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2024-04-19 07:10:15

2021年の金市場を展望する

提供元:森田アソシエイツ

金価格は2019年後半から上昇トレンドにあったが、コロナウイルスの感染拡大に伴い、マクロ政治・経済環境の安定性に対する懸念が増幅したのを受け、今年7月に過去最高値を更新し、年初来40%近く上昇した。これを牽引したのは、投資需要の急増である。代表的な投資商品である金ETFに1〜11月に流入した資金は過去最高の916トン、金額にして5兆円を超え、金のセーフヘブン機能に対する投資家の期待を窺わせる(図表1参照)。

(図表1)金ETF残高の推移

一方、コロナウイルスによるロックダウンなどの行動制限、経済の急速な悪化、金価格の高騰に影響され、宝飾品の需要は第3四半期現在において、前年同期比で40%以上減少した。こうした流れを受け、2021年の金市場を展望したい。

金価格に影響を与える主要な中長期要因は、マクロ政治・経済環境の安定性と需要の動向である。投資環境の不確実性が高まるほど、実需が堅調であるほど、金価格にはプラスであり、その逆も然りである。短期変動要因として、金利傾向、米ドルの強さ、株価の行方を挙げることができる。キャッシュフローを生まない金は、低金利環境において投資魅力が相対的に上昇する。また、金は米ドルと逆相関の関係にあり、ドルが下落すると金価格は上昇する。さらに、市場がリスクオン状態にあるときは、リスクヘッジに対するニーズが減少し、金に対する関心が薄れる傾向にある。

ここ数年、米中貿易摩擦、英国のEU離脱、北朝鮮問題、米・イランの対立、ポピュリズム政治の勢力拡大、不安定な株式市場に対する警戒などを背景に上昇した投資環境の不確実性は、コロナウイルスの発生によってさらに増大し、2021年に根本的な低下を見る可能性は低いと思われる。コロナ・ワクチンの開発や接種開始の報道によって、金価格はピークから1割下落したものの、年初からまだ2割超高いレベルにあり、経済や社会生活の正常化には暫く時間がかかるとの市場の見方を反映している。言い換えれば、ワクチンの普及の影響は、一定程度すでに金価格に織り込まれている。

また、コロナウイルス対策として各国当局が実施している金融緩和策や財政出動は、グローバル債務の急増やインフレ懸念をもたらすだけでなく、低金利環境がしばらく定着することを意味する。米国経済やコロナウイルス感染の現状を考えると、米ドルの価値が現在のレベルより構造的に底上げされ、金価格に不利に働く可能性も高くない。さらに、ピークアウトした企業業績、過去最高レベルにある企業負債、信用サイクルの反転悪化など、株式市場に対する警戒感も上昇しているため、株価が好調であるほど、リスクヘッジを意識して金を保有する投資家の増加も期待できる。

一方、第3四半期現在、最大の需要分野である宝飾品は数量ベースで40%ほど減少しており、要注意である。ロックダウンなどの行動制限の緩和を受け、中国やインドを含む多くの国において、第3四半期の需要は回復傾向を示したものの、宝飾需要が正常化するまでに時間を要すると思われる。しかし、金額ベースで見た第3四半期の減少幅は前年同期比で8%にとどまり、潜在的な消費者の購買意欲の強さを感じさせる(消費者は一般的に金額ベースで予算を立てるため、価格の高騰は購入量の減少につながる)。

コロナウイルスの影響を受け、多くの国で外貨準備高が不安定になったため、中央銀行セクターの金需要もスローダウンしている。第3四半期現在の購入量220トンは、過去最高レベルにあった前年同期の528トンに見劣りするものの、外貨準備の分散効果が得られる金の保有割合まで達していない国はまだ多く、コロナウイルスがコントロールされ、外貨準備が安定すれば、中央銀行の金購買意欲が再び上昇すると思われる。

以上のように、2021年も金にとって良好なマクロ環境が続くと思われるが(図表2参照)、宝飾需要に回復傾向が見られなければ、また、コロナウイルス・ワクチンの普及や有効性の実証に着実な進展が見られれば、価格に対する下方圧力となろう。2021年の金市場は、いくつもの修正局面を経ながら、上値を伺う展開になるであろう。

(図表2) 金価格を支える要因分析 〜 2021年まとめ

森田アソシエイツ 森田 隆大(もりた たかひろ)
ニューヨーク大学経営大学院にてMBA取得。1990年にムーディーズ・インベスターズ・サービス本社(ニューヨーク)にシニア・アナリストとして入社。2000年に格付委員会議長を兼務。2002年に日本及び韓国の事業会社格付部門の統括責任者に就任。2010年にワールド・ゴールド・カウンシルに入社、翌年、日本代表に就任。金ファンダメンタルズおよび投資における金の役割に関する調査・研究の提供、および投資家との直接対話を通して、金投資の普及活動に取り組む。
2016年に森田アソシエイツを設立、ワールド・ゴールド・カウンシル顧問を兼務。現在、埼玉学園大学大学院客員教授、特定非営利活動法人NPOフェアレーティング代表理事、MSクレジットリサーチ取締役兼評価委員会議長も兼任。立命館大学金融・法・税務研究センターシニアフェロー、法政大学大学院兼任講師を歴任。

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