2017/03/28
提供:三菱UFJ国際投信
「投資環境ウィークリー」3月27日号より抜粋
先週は米国議会の不透明感が嫌気される展開となりました。トランプ大統領就任後は、期待先行で市場は上昇していましたが、オバマケア代替法案は最終的に撤回される結果となり、米国株は下落しました。今後は注目度の高い税制改革での議論が進むとの期待もあり、撤回決定後に米国株は下げ幅を縮めています。
欧州の政治では4月23日のフランス大統領選まで1ヵ月を切りました。3月22日にロンドンで発生したテロを受け、極右政党のルペン候補者は国境警備の重要性を説いており、足元では依然拮抗している世論に変化が出てくる可能性があります。
NY原油先物は3月9日以降50ドルを割れています。25-26日に行われたOPEC・非OPEC産油国による監視委員会では、2月の減産達成状況が94%(1月は86%)であったと発表されました。また6月末に期限を迎える減産延長の策定を4月に行う方針を決定するなど、今後の原油価格は安定していくと考えています。
◆米国:3月の個人消費物価デフレーター(PCEデフレーター)は+2.1%(2月は+1.9%)が予想されており、FRBの目標+2.0%と2017年の見通し+1.9%(3月時点)を上回る見通しです。3月のFOMC会合で、インフレ率の短期的な上ぶれを容認する姿勢を示しており、上回ったとしても利上げは緩やかなペースで行われると考えます。FOMC参加者の講演では、保有資産縮小政策への発言に注目です。
◆日本:3月31日の消費者物価が焦点です。1月の消費者物価(除く生鮮食品)は前年比+0.1%とプラスに転じており、市場予想では2月も+0.2%と加速する見通しです。ユーロ圏ではインフレ率が中銀目標圏内に入り、英国では物価上昇圧力の高まりから利上げを主張する委員が出るなど、金融緩和策の出口観測も高まっています。日本と主要国で金融政策の方向性で違いが今後強まる可能性があります。
◆英国:英メイ首相はEU離脱交渉宣言(Article50発令)を29日に行う予定です。これにより、原則2019年2月に英国は正式に離脱することになります。英国政府は、EU単一市場へのアクセスより、移民管理を重視しているため、未だ堅調な景気に不透明感が高まることが懸念されます。またスコットランドが、2014年9月以来となる住民投票を主張していることもあり、今後の議論に注目です。
◆中国:3月31日の製造業PMI(国家統計局)では、2月の51.6から3月51.7への加速が予想されています。3月16日に中国人民銀行(PBoC)は主要な金融調節オペ金利を引き上げているものの、企業の借入金利との連動性が高い貸付基準金利は据え置いています。そのため、今回の変更は金融引き締めではなく、金融リスクやレバレッジの抑制とPBoCは指摘しています。11月には中国共産党大会があるため、中国当局は安定した経済運営を引き続き行っていくと考えます。(永峯)
今週・来週の主要経済指標と政治スケジュール
3/25(土) |
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(欧)EUサミット |
3/27(月) |
(日)日銀金融政策決定会合 主な意見 |
3/28(火) |
(米)イエレン・FRB議長 講演 |
3/29(水) |
(米)ローゼングレン・ボストン連銀総裁 講演 |
3/30(木) |
(米)メスター・クリーブランド連銀総裁 講演 |
3/31(金) |
(日)2月 鉱工業生産(速報、前月比) |
注)上記の日程及び内容は変更される可能性があります。
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