2018/5/29
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」5月28日号より抜粋
先週は週初こそ米ムニューシン財務長官が貿易戦争の保留を宣言し株式市場は好感したものの、米トランプ大統領による米朝首脳会談の延期表明や混迷するイタリア政局等よりムードは一変、リスク回避姿勢の高まりからドル高が進行し新興国通貨の反発力を削ぎました。米国中心に景気の先行きには依然光明が灯るものの、世界の政治リスクという濃霧が相場の視界を曇らせる展開が続きました。
■今週は濃霧の中でも米中はじめ世界景気の持続性という光明は健在か注目
今週は米国中心に政治の霧が晴れドル高や米金利の上昇が一服し株式や新興国への資本フローが回復するか、また濃霧注意報の中でも米中はじめ堅調な世界経済が持続するかを確認する週となりそうです。当面、以下の濃霧(リスク)が注視され、投資家心理の好転には警報解除に向けた政治的歩み寄りを要しましょう。
■最も濃い霧(リスク要因)、米中の貿易、朝鮮半島を巡る駆け引き
米中の政治的駆け引きが最大のリスク要因、濃霧と言っていいでしょう。貿易交渉のみならず、米朝首脳会談の開催可能性すら左右されそうです。貿易交渉では6月2日より米ロス商務長官が訪中、中国通信大手ZTEの制裁問題や輸入拡大方針を示した中国の具体策を協議。一方朝鮮半島問題では、中国は究極的には在韓米軍の撤退、喫緊は同軍が配備するTHAAD(高高度防衛ミサイル)撤去が目標ともされ、北朝鮮の完全かつ即時非核化を狙う米国との歩み寄りが期待されます。
■米トランプ大統領は国内で窮地に立つ恐れ
2016年での大統領選におけるトランプ陣営のロシア(露)関与疑惑を捜査するモラー特別検察官は就任後1年が経過、捜査も9月には終了する見込みです。現地報道によれば、既に訴追された当時のトランプ陣営幹部の多くは有罪を認め司法取引に応じている模様です。また先週、大統領の顧問弁護士コーエン氏と露プーチン大統領と近い富豪との会食が発覚する等、捜査は本丸の大統領に迫っています。大統領がこの問題で議会召喚という事態となれば、中間選挙での共和党の地位は脅かされ、今後の政策運営も危ぶまれることになるとみて警戒しています。
■新興国の左傾化と原油
先週、左派大統領が再選したベネズエラや、NAFTA(北米自由貿易協定)交渉が難航するメキシコの大統領選(7月)でも左派政権が誕生する可能性があるほか、イラン核合意の継続問題など不安定化する産油国の政治情勢が原油供給懸念を生まないか心配されます。6月にはOPEC(石油輸出国機構)総会を控え、グループは減産体制の緩和も窺っており、原油価格の不安定化には注意が必要です。
■イタリア政局
先週、イタリア議会第一党の五つ星運動と第二党の同盟は民間のコンテ氏を首班指名も、財務相人事を巡り大統領と対立し同氏は首班指名を辞退、組閣は振り出しに戻りました。同国の格下げや国債利回りの上昇が警戒されます。(徳岡)
今週の主要経済指標と政治スケジュール
5/28(月) |
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(米)メモリアルデー(株式・債券市場 休場) |
5/29(火) |
(日)4月 完全失業率 |
5/30(水) |
(日)黒田日銀総裁 あいさつ |
5/31(木) |
(日)4月 鉱工業生産(前月比) |
6/1(金) |
(日)1-3月期 法人企業統計調査(設備投資、前年比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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