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2021-10-21 18:02:28

パンデミックで再評価される金

提供元:森田アソシエイツ

2020年に発生した新型コロナウイルスは、金市場にも大きな影響を及ぼした。金価格は、感染拡大に伴い、投資環境の不確実性がさらに増幅したのを受け、2020年8月に過去最高値を更新した。2021年に入り、世界各国でワクチン接種が加速し、経済も回復軌道に乗りつつあることを受け、金価格もピークから下落したが、コロナウイルス発生前を遥かに上回るレベルで推移している。
価格を牽引したのは、投資需要である。投資商品の一つである金ETFに流入した資金は、2020年において、数量ベースで874トン、金額にして5兆円に達し、過去最高を記録した。その後、一時期は流失に転じたが、2021年8月末現在もその残高は約3,600トンあり、過去最高に近いレベルを維持している。投資分野のもう一つの柱である地金・コインも、消費者のリスクヘッジ意識の上昇にともない、パンデミック前を超える需要の強さを示した。一方、宝飾品、中央銀行、産業用分野の需要は、2020年こそ需要を大きく低下させたが、2021年に入り、ロックダウンなどの行動制限の緩和、経済活動の再開、金価格低下の恩恵を受け、極めて順調に回復に向かっている。

パンデミックは、価格や需要に大きな変動を与えたが、多くの消費者や投資家に金を保有する意義を再認識させるきっかけともなった。コロナウイルス発生以降の各分野の動向を追っていくと、金の需要構造がむしろ前よりも堅強になった兆しが見える。

安定投資家が増加するETF

コロナウイルスの感染拡大にともない、経済・金融市場に対する懸念が加速的に上昇し、セーフヘブンを求める投資家が増加したため、金ETFへの資金流入は2020年第1四半期から第3四半期までに累計で1,000トンを超える過去最高を記録した。その後、ワクチンの接種が世界各国で本格的に始まり、投資環境の不確実性が低下したため、2020年第4四半期および2021年第1四半期には合計で約300トンの流失に転じたが、2021年第2四半期に再び41トンの資金流入となった(図表1を参照)。2021年6月に開かれた連邦公開市場委員会 (FOMC) において、ゼロ金利政策の解除がこれまでの予想より早くなる可能性が示唆され、金価格は100ドル近く急落したが、ETFはプラスの資金流入を維持した。こうした堅調なモメンタムが保たれている最大の理由は、中長期投資家の増加である。

現ETF保有者は、不確実性が高い投資環境などへの対応から、金が投資に果たせる役割(資産分散効果、テールリスクやインフレヘッジ等)に目を向ける中長期の投資家が大半を占めている。さらに、コロナウイルスを通して、保有する意味を実感し、増幅するインフレ懸念への対策としても金に期待する投資家も増加している。こうした投資家は、マクロ環境や保有理由が根本的に変化しない限り、金を積極的に売却することは考えにくい。また、今後、各国でマイナス金利政策からの転換があったとしても、しばらくは低金利環境であることに変わりがない。そのため、キャッシュフローを生まない金を保有する機会費用の小幅上昇は、投資を妨げる決定的な要因とはならず、こうしたデメリットを超えるメリットを金は引き続き提供できると考える投資家も多い。ETF需要は、中長期投資家の増加に伴い、その安定性と質が増している。

(図表1)金価格の推移

消費者に寄り添う金

地金・コインは、2020年第2四半期こそ、ロックダウンによって物理的に現物購入が困難になったアジア・中近東市場の影響を受け、グローバル需要が54%低下したが、オンライン取引のインフラが整備されている欧米では、米国の318%増やドイツの163%増のように、リスクヘッジ意識の高まりとともに、むしろ需要が大幅に増加した。その後、コロナウイルスの行動制限が緩和され、各国においてオンラインインフラも急速に整備されたため、東西を問わず、世界各国で需要は急速に増え、2021年上半期には、数量で595トン、金額で345億米ドルと、2013年上半期以降の最高数値を記録した(図表2を参照)。急上昇しているインフレ懸念も、地金・コインの力強い成長を支えている。

パンデミックを通して、消費者の多くはコロナウイルスがもたらす社会・経済の不安から生じる様々なリスクに対し、金はソリューションを提供できることを実感した。自国通貨が米ドルに対し大きく価値を落とした国も多く、消費者は資産価値や購買力の低下に直面したが、現地通貨ベースの金価格はむしろ上昇したため、富の保全に役に立つと感じた人は少なくない。また、インドのように、消費者が保有する金を活用して家計の危機を乗り越えるケースも多々存在し、消費者に寄り添う金を印象付けた。

