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3Q(7-9月期)決算速報(現地11/1引け後発表)
●決算発表後の時間外取引(日本時間10:00時点):62.19ドル(+4.24%)
●売上高:55.7億ドル、前四半期は65.5億ドル(予想55.8億ドル)△市場予想とほぼ一致した
●調整後EPS:0.67ドル(予想0.65ドル)〇市場予想をわずかに上回った
●10-12月期売上高見通し:52〜58億ドル(予想58.5億ドル)×会社予想の上限値も市場予想を下回った
●10-12月期調整後粗利益率見通し:51.0%(予想52.4%)×市場予想を下回った
●2022/12期通期売上高見通し:従来予想の260〜266億ドルから232〜238億ドルへと大幅に引き下げた(予想238.9億ドル)×会社予想の上限値も市場予想を下回った
●2022/12期通期調整後粗利益率見通し:従来予想54.0%から52.0%へと引き下げた(予想52.4%)×市場予想を下回った
売上高は市場予想とほぼ一致、調整後EPSはわずかですが市場予想を上回りました。ただし2022/12期通期の売上高見通しは232〜238億ドルへと大幅に下方修正し市場予想を下回りました
発表をうけ株価は引け後の取引で4.24%の上昇となりました。売上高見通しなどは10/6の暫定決算の下方修正にて織り込んでいたようで悪材料視されず、むしろ悪材料出尽くし感や、ゲーミング向けが予想より良かったこと、データセンター、エンベデッド向け好調がプラス評価されたようです
引け後の時間外取引のチャート
決算のポイント
●調整後粗利益率:50.0%、前年同期は48%、(予想50.0%)△市場予想と一致した
●資本的支出(CAPEX):1.23億ドル、前年同期比+45%(予想1.02億ドル)
●フリーキャッシュフロー:8.4億ドル(予想12.3億ドル)x市場予想を下回った
●データセンター向け売上高:16.1億ドル、前四半期は14.9億ドル(予想16.1億ドル)△市場予想と一致した
●クライアント向け(デスクトップ・ノートなどPC向け含む)売上高:10.2億ドル、前四半期は21.5億ドル(予想11.0億ドル)x市場予想を下回った
●ゲーミング向け売上高:16.3億ドル、前四半期は16.6億ドル(予想16.4億ドル)△市場予想とほぼ一致した
●エンベデッド(組込型)向け売上高:13.0億ドル、前四半期は12.6億ドル(予想13.1億ドル)△市場予想とほぼ一致した
経営陣の主なコメント
●売上高は前年同期比29%増、データセンター、ゲーミング、エンベデッド向けが牽引した
●クライアント向けはプロセッサーが足かせ。PC需要の軟化、サプライチェーン問題や在庫調整が重し
●データセンター向けは10四半期連続で過去最高を更新、EPYCプロセッサーが牽引
●データセンター向けは次世代CPUのGenoaも初期段階の引き合い強い
●買収したザイリンクスのFPGAと同じく買収したペンサンドウのネットワーク向けDPUも好調
●ゲーミング向けはソニー、マイクロソフトの年末商戦向けにSOC(system on chip)が需要旺盛
●ゲーミング向けはグラフィクス向けは消費者向け軟調もセミ・カスタムのSOCが好調で相殺した
●エンベデッド向けは売上高が前年同期の1億ドルから13億ドルに大幅増加、営業利益率も30%から49%に大きく改善
●エンベデッド向け売上は航空・防衛、自動車、通信向けが過去最高水準
●エンベデッドの通信向けはケーブル、ワイヤレス双方で引き合い強く北米の5Gインフラ構築が背景に
●エンベデッド向けでは米国エネルギー省の次世代エナジー・サイエンス・ネットワーク(科学者向け高速ネットワーク)がアクセラレータ・カードを採用
●2022/12期通期の売上高は235億ドル±3億ドルを見込む、調整後粗利益率は52%を予想、エンベデッドおよびデータセンター向けが牽引するとみている
●営業費用は前年同期の10億ドルから15億ドルに増加、事業拡大によるもの
●6.2億ドルの自社株買いを実施、残りの買付承認枠は68億ドル
決算を受けたマーケットの反応
売上高は市場予想とほぼ一致、調整後EPSはわずかですが市場予想を上回りました。ただし2022/12期通期の売上高見通しは232〜238億ドルへと大幅に下方修正し市場予想を下回りました
発表をうけ株価は引け後の取引で4.24%の上昇となりました。売上高見通しなどは10/6の暫定決算の下方修正にて織り込んでいたようで悪材料視されず、むしろ悪材料出尽くし感や、ゲーミング向けが予想より良かったこと、データセンター、エンベデッド向け好調がプラス評価されたようです
半導体セクターは景気鈍化懸念やサプライチェーン問題から市場の警戒感は高かったようですが、AMDの決算と見通しは相対的に好調。なかでもクラウド化が進むなかでのデータセンター向け、世界の緊張高まりから航空・防衛向けや北米向け5Gインフラ構築など需要の衰えが見られそうもない事業での好調さが評価されたようです
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:89.79ドル(11/1時点)