ヶ月、金価格は1オンスあたり150ドルほど急落した。最大の要因は、インフレと戦うFRBの積極的な利上げ姿勢、および、それに伴う米ドルの上昇である。しかし、下落したとはいえ、金価格はFRBがテーパリング開始の議論を加速させた一年前とそう大きく変わっておらず、また、新型コロナウイルス発生前よりもかなり高いレベルで維持されており、長い時間軸で見た場合、底堅い状況にあると言える(図表1参照)。

(図表1)金価格の推移

FRBは、経済成長の鈍化を招く可能性があるとしても、加速したインフレを抑えることを最優先事項とし、積極的な利上げを行う姿勢を明らかにしている。一方、経済状況や政策優先順位が異なる他国の中央銀行は、FRBほど積極的な金利政策を取らず、結果として、米国との金利差が拡大し、ユーロの等価割れ、24年来の円安に象徴されるように、米ドルの為替レートは20年ぶりの高値をつけた(図表2参照)。ドルと逆相関の関係にあり、キャッシュフローを生まない金は、ドル高や金利上昇の影響を直接的に受け、価格が大きく下落した。

(図表2)日米金利差とドル円為替レート

また、FRBのタカ派的な金利政策は、景気停滞を招くおそれがあるとして、株や商品全般が幅広く売られ、金を組み入れた投資ファンドやコモディティ指数も売却の対象となり、金の価格低下に拍車をかけた。値動きが一定幅に達すると自動的に金を売却するプログラム取引も行われ、金価格はさらなる下方圧力に晒された。加えて、経済の先行きを心配する投資家の一部が、市場の総崩れリスクに備え、換金性が高い金を売却して、投資ポートフォリオの流動性を高めたと思われる。これらの要因が連鎖的に絡み合い、大幅な価格下落をもたらした。

一方、供給主導型のインフレを金利政策(利上げ)で封じ込めることには限界があり、最悪の場合、インフレおよび景気後退が同時に進行するスタグフレーションの発生もありうるとの意見も根強くある。そのため、スタグフレーション時にパフォーマンスが極めて良好な金(図表3参照)にセーフヘブンを求める投資家も、多々存在する。また、インフレに勝つことが最大課題の一つである長期投資運用において、実物資産であり、インフレヘッジ効果が実証されている金は有効な投資選択肢の一つである(図表4参照)。さらに、景気後退や金利上昇の影響で極めて不安定になった株式と相関が低い金(図表5参照)は、分散効果を提供でき、ポートフォリオのパフォーマンスの安定に貢献するため、機関投資家の保有インセンティブは引き続き高い。その上、ロシアのウクライナ侵攻をはじめ、米中対立、不安定な中東情勢、北朝鮮問題、インド太平洋における安全保障、グローバルベースの政府債務膨張など、解決に時間を要するグローバル問題はまだ多く、マクロ環境の不確実性が根本的に低下しないため、多くの投資リスクにヘッジ効果がある金に対するニーズは今後も一定程度存在すると思われる。

(図表3)異なる経済サイクルにおける金のパフォーマンス

(図表4)様々なインフレ環境における金のパフォーマンス

(図表5)金は主要資産と低相関

もう一つ無視できない要因は、新型コロナウイルスやインフレの発生を通して、多くの消費者や中央銀行を含む機関投資家が、金の資産保全機能を実感して、その保有価値を認識したことである。昨年の地金・コインの需要はコロナ発生前を超え、特に金額ベースで見た場合、過去最高水準に達している(図表6参照)。金E T Fの残高もコロナ前からかなり底上げされたレベルで推移しており、中央銀行の購入意欲(図表7参照)も増している。2022年第1四半期の金需要も引き続き好調で、前年同期比で34%ほど増加している。

(図表6)好調な地金・コイン需要

(図表7)高まる中央銀行の金購入意欲

金価格はしばらく金利や米ドル上昇の逆風に晒され、短期間で大きく上下する局面もあるが、下支えする要因もしっかり存在しているため、新型コロナウイルス発生前から大きく底上げされたレベルで推移すると思われる。

森田アソシエイツ 森田 隆大(もりた たかひろ)
ニューヨーク大学経営大学院にてMBA取得。1990年にムーディーズ・インベスターズ・サービス本社(ニューヨーク)にシニア・アナリストとして入社。2000年に格付委員会議長を兼務。2002年に日本及び韓国の事業会社格付部門の統括責任者に就任。2010年にワールド・ゴールド・カウンシルに入社、翌年、日本代表に就任。金ファンダメンタルズおよび投資における金の役割に関する調査・研究の提供、および投資家との直接対話を通して、金投資の普及活動に取り組む。
2016年に森田アソシエイツを設立、ワールド・ゴールド・カウンシル顧問を兼務。現在、埼玉学園大学大学院客員教授、特定非営利活動法人NPOフェアレーティング代表理事、MSクレジットリサーチ取締役兼評価委員会議長も兼任。立命館大学金融・法・税務研究センターシニアフェロー、法政大学大学院兼任講師を歴任。

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