(図表2)地金・コイン需要の推移

保有意義を再認識する中央銀行

コロナウイルスの影響を受け、経済状況が悪化し、外貨準備が不安定になった国が多いため、中央銀行セクターの金投資は2020年第3四半期にマイナス11トン(売り越し)まで低下した。しかし、これをボトムに、2020年第4四半期は61トン、2021年第1四半期は133トン、2021年第2四半期は200トンと、順調な回復を見せた(図表3を参照)。パンデミックを通して金の保有を再評価した国が増加したことに加え、多くの国において経済活動が徐々に活発化し、外貨準備が安定化したことが貢献した。2021年上半期の最大の購入国は、タイの90トン、ハンガリーの62トン、ブラジルの54トン、インドの29トン、ウズベキスタンの26トン、トルコの14トンである。

タイ中銀総裁は金購入の理由を、パンデミック等のテールリスクへの対応、準備資産の安全性や分散効果の確保、およびリターンへの期待と説明している。さらに、ポーランドも外貨に占める割合を20%まで高めるべく、今後数年で金を100トン以上取得する意思を2020年第1四半期に表明した。ロシア財務相も管轄下にあるナショナル・ウェルス・ファンドの資産の20%を金に投資すると2020年第2四半期に発表した。他に、ボリビア、セルビア、ザンビア、ガーナ、タンザニア等も新たな金保有についてコメントしている。コロナウイルスを経験して、中央銀行は明らかに金を保有する意義を再認識しており、購入インセンティブはむしろ高まったと言えよう。

(図表3)中央銀行セクター需要の推移

潜在需要の高さを示す宝飾品

コロナウイルスがもたらすロックダウンなどの行動制限、経済の急速な悪化、金価格の高騰により、2020年の宝飾品需要は前年比で34%と大きく減少し、統計史上最低を記録した。2021年に入り、行動制限の緩和や消費者心理の改善が貢献し、上半期の宝飾品需要は57%増の874トンとなったものの、パンデミック発生前の2019年レベルには戻っていない(図表4を参照)。最大の需要国の一つであるインドが、新たなロックダウン政策によって、需要の回復が遅れているためである。ただし、金額ベースで見た場合、2021年上半期の宝飾需要は507億米ドルと2013年以来の最高を記録し、消費者の購買意欲の強さを感じさせる。コロナウイルスへの対処が進み、人々の所得がさらに安定化すれば、宝飾需要はさらに正常化へ向かうものと思われる。

2大需要国である中国とインドにおいて、金は富と繁栄の象徴であり、宗教行事、婚礼、生誕、収穫などの祝い事に欠かせない存在となっている。それゆえ、都市部から農村部に至るまで、年寄りから若年層に至るまで、多くの人が年間を通して金と密接に関わった生活を送っている。また、購入した宝飾品は、将来の非常時に対する備えとしての意味も強く持つため、相対的に質量が高い。金需要の大半を占める宝飾品の購入者は、必ずしも収益目的で金を保有しているわけではなく、おのおの異なる理由とタイミングで金を購入するため、金価格は株や債券などの主要金融商品と異なる値動きを見せ、投資における分散効果やリスクヘッジ機能を提供できる。このように、宝飾品の動向は投資需要にも大きな影響を与えるため、今後も最大限の注目を払う必要がある。

(図表4)宝飾品需要の推移

強靭さ保つ産業用需要

産業用需要は、コロナウイルスの影響を受け、2020年は前年比で7%減少したが、経済活動の回復にともない、2021年第1四半期は前年同期比で9.9%、第2四半期は18%とプラス成長に転じた。2021年上半期の需要は、2019年とほぼ同レベルまでに回復した(図表5を参照)。金価格が大きく上昇し、コロナウイルスを契機に多くの業種において商品ラインアップの見直しやグローバルサプライチェーンの再構築が行われたにも関わらず、現在のところ、産業用金の需要構造に変化は見られない。

最後に、全体の需要を見渡すと、2020年は確かに-14%と少しマイナス幅は大きかったが、直近の2021年第2四半期は-1%の減少であり、コロナウイルスという深刻なグローバル・イベントの発生にも関わらず、金需要は比較的堅調に推移していると見ることもできる。分野別・地域的に分散された需要が相互補完し、今回のような急速な環境の変化においても、金市場は相対的に安定性を確保できる特徴が確認される形となった。

(図表5)産業用需要の推移

森田アソシエイツ 森田 隆大(もりた たかひろ)
ニューヨーク大学経営大学院にてMBA取得。1990年にムーディーズ・インベスターズ・サービス本社(ニューヨーク)にシニア・アナリストとして入社。2000年に格付委員会議長を兼務。2002年に日本及び韓国の事業会社格付部門の統括責任者に就任。2010年にワールド・ゴールド・カウンシルに入社、翌年、日本代表に就任。金ファンダメンタルズおよび投資における金の役割に関する調査・研究の提供、および投資家との直接対話を通して、金投資の普及活動に取り組む。
2016年に森田アソシエイツを設立、ワールド・ゴールド・カウンシル顧問を兼務。現在、埼玉学園大学大学院客員教授、特定非営利活動法人NPOフェアレーティング代表理事、MSクレジットリサーチ取締役兼評価委員会議長も兼任。立命館大学金融・法・税務研究センターシニアフェロー、法政大学大学院兼任講師を歴任。

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