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“雇用悪化に戸惑うよりもドル安・低金利シナリオを描こう”

2016/06/07
提供:フィリップ証券株式会社
リサーチ部:庵原 浩樹、袁 鳴

“雇用悪化に戸惑うよりもドル安・低金利シナリオを描こう”

  • 前月比3.8万人増。6/3に発表された5月の非農業部門雇用者数の増加幅に肝を冷やした市場関係者も多かったであろう。しかし、株式市場は悪化した統計データを冷静に受け止め、市場に混乱は見られずむしろ引け味は良好であった。同日のNYダウは一時前日比148ドル安まであったがその後切り替えし、結局終値は同31.5ドル安の17,807.06ドルとこの日の高値で引けた。
    雇用市場の急減速に6月の利上げ観測は大きく後退し、高止まりしていたドルインデックス(主要通貨に対するドル指数)は95.64からは93.85まで一気に急落、10年国債利回りは1.70%に低下した。FF金利先物からみた6月FOMCの利上げ確率は5/25時点では34%まで高まったが、今回の雇用統計の結果を受けて4%に低下。6月利上げシナリオほぼなくなり、市場はネガティブシナリオよりむしろ当面のドル安・低金利メリットを模索する展開となったようだ。実際、7月の利上げ確率も27%と急低下。6/3のS&P500種の10業種別では、好配当の公益、通信セクターが買われた。このほか、原油安を背景に素材や生活必需品も買われた。どうやら雇用悪化に戸惑うよりも、低金利・ドル安・原油安メリットのシナリオを描いた銘柄選択を行うほうが賢明のようである。
  • もちろん、今後も原油価格動向や英国のBREXIT(EU離脱)の可能性(国民投票は6/23)などに留意する必要はあるが、原油先高シナリオと早期利上げ観測の後退で、2つの先行き不透明要因が払拭されたことで投資家の市場心理は好転し、ポジションを取りやすい状況となる可能性もあろう。
    低金利・ドル安・原油安シナリオでは、好配当、海外収益比率の高さ、原油安メリットの大きい製造業やサービス業などが挙げられる。好配当や海外収益比率の高い企業はNYダウ構成銘柄に多い。ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)、キャタピラー(CAT)、ボーイング(BA)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)などのほか、ローン金利の低位安定から住宅や自動車関連、バリック・ゴールド(ABX)など金鉱株、また、原油安で自動車、航空関連、小売、景気敏感などもピックアップできよう。4-6月のGDP成長率は2%台回復の見通しもあり、底堅い相場展開となる可能性もあろう。(庵原)
  •  6/7号ではフィアット・クライスラー(FCAU)、ホーム・デポ(HD)ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)ネットフリックス(NFLX)ホールフーズ・マーケット(WFM)を取り上げた。

ウィークリーストラテジー

S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(6/3現在)

主要イベントの予定

7日(火)
  • 独4月の鉱工業生産
  • 3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数
  • ユーロ圏1-3月期のGDP(確定値)
  • 4月の消費者信用残高
  • 世界銀行が世界経済見通しを公表
  • 米中戦略・経済対話(6/7まで、北京)
8日(水)
  • 中国5月の貿易収支
  • 中国5月の外貨準備高
  • 日本1-3月期のGDP(確定値)
  • MBA住宅ローン申請指数
  • 4月の求人件数
9日(木)
  • 中国5月のCPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)
  • 新規失業保険申請件数(6/4終了週)
  • 4月の卸売在庫
  • ECBドラギ総裁が講演(ブリュッセルの経済フォーラムで)
  • 中国・香港株式市場は祝日のため休場
  • 米1-3月の家計純資産
10日(金)
  • 6月のミシガン大学消費者態度指数・速報値
  • 5月の月次財政収支
  • ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成

銘柄ピックアップ

フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCAU) 

