日経平均は7月上旬にかけ上向きの展開か?〜短期的な調整局目は「買い場」に
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ご愛顧いただいておりましたサキモノ・オプションの『ココがPOINT!』」ですが、タイトル名を「サキモノの『ココがPOINT!』に変更し、内容も先物取引に特化した内容にに変更してまいります。
更新タイミングは引き続き毎週の火曜日の掲載となりますので、変わらぬご愛顧、何卒よろしくお願い申し上げます。
ここまでの上昇は「過度の悲観論の修正」か?〜日経平均の予想EPSは上昇を維持
7月上旬にかけ、日経平均が上昇する可能性が膨らんできたと思います。懸念されてきた消費税増税後の国内経済への反動が比較的軽微に収まりそうになってきたことに加え、法人税減税(数年で20%台まで引き下げ)が固まったことが追い風になりそうです。
図は、日経平均株価とその予想EPS(一株利益)の推移を示したものです。企業業績を反映する予想EPSの上昇は、日経平均株価の上昇要因になります。しかし、2013年末に日経平均株価が16,291円を付けた後、予想EPSは上昇基調を辿ったのにもかかわらず、日経平均株価は下落傾向を辿ってきました。
その要因はいくつかありますが、消費税率引き上げ(2014年4月)を受け、多くの企業が将来を警戒し、業績予想で慎重な数値を発表し、予想EPSが下落するのではないかと警戒されたことが響きました。しかし、4月下旬〜5月中旬の3月期決算企業の決算発表を経て、逆に、予想EPSはじわり増加しました。市場の懸念は杞憂に終わりました。
5月20日までに決算発表が終了し、予想EPSの上昇基調キープが確認されたことで、概ねこの頃から、株価は反発に転じました。早くも6月3日には、日経平均株価は終値で15,000円大台を回復しています。このように株価は比較的短期間に上昇しましたが、基本的には「悲観論の修正」に過ぎないと思います。予想EPSをここからさらに上昇させる複数要因が出てきたことで、株価は上昇基調を辿る可能性が大きいと予想されます。
図:日経平均株価(日足・円)と予想EPSの推移
- ※日経平均株価公表データをもとにSBI証券が作成。
法人税減税も予想EPSを上昇させる要因に
6月13日に、成長戦略の骨子が固まりました。日本経済においては先行き、少子高齢化が予想されていますが、それを乗り切り、日本経済・企業の国際競争力を高めることが目的で、その効果は中長期にわたり、示現されることが期待されています。しかし、法人税減税については、来年度からの実施が見込まれていますので、上場企業の法人税納付額の減少を通じ、来年度以降の予想EPS引き上げにつながると想定されます。
消費税増税後の経済に対する悲観論が修正され、来年度以降の法人税減税が固まったことで、今年度と来年度の予想EPSが現状より底上げされる可能性が強まったと考えられます。
予想EPSの先行指標は?「短観」や小売決算が今後の予想EPS上昇を示唆する可能性も
企業の今期業績予想がわずかながら増益になったことで、日経平均予想EPSは上昇を維持できました。これが今後、事前の市場コンセンサスで予想されていたように、1割程度の増益になり、予想EPSの上昇角度が上がってくれば、日経平均の上昇にも勢いが付くと予想されます。
その意味で、7月1日発表の日銀短観や、ほぼ同時期に予定されている小売決算、4〜6月期決算直前の業績観測報道が重要なヒントになりそうです。このタイミングで、業績予想上方修正を発表する企業はまだまだ少なく、短期的には予想EPSの上昇につながらない可能性はありますが、少なくとも市場心理の好転につながりそうです
日銀短観では、企業の4〜6月における現況判断が、前回示した「先行き見通し」に対し、どの程度改善されるのか、また、7〜9月の先行きについて改善を見込めるのかがポイントになります。主要小売企業の3〜5月期決算は、3月の駆け込み需要と4〜5月の反動減を合わせ、収益が増えるのか、減るのかと併せ、これらの企業の経営陣が、実態をどう分析しているのかをチェックしておくことが重要です。
表:7月SQにかけての主要タイムスケジュール
日付 |
スケジュール |
---|---|
6月18日(水) |
(日)日銀金融政策決定会合議事要旨 |
(米)FOMC(米連邦公開市場委員会)結果発表 |
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6月26日(木) |
(日)Jフロント決算発表 |
6月27日(金) |
(日)高島屋、しまむら決算発表 |
7月1日(火) |
(日)日銀短観、良品計画決算発表 |
7月3日(木) |
(米)6月雇用統計 |
(欧)ECB(欧州中銀)理事会 |
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(日)7&I、ファミリーマート決算発表 |
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7月4日(金) |
(米)独立記念日(休場) |
(日)ローソン決算発表 |
|
7月9日(水) |
FOMC議事要旨 |
7月11日(金) |
オプションSQ |
7月上旬の上昇に向け買い場は?
では、上昇を想定した場合の「買い場」はどこでしょうか。
6月第2週末現在、日経平均株価はRSIが70%の過熱ラインを超えるなど、過熱感が出ていますので、短期的な調整入りが想定され始めています。
7月上旬頃に堅調な相場を期待するのであれば、ここからの調整が買い場になる可能性が大きそうです。もっとも、5月19日〜6月5日にかけての日経平均上昇幅は1,037円とそれ程大きな訳ではありませんので、調整幅も大きくはならないと予想されます。200日移動平均(6月13日14,725円)や25日移動平均(同14,639円)が有力な下値支持ラインになりそうです。
日経平均先物(ミニ)の取引例
今、日経平均先物(9月限)が25日移動平均(16日現在)の水準とほぼ同じ14,660円であり、その時「日経平均先物取引(ミニ)を1単位買い付けると仮定します。(注)そして、日経平均先物が6月9日高値と同水準である15,200円まで上昇(9月11日最終売買日以前に)したものと仮定します。その場合、想定される利益は以下の通り試算(諸コストを除く)されます。
(15,200−14,660)×100倍=54,000円
これが、現物株の取引きであれば、投資収益率は、投資金額1,466,000円(14,660×100)を基準に計算しますので、以下の通りになります。
(54,000÷1,466,000円−1)×100=3.7%
なお、日経平均先物(ミニ)では、1単位の投資に証拠金51,000円(2014年6月20日・日中立会いまで)が必要です。逆に言えば、この取引では51,000円の証拠金を入金することで買い付けることができた日経平均先物(ミニ)1単位の取引で54,000円の利益が発生したことになります。従って、投資収益率は以下の通りです。
(54,000÷51,000円−1)×100=105.9%
となります。このように、日経平均が一定の値動きをした場合、先物取引は、現物株取引を大きく上回る投資収益率を期待できることになります。
無論、大きな期待収益率を期待できるということは、予想が外れた場合に、損失がその分大きくなるリスクがあるということですので、リスク管理を十分行うことが必要です。特に、日経平均先物取引を、この例のように、最低の証拠金51,000円を入金しただけで実行(買い付け)し、逆に先物価格が下げた場合、すぐに追加保証金が発生してしまうことになります。
従って、先物取引では、
(1)相場が予想と逆に動いた場合の「損切り(ロスカット)ライン」を、自分で明確に定めておくこと、
(2)ロスカット以内の含み損が発生した場合、対応できる十分な証拠金をあらかじめ入金しておくこと
等の「リスク管理」が必要になります。