≪採録レポート≫【株式投資家 井村 俊哉氏がゲスト】新しいNISAに向けた良質な日本株アクティブファンドとは
2023/12/1
個人投資家から絶大な人気を誇る Zeppy 代表取締役社長の井村俊哉氏をゲストに迎え、日本株アクティブファンドを運用する3 名のスペシャリストと共に、日本株市場についてトーク。さらに、2024 年から始まる「新しい NISA」に向けた、注目の日本株アクティブファンドについて徹底討論します。
セミナー登壇者
Zeppy 代表取締役社長
株式投資家(億り人)
井村 俊哉 氏
SBI 岡三アセットマネジメント
常務執行役員運用本部長
宮地 徹郎 氏
三井住友DSアセットマネジメント
運用部 バリュー+αグループ
ファンドマネージャー
部奈 和洋 氏
アセットマネジメント One
運用本部 株式運用グループ
国内株式担当ファンドマネジャー
安西 慎吾 氏
現在注目度が高まっている「日本株市場」について
井村:日本株市場は、日経平均や大型株は好調ですが、一方で新興市場という個人が主戦場とするような市場は、なかなか厳しい状況になっています。自分の感覚ですと、コロナ禍以降で一番厳しい相場になっているという感覚です。
宮地:1980 年代のバブル崩壊のツケをようやく払い終わって、上げ下げはあるものの長期的な上昇トレンドは続くとみています。
部奈:日本企業は今まさに変わり始めており、PBR1 倍割れの企業に対する東京証券取引所からの要請は大きな転換点となりました。資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応が要請されており、これからのマーケットに期待しています。
安西:私は「デフレからインフレ転換への期待」、「コロナからの脱却」、「東京証券取引所からの要請」の 3 点から、日本株のマーケットは前向きに捉えています。
運用されているファンドの銘柄選定基準について教えてください
宮地:日本高配当リバランスオープンは日経 500 種平均の採用 銘柄の中から、配当利回りが高い順に並べ、等金額のポ ートフォリオを組みます。
井村:裁量は一切ないんですか?
宮地:基本的に裁量は一切ありません。ただし、途中で赤字決算の予想に切り替えた銘柄はすぐに外します。
井村:特別配当の扱いは?
宮地:原則、予想配当利回りで並べています。
SBI 岡三アセットマネジメント
常務執行役員運用本部長 宮地 徹郎 氏
井村:増配期待による株価上昇が取れないのでは?
宮地:月末の予想配当利回りをベースに、月初にリバランスを行っていますが、しっかりパフォーマンスを出せています。
井村:投資対象となる銘柄も公開されているので、自分でできるのでは?
宮地:ご指摘の通り、手間を惜しまなければ個人でもできます。ただ、その手間の代わりに 1%程度の手数料をいただいています。
部奈:徹底的に割安な銘柄にこだわっていますが、単に割安なだけだと、ずっと割安なまま株価が上がらない銘柄もあります。
そこで、割安が解消されるために必要なのが企業の変化で す。過去厳しい環境もありましたが、1999 年から一貫して割安株への投資を続けてきました。このファンドの銘柄選定の基準は、①割安度、②確度、③ポテンシャルの 3つです。
一言で言うと、割安株の変化を取りにいっています。割安度についてはROEを考慮したPBRに注目しています。そして、 割安株に変化があるかどうかが重要です。変化の見極めには人工知能(AI)も活用し、企業の変化を可視化するとともに、そのポテンシャルについてはマネジメントへの取材を通じて判断しています。
三井住友 DS アセットマネジメント
運用部バリュー+α グループ
ファンドマネージャー 部奈 和洋 氏
井村:AI の活用法としては、全上場企業の決算短信の定性コメントを、過去に変化した企業のコメントをもとに AI がスコアリングするという、思っていた以上に AIを活用されていた点は印象的ですね。
井村:部奈さんがずっと運用されているのですか?
部奈:私は 2015 年から運用を引き継いでいます。
井村:業種の構成等、基本的な運用戦略については TOPIX をある程度意識していますか?
部奈:ポートフォリオ全体で PER や PBR が TOPIX 対比で割安かどうかが重要なので、TOPIX の業種別構成等は意識していません。結果的にポートフォリオの ROE が高くなっている傾向はあります。
安西:このファンドでは事業構造改革と資本効率改善に注目して厳選投資を行っています。例えば事業構造改革とは、中核事業の明確化や不採算事業の抜本的な見直し等があげられます。
具体的な事例として組入銘柄の大気社は空調事業と塗装事業を行っていますが、不採算の塗装事業の子会社を売却するなどして、採算性の改善が見られたことや、得意分野の産業空調を中心に収益性を改善させている点を評価しています。
井村:エンゲージメントについてはどの程度行いますか?
安西:あまり強く言うというよりは、こういう考え方もあるのでは?という提案を行うようにしています。
例えば、同業他社の事例の共有等も行っています。
アセットマネジメント One
運用本部 株式運用グループ
国内株式担当ファンドマネジャー 安西 慎吾 氏
井村:33 銘柄とかなり銘柄を絞り込んでいますね?