  • 2014年に伊自動車大手フィアットと米クライスラーの統合で設立、世界第7位の自動車メーカー。自動車、自動車部品や関連システムの製造・販売を行い、世界40ヵ国・地域で展開する。
  • 2016/12期1Q(1-3月)は売上高が前年同期比2.8%増の265.7億ユーロ、純利益が同6倍の4.7億ユーロとなった。調整後EPS は0.338ユーロと市場予想の0.230ユーロを上回った。1Qの世界販売台数は108万6,000台で前年同期並みの水準だったが、高価格帯のSUVやピックアップトラックの販売が好調で主力の北米市場の販売台数は同8.9%増の55万1,103台
  • 5月の同社の米新車販売台数は前年同月比1.1%増の20万4,452台となった。FRB利上げの観測後退で低金利が続き、自動車需要の拡大が続く可能性もある。2016/12通期の市場予想は売上高が2.8%増の1,136.50億ユーロ、純利益が同6.2倍の20.56億ユーロ。(袁)
  • 1978年設立の米国最大のホームセンター。建築資材やリフォーム用品のほか、芝刈機等関連用品および各種サービスを提供。北米、カナダ、メキシコ、中国などで展開している。
  • 2017/1期1Q(2-4月)は売上高が前年同期比9.0%増の227.6億USD、純利益が同14.2%増の18.03億USDとなった。調整後EPS は1.440USD と市場予想の1.352USD を上回った。主力の米国内の住宅市況が追い風に、米国内の既存店売上高が同7.4%増と好調だった。
  • 2017/1通期の会社計画は売上高が従来予想中央値の934億USDから 941億USDに上方修正し、全体の既存店売上高が前期比4.9%増を予想。また、会社は通期のEPSを従来予想の6.22USDから6.27USDに引き上げた。通期の市場予想は売上高が同6.5%増の942.98億USD、純利益が同11.3%増の77.98億USDである。(袁)
  • 1887年設立のヘルスケア関連製品、サービスを取り扱う大手企業。医薬品、医療器具、手術機器などの製造・販売を行い、洗剤、スキン・ヘアケアなどの日用品も販売している。
  • 2016/12期1Q(1-3月)は売上高が前年同期比0.6%微増の174.8億USD、純利益が42.9億USDと前年同期比同水準。調整後EPSは1.68USDと市場予想の1.65USDを上回った。消費者向け用品、医療器具・診断機器は減収だった。米国での伸び悩みに加え、ドル高も売上高に重しとなった。一方、乾癬治療薬や抗凝固剤などの主力医薬品が好調に推移した。
  • 同社は米の日用品会社ヴォーグ・インターナショナルを約33億USDで買収合意を発表。2016/7-9期に手続きの完了を見込んで、日用品の商品を充実し世界での競争力を高める狙い。2016/12通期について会社は売上高を従来予想の708億-715億USDから 712億-719億USDに引き上げ、EPSは従来予想の6.43-6.58USDから6.53-6.68USDに上方修正。市場予想の売上高は前期比2.4%増の717.44億USD、純利益が同9.3%増の168.47億USD。(袁)
  • インターネットを通じたTV番組や映画などを配信する世界のリーディング企業。2016/3末に同社は世界190ヵ国・地域に進出し、8,000万人超の会員を有している。
  • 2016/12期1Q(1-3月)は売上高が前年同期比24.4%増の19.57億USD、純利益は同16.9%増の2,770万USDとなった。調整後EPSは0.060USDと市場予想の0.037USDを上回った。1Qの利用者純増数は674万人、2016/3末時点での総利用者数は8,150万人。米国内市場の動画配信利用者数は223万人、海外市場での動画配信の利用者数は451万人である。
  • 2016/12期2Q(4-6月)の会社見通しは利用者純増数が米国で50万人、海外で200万人と合わせて250万人である。2016/12通期の市場予想は売上高が前期比28.6%増の87.21億USD、純利益が同4.6%減の1.16億USDである。6月の夏場映画シーズンに入り、「ウォークラフト」と「X-MEN:アポカリプス」など超大作映画の公開を控え、同社の映画配信の利用者数が増加すると見られる。(袁)
  • 1978年創業の自然食品スーパーマーケットチェーン。人工香料、甘味料、着色料、保存料、添加物を使わない商品を提供。機能食品、栄養補給食品などの製造・販売も手掛ける。
  • 2016/9期2Q(2-4月)は売上高が前年同期比1.3%増の36.96億USDと過去最高を更新。一方、売上原価や設備費用の増加が利益を押し下げ、営業利益が同5.5%減の2.41億USD、純利益が同10.1%増の1.42億USDとなった。ただ、調整後EPSは0.44USDと市場予想の0.407USDを上回った。3Qは8店舗を新規で出店し、合計112店舗である。
  • 2016/9通期の会社計画は増収率が3%、EBITDA(減価償却前営業利益)マージンが約8.5%、設備投資対売上高の比率が5%。5/25、オーガニック食材など自社ブランド商品を販売するスーパー「365」の1号店がカリフォルニア州のSilver Lakeでオープン。今後、ワシントンD.C.、オレゴン州などの地域で14店の新規出店を予定し、全国での展開が注目される。(袁)
フィリップ証券株式会社

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