2017/07/19
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」7月18日号より抜粋
主要国の長期金利は6月26日を境に上昇に転じました。きっかけは27日のドラギECB(欧州中銀)総裁の「デフレ圧力はリフレ圧力に置き換わった」、同日のイエレンFRB(連邦準備理事会)の「(資産価格は)幾分高い」、翌日のカーニーBOE(英中銀)総裁の「金融緩和策をいくらか解除することが必要」、ポロズ・カナダ中銀総裁の「利下げは役割を果たした」など、金融当局の相次ぐ金融緩和の出口を示唆する発言でした。実際、カナダ中銀は12日に約7年ぶりの利上げに踏み切っており、主要国中銀が金融政策正常化へ舵を切りつつあります。
こうした金利上昇圧力は日本国債にも波及しました。日銀は7日に残存期間5〜10年を対象に無制限購入の指し値オペと国債買入れ増額、12日は3〜5年を対象に買入れ増額を実施し、金利上昇抑制姿勢を示す事で米欧中銀との方向性の違いを明確にしました。先週のイエレン議長の議会証言では緩やかに追加利上げをするのが適切と金利上昇をけん制する姿勢もみられ、今週の日銀とECB、来週のFRBの金融政策会合を控え、出口策を巡って金融市場は不安定な動きとなるでしょう。
出口政策の実施は米国→欧州→日本の順になると考えられ、日本は実施に程遠い状況にあります。日銀の量的金融緩和が続くことから、当面為替相場は円安基調となる可能性が高く、株式市場に大きなブレーキはかかり難いと考えています。
今週は日欧の金融政策スタンス、4-6月期米企業決算が焦点となります。
◆米国:6月ISM製造業景気指数は予想を上回り大きく上昇(5月:54.9→57.8)し、景気の堅調を示しましたが、相関の高い7月フィラデルフィア連銀景気指数が低下すれば再度景気減速懸念が台頭するでしょう。来週25-26日にFOMC(連邦公開市場委員会)が開かれるため市場は経済指標に敏感となり、指標が悪化すれば年内の利上げ観測(現在OISベースの年内利上げ確率は47%)は後退するでしょう。
◆日本:19-20日の金融政策決定会合は政策が据え置かれる見通しです。黒田日銀総裁の会見では出口政策や長期国債の買入れ方針に関する発言が注目されます。7月の展望レポートは2017・18年度の消費者物価の見通しが下方修正され、インフレ目標の+2%に達する時期が2018年度頃から先送りされる可能性があります。
◆欧州:20日のECB理事会では政策が据え置かれる見込みです。他方、9月にもECBが資産買入れ額の縮小を発表するとの観測が広がっており、ドラギECB総裁の会見で金融緩和の出口に関する発言が注目されます。ドイツの7月ZEW景況感指数は横ばいが予想されており、ユーロ高のなか上昇一服となる見通しです。
◆中国:17日に公表された4-6月期実質GDPは前年比+6.9%と事前予想を上回りました。今秋に共産党大会を控え成長率が堅調を維持するのか注目です。(向吉)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
7/17(月) |
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(米)7月 ニューヨーク連銀景気指数 |
7/18(火) |
(米)7月 全米住宅建築業協会(NAHB)住宅市場指数 |
7/19(水) |
(日)日銀金融政策決定会合(〜20日) |
7/20(木) |
(日)黒田日銀総裁記者会見 |
7/21(金) |
(米)GE 2017年4-6月期決算発表 |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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