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2022-01-28 15:35:12

2022年の金市場を展望する

提供元:森田アソシエイツ

2021年に始まった、FRBのテーパリングに関連する一連の動きや利上げ時期に対する言及の影響を受け、金価格は2020年夏のピークから下落傾向にあるものの、パンデミック発生前よりもはるかに高いレベルで堅調に維持されており、6ヵ月で400ドルほど急落した前回の2013年テーパリング開始前後と異なる展開となっている(図表1を参照)。金市場にマイナスに働くマクロ要因が存在するものの、好影響を与える要因も同時に多数存在していること、加えて、コロナを経験して需要家の金に対する信頼が上昇し、長期投資家も増加していることが、金価格を下支えしていると思われる(図表2を参照)

(図表1)金価格の推移

(図表2) プラス要因とマイナス要因が共存する金市場

金価格に影響を与える主要な短期要因として、金利傾向、米ドル実質実効為替レート、株価の動向やインフレに対する懸念、また、中長期要因として、需要の動向やマクロ環境の不確実性を挙げることができる。

キャッシュフローを生まない金は、金利が上昇すると他資産に比べ投資優位性が相対的に低下するため、米FRBにおけるテーパリングの活発化にともない、早ければ、2022年中にも金利が正常化(上昇)に向かうことを受け、マイナス要因として価格に織り込まれていくことは当然と言えよう。また、米金利が上昇すると、ドルの実質実効レートは理論的に高くなり、逆相関の関係にある金価格の低下圧力となる。一方、金利が上昇しても、しばらくは低金利環境であることに変わりがなく、また、米国以外の金融当局も政策金利を上げる可能性が高いため、各国の金利差はそれほど広がらず、ドルが構造的かつ大幅に上昇する余地は限られ、金価格に対する影響は甚大にならないという見方もある。

リスクオン時、一般的に、資金は株式などのリスク資産へ流れ、金価格は下落傾向をたどるが、株のバリュエーションがこれほどまで高く、企業の業績や個人消費の回復が必ずしも安定軌道に乗っていない現状では、株式市場の本格調整を警戒する投資家も少なくなく、セーフヘブン機能を持つ金に対する需要がむしろ高まり、金価格にプラスに働くこともある。さらに、世界各国の物価指数が大幅に上昇しており、インフレに勝つことが最大課題の一つである資産形成や投資運用において、実物資産であり、インフレヘッジ効果が実証されている金に対する注目も高まっており、価格に好影響を与えている。

堅調な需要も金価格を支える要因の一つとなっている。新型コロナウイルスの発生という深刻なグローバル・イベントの発生により、経済・社会・投資環境は急速に変化したが、三大需要家グループである、消費者、中央銀行および機関投資家の金に対する評価はむしろ上昇しており、需要構造が強靭さを増していると思われる。

地金・コインに対する消費者の需要は、資産保全やリスクヘッジ意識の高まりとともに、2021年第3四半期現在の年間需要は数量および金額ベースの両方で2013年以来の最高を記録した(図表3を参照)。パンデミックを経験して、消費者の多くは予期せぬ環境の変化から生じる様々なリスクに対し、金がソリューションを提供できることを実感した。例えば、自国通貨が米ドルに対し大きく価値を落とした国では、消費者は資産価値や購買力の低下に直面したが、現地通貨ベースの金価格はむしろ上昇したため、富の保全に役に立つと感じた人は少なくない。宝飾需要についても、数量ベースではパンデミック前のレベルまで回復していないものの、金額ベースでは過去最高に並び、消費者の購買意欲の強さを感じさせる(図表4を参照)。そのため、コロナウイルスへの対処がさらに軌道に乗れば、数量ベースでも、宝飾需要はコロナ前レベルに速やかに戻ると予想される。

(図表3) 地金・コイン需要の推移 (金額ベース)

(図表4) 宝飾品需要の推移 (金額ベース) 

中央銀行セクターも、新型コロナウイルスを通して、金を保有する意義を再認識し、久しぶりに保有を増やした国も多く、金額ベースの需要は過去最高レベルに達している(図表5を参照)。2021年の最大の購入国であるタイは、声明の中で、投資理由を(新型コロナウイルス発生などの)テールリスクへの対応、準備資産の安全性や分散効果の確保、およびリターンへの期待と説明している。また、ポーランド中央銀行のように、2022年中に金を100トン追加購入する計画があると発表するなど、多くの中央銀行は金に対する信頼を増している。

(図表5) 中央銀行需要の推移 (金額ベース)

機関投資家の保有が多い金ETFも、セーフヘブンニーズが極めて旺盛だった2020年のピークから減少しているものの、コロナ前よりもかなり高いレベルで残高は維持されており、資金が急激かつ大量に流失した前回2013年のテーパリング時と様子が大きく異なる(図表6を参照)。2013年における金ETFの主役は、リーマンショックの発生を受け、セーフヘブンを求めて流入した逃避資金であったため、経済・金融市場が落ち着きを取り戻し、FRBがテーパリングを開始すると、株などの他金融商品へ急速に流失した。しかし、現在、中長期の投資家が増加しており、インフレなどの投資リスクに対するヘッジや低金利で苦しむ債券を代替して投資分散効果を得る目的で金を保有しているため、こうしたニーズが根本的に変わらない限り、金ETF市場から退出する可能性は低い。

(図表6) 金ETF残高の推移 (数量ベース)

さらに、金価格に大きな影響を与えるマクロ政治・経済環境の不確実性も低減しておらず、むしろ上昇している。世界各国でコロナワクチンの接種が進んでいるものの、変異株に対する警戒は絶えず、ウイズコロナの環境がしばらく続く見込みである。加えて、米中対立、台湾海峡の緊張、中東情勢、北朝鮮問題、インド太平洋における安全保障、グローバルベースの政府債務膨張、米債務上限など、解決に時間を要するグローバル問題も多く、マクロ環境の不確実性が低下しないため、多くの投資リスクにヘッジ効果がある金に対するニーズは、今後も一定程度存在すると予想される。

2022年の金価格は、金利上昇やドル高の逆風にしばらく晒される我慢の展開になるが、下支えする要因もしっかり存在しているため、マイナスの影響がやがて価格に織り込まれたのち、再び上昇傾向を伺う局面もあると思われる。

森田アソシエイツ 森田 隆大(もりた たかひろ)
ニューヨーク大学経営大学院にてMBA取得。1990年にムーディーズ・インベスターズ・サービス本社(ニューヨーク)にシニア・アナリストとして入社。2000年に格付委員会議長を兼務。2002年に日本及び韓国の事業会社格付部門の統括責任者に就任。2010年にワールド・ゴールド・カウンシルに入社、翌年、日本代表に就任。金ファンダメンタルズおよび投資における金の役割に関する調査・研究の提供、および投資家との直接対話を通して、金投資の普及活動に取り組む。
2016年に森田アソシエイツを設立、ワールド・ゴールド・カウンシル顧問を兼務。現在、埼玉学園大学大学院客員教授、特定非営利活動法人NPOフェアレーティング代表理事、MSクレジットリサーチ取締役兼評価委員会議長も兼任。立命館大学金融・法・税務研究センターシニアフェロー、法政大学大学院兼任講師を歴任。

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