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2018-08-17 17:49:13

金・プラチナの価格差を考える

提供:SBIゴールド

過去において、プラチナ価格が金を上回る期間が極めて長く、2008年には1オンスあたり1,100ドルもの大差を付けた。
しかし、2011年の秋に両者の価格が逆転し、時間とともにその差が拡がり、2016年初めには約200ドル、現在では400ドルほど金が上回っている(図表1参照)。

図表1:金とプラチナ価格の推移(US$/oz)

出所:MicroTrends

なぜか?主要因は、両貴金属の価格形成に根本的な変化が生じたからであると考える。
ここ数年、米国経済や高株価に対する警戒、地政学リスクに対する懸念など、投資環境の不確実性をヘッジする防衛資産としての役割が評価され、金価格は上昇した。金の価格形成において、投資ストーリーが主役となったのである。
では、プラチナはどうか?おもしろいデータがある。プラチナ需要は産業用の割合が6割強あり、景気循環に影響されやすいイメージが強い。産業用の色がさらに強い金属である銅との相関は、かつて、0.6以上あり、高かったと言えよう。
しかし、ここ数年はほぼ0〜0.3の間で推移し、相関がほぼないレベルまでいっきに低下した。一方、金に対しては極めて相関が高いレベルの0.8まで上昇した。つまり、プラチナは産業用の色が強い貴金属というより、投資ストーリーとして金に引っ張られ、市場で価格形成されていると考えられる。こうした市場環境において、防衛資産としての性格がより強い金が、プラチナを価格面で逆転したと思われる。

さらに、両貴金属の価格差が拡大したのは、需要見通しに対する安心感の違いも大きく影響している。金に大きな懸念材料が見当たらない一方、プラチナについてはいくつかの不確実性がオーバーシュート気味に取りざたされている。まず、プラチナ需要の約44%を占める自動車触媒の将来性に対する懸念である。プラチナ触媒を多用するディーゼルエンジン車のシェアが主戦場である欧州において確実に低下するなか、また、多くの自動車メーカーが電気自動車化へのシフトを積極的に示す環境下では、自動車触媒需要が加速的に減少する危険性があることは否定できない。

しかし、実際の統計を見ると、ディーゼルエンジン車のシェアが急速に低下したここ数年の自動車プラチナ触媒需要の減少量は、年3%ほどである。一方で、シェアを高めたガソリンエンジン車(プラチナ触媒の使用量がディーゼルエンジン車より少ないが)からの需要が増加したからである。また、自動車メーカーの電気自動車化計画を冷静に分析すると、見通せる将来において、電気モーターと内燃機関エンジンが共存する状況が続くと読み取れる。
つまり、完全なる内燃機関エンジン車から、電気モーター(主動力源)と内燃機関エンジン(副動力源)を併用する車に切り替わっていくものの、電気モーターのみを動力源とする電気自動車(プラチナ触媒を使用しない)の普及にはまだまだ時間がかかる。したがって、自動車プラチナ触媒需要は減少傾向にあるものの、そのペースは多くの予想より緩やかになる可能性がある。

プラチナ価格への下方圧力となっているもう一つの要因は、ここ10年ほど続いた、価格が相対的に高いプラチナからより低価なパラジウムへのガソリン車用触媒需要のシフトである。これに伴い、パラジウムの価格も急上昇し、プラチナ・パラジウム・レシオ(プラチナ価格をパラジウム価格で割った係数)は、2009年3月の約5.4倍から2017年9月は1倍を切るレベルまで低下し、現在、約0.9倍で推移している。パラジウムとプラチナの相互代替は、性能面や効率面において問題ないとされる。したがって、パラジウム価格が高止まりする状況が続けば、自動車触媒需要の行方は再びプラチナに有利に流れる可能性がある。少なくとも、パラジウムへの自動車触媒需要の流失は構造的に鈍化するはずである。

図表2:プラチナ・パラジウム・レシオの推移

ちなみに、リーマンショック以降、金の年間需要はそれまでの3,000トンから底上げされ、4,000トン強で推移し、2017年もそのレベルを維持した。需要は堅調と言えよう。供給もほぼ横ばいであるため、需給関係に大きな変化はない。一方、プラチナ需要も、ここ8年は250トン前後で推移しており、その相対的に高い価格変動性からは想像できないほど安定している。また、2017年から緩和傾向にあるとはいえ、それまでは供給が需要を下回る時期が長く、需給バランスは健全の範疇にあると言えよう。現在のところ、両貴金属とも、需給面に大きな構造変化は見られない。

自動車メーカーが示す電気自動車化への積極姿勢や、より安価だったパラジウムからの代替攻勢により、自動車プラチナ触媒需要の見通しが立てにくい状況にあるのは確かである。しかし、悲観論が先行して、プラチナ価格への下方圧力がオーバーシュート気味にかかっているように思える。一方、投資ストーリーを主背景に価格が形成されている限り、プラチナは防衛資産としての性格がより強い金との価格差を、大幅に縮小または再逆転させることは難しいと考える。

森田アソシエイツ 森田 隆大(もりた たかひろ)
ニューヨーク大学経営大学院にてMBA取得。1990年にムーディーズ・インベスターズ・サービス本社(ニューヨーク)にシニア・アナリストとして入社。2000年に格付委員会議長を兼務。2002年に日本及び韓国の事業会社格付部門の統括責任者に就任。2010年にワールド・ゴールド・カウンシルに入社、翌年、日本代表に就任。金ファンダメンタルズおよび投資における金の役割に関する調査・研究の提供、および投資家との直接対話を通して、金投資の普及活動に取り組む。
2016年に森田アソシエイツを設立、ワールド・ゴールド・カウンシル顧問を兼務。現在、埼玉学園大学大学院客員教授、特定非営利活動法人NPOフェアレーティング代表理事、MSクレジットリサーチ取締役兼評価委員会議長も兼任。立命館大学金融・法・税務研究センターシニアフェロー、法政大学大学院兼任講師を歴任。

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