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“テクノロジー”x“人口動態”が米国経済にもたらすダイナミックな変化

2019/5/22

フィデリティ・米国株式ファンド

今、米国で起きていること

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「ミレニアル世代」は、モノへの所有にこだわらず、デジタルを活用して必要な時に必要なサービスを効率的に手に入れることを好むようです。こうした世代が2050年までの人口予想で経済の主役になります。

2

所有からサービスの利用へのシフトという鮮明な流れを捉えているのがサブスクリプション(定額制)ビジネスです。エンターテイメントや住宅などにおいて、ダイナミックな変化が起きています。

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短期的な市場変動に惑わされることより、現在米国で起きている構造的変化の中で、ダイナミズムを取り込み成長している企業への投資機会を見極めることが重要です。

足元では、米中貿易摩擦の長期化、各国中央銀行の金融政策の正常化への歩み、英国の欧州連合(EU)離脱の行方に加えて、これまで米国株式市場を支えてきたFAANG(フェースブック(Facebook)、アマゾンドットコム(Amazon.com)、アップル(Apple)、ネットフリックス(Netflix)、グーグル(Google))を中心とした高成長銘柄の調整なども重なり、市場では短期的な変動が高まりやすくなっています。

短期的な市場変動に惑わされることにより、現在米国で起きている構造的変化の中で、ダイナミズムを取り込み成長している企業への投資機会を逃していませんか?

このような時だからこそ、短期的な決算内容への一喜一憂ではなく、中・長期的そして構造的に起きている変化を捉えて将来の成長機会を見極めることが重要です。
「“テクノロジー”x“人口動態”が米国経済にもたらすダイナミックな変化 」と個別の成長機会について考察します。

「ミレニアル世代」が「ベビーブーマー世代」を上回り米国経済の主役へ

これまで米国では「ベビーブーマー世代」と言われる1946年〜1964年生まれが最大の世代でしたが、米国国勢調査局によれば2019年には「ミレニアル世代」と呼ばれる1981年〜1996年生まれの人口が米国の成人人口の最大数を占める見込みです。

テクノロジーの進展だけではなく、この人口動態の変化が相まって、米国経済にダイナミックな変化を起こしていることを忘れてはいけません。

「ミレニアル