安西:構造改革で変わろうという銘柄は少ないと思うので、そこに合致する銘柄しか組み入れていません。時価総額についても縛りはないので中小型も含めて組入れを行っています。
運用者として『これだけはほかの人に負けない!』というポイントを教えてください。
宮地:35 年の運用経験で様々な相場を経験していることです。
なかなか自分より運用経験が長い方に会うことも減ってきた中、現在も運用を行っています。バブル最高値の
1989 年以前から運用しており様々な相場を経験しているので、平常心で運用できる点が強みです。
部奈:一言で言うとマイペースですね。性格的に周りのことがあまり気にならない性格なので、一喜一憂せずにマイペースで運用を続けられることが強みだと思っています。たとえ悪い時でも、勝っている気持ちが大切です。気持ちに余裕がなくなると余計なことをしてしまうのでマイペースに運用することを意識しています。
井村:すごくわかります。
自分の見通しとマーケットが合わない時がどうしてもあって、そこでブレてマーケットに迎合してしまうと、本来のところにマーケットが戻ったときにスタイルが崩れてしまっているので、ついていけないことがありますよね。
その一方で、マーケットの声を聞くことも大事ですし、時には柔軟に対応すべきタイミングもあると思いますが、その場合はどう考えますか?
部奈:それは極めて難しいところですが、私は最終的には取材を通じて、この会社だったら大丈夫、このマネジメントだったら信用できる、そう確信することができれば保有を継続します。
Zeppy 代表取締役社長
株式投資家(億り人) 井村 俊哉 氏
井村:マイペースというと簡単な言葉に思えますが、マーケットに対して自分のスタイルを変えることなく、
一貫性をもって投資する意志の強さを感じますね。
安西:私は対話力だと思います。ファンドのキャッチフレーズにもある通り、「対話で未来を変えていく」という点を大切にしており、対話を重ねることによってマネジメントの意識の変化を捉えることができると考えています。年間リサーチ件数が 700件を超える一方、国内最大規模のアナリストの体制も有していることから、小さな変化も見逃さない体制が整っています。また、24 年運用経験がありますのでマネジメントとの信頼関係も構築できている点も強みです。
井村:社内のファンドマネージャーやアナリストとの情報共有はどうなっていますか?
安西:朝会等、仕組化されているものもあれば、個別にコミュニケーションをとったりもします。
井村:うらやましいですね。僕も参加させてください(笑)。
<セミナー参加者からの質問①>
初心者ですが、アクティブファンドにも興味があります。どのような基準で選べばよいのでしょうか?
井村:自分が思う 1 つの基準として、ファンドマネージャーの顔が出ているかどうか、名前が出ているかどうかは重要だと思います。海外の場合、誰が運用しているかが明確になっているケースが多い一方で、日本のアクティブファンドはまだまだ開示が進んでいません。大切なお金を預けるためにも、誰がこのファンドを責任もって運用しているのかはとても重要なポイントだと思います。
宮地:運用への想いに共感頂けるかどうかですね。
部奈:運用の軸が決まっているか、またその軸がブレることなく運用しているかが重要だと思います。
安西:ファンドのコンセプトを理解頂いた上で、その通り運用されているかを月報等で確認してほしいです。
井村:月報はぜひ読んだ方がいいですね。鉄板です。
<セミナー参加者からの質問②>
取引の際に確認すべきテクニカル指標と、あまり知られていないが重要なファンダメンタルズの要素を教えてください。
井村:テクニカルは見ません。移動平均ですら消すことがあります。唯一見るとすれば 、VWAP で機関投資家の動向は注視しています。一方、ファンダメンタルズの指標でこれだけ見ておけばという正解はありません。1 つ 1 つ丁寧にリサーチすることでしかわかりません。
宮地:私もテクニカルは見ませんね。
部奈:私は若いころ先輩に言われた「月足 30 年」は今でもチェックしています。今を知るために、あえて長期の株価を見ることで、過去どういった時にこの会社が評価されたのか、どういった時に売られたのかが見えてきます。
井村:企業の沿革と過去の株価の推移を結びつけて考えるのは良いですね。良い示唆を頂きましたのでぜひ取り入れさせて頂きます。
安西:私の場合テクニカルも見ますが、投資判断はあくまでファンダメンタルズです。投資タイミングを見るうえでシンプルに出来高は確認します。例えば株価が下がっていて底這いなんだけど徐々に出来高が増えている銘柄で、ファンダメンタルズに自信を持っている銘柄であれば買いに行きます。
最後に投資家に向けてメッセージをお願いします。
井村:アクティブファンドを投資の選択肢にすることは非常に良い話だと思います。
例えばポートフォリオの全部を黒潮にしようとするとバランスが悪いですが、インデックスファンドがベースでも良いので、リスク許容度に応じて個別株やアクティブファンドを組み合わせていくのはありだと思います。
宮地:ファンドも一つの銘柄だと思うので銘柄分散した方が良いと思いますし、アクティブファンドは誰がどのような想いで運用しているかが大事だと思います。ぜひこういったセミナーを活用して情報収集してほしいと思います。
Zeppy 代表取締役社長
株式投資家(億り人) 井村 俊哉 氏
部奈:今、日本企業は本気で変わろうとしています。企業のマネジメントの方も個人投資家の方のマーケットに対する関心を気にしています。こういったセミナーに参加頂くことは運用担当者として非常に有難いですし、アクティブファンドへの投資を通じて企業の変化を一緒に後押しして頂ければ幸いです。
安西:アクティブファンドを通じて我々が仲介役となって企業との対話を進め、日本企業の変化を応援するといった良い循環が、日本の株式市場を底上げすると考えています。我々も頑張りますが、ぜひ皆さんに参加して頂いて、循環を実感して頂ければと思います。
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