今回は、年初来のパフォーマンスが総じて好調な東南アジア株式のETFをご紹介いたします。世界経済の見通し改善が続く中、高い経済成長が素直に評価されていると考えられます。
図表1:東南アジアの株式に投資するETF(上場投資信託)
取引 | チャート | コード | 銘柄 |
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EPHE | iシェアーズ MSCI フィリピン ETF | ||
VNM | ヴァンエック ベクトル ベトナムETF | ||
EWS | iシェアーズ MSCI シンガポール ETF | ||
EIDO | iシェアーズ MSCI インドネシア ETF | ||
EWM | iシェアーズ MSCI マレーシア ETF | ||
THD | iシェアーズ MSCI タイ・キャップト ETF |
※当社WEBサイトをもとにSBI証券が作成
東南アジアの株式市場が好調です。
図表2は東南アジア各国の株価指数を指数化して比較したものですが、タイを除いて米国のS&P500指数並みか、これを上回っており、全体として好調と言ってよいでしょう。
好調の要因は昨年の夏場を底に世界経済の見通しは上方修正基調に転換、新興諸国も全体として改善傾向にあることが背景と考えられます(図表3)。
米国が政策金利の引き上げサイクルに入っていますので、新興国からの資金流出が懸念される局面もありますが、昨年からは押し目にはすかさず買いが入るという形に市場のスタンスが変わっていると見られます。
また、グローバル投資家は米国株のバリュエーションが比較的高いこと(S&P500指数のPERは18.8倍)を気にして、投資資金の一部をより割安な市場へ分散しつつあるとされ、その中で比較的高い経済成長を遂げている東南アジアも注目されているようです(図表4)。
パフォーマンス上位のフィリピン、ベトナムは6%台に達する高い経済成長率が素直に評価されて買われていると考えられます。一人当たりGDPはそれぞれ、2.9千ドルと2.2千ドルで低水準であり、また、人口の増加率も高いため、構造的な要因で高成長が継続する期待があります。
一方、パフォーマンス3位のシンガポールは、一人当たりGDPが5.3万ドル(ちなみに、日本は3.9万ドル)に達する先進国です。同国国債は国際的な大手格付け機関がいずれも「AAA」を付与と信用力が高く、株式の配当利回りは3.6%とアジアの株式市場でも最も高いグループに属するため、安定的な収益資産と評価されます。
また、同国は東南アジア地域を一つの国と見立てたときの首都機能を果たす国家戦略を採っています。周辺諸国の高成長から恩恵が期待され、世界で有数の高所得先進国でありながら比較的高い成長を遂げる可能性に注目できます。
インドネシア、マレーシアも、比較的高い成長が続いている国として注目できるでしょう。フィリピン、ベトナムなどに劣後した要因としては、年初来資源価格が不安定となっていることが影響していると考えられますが、ここが安定してくれば、パフォーマンスも追いついてくると期待できるでしょう。
パフォーマンスが低調なタイについては、昨年10月にプミポン国王が死去されて1年間の服喪期間にあるため、当面は経済が盛り上がる環境にはないと言えそうです。
国際分散投資の重要なコンポーネントの一つとして、東南アジアの株式もご検討されてはいかがでしょうか。
図表2:東南アジアの株式市場が好調
注:フィリピンはフィリピン総合指数、ベトナムはベトナムVN指数、シンガポールはシンガポールST指数、マレーシアはクアラルンプール総合指数、米国はS&P500指数、インドネシアはジャカルタ総合指数、タイはタイSET指数によります。最後のデータは6/15(木)です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表3:新興国経済の改善基調が定着
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成
図表4:東南アジア各国のGDP成長率
注:予想はBloomberg集計のコンセンサスです。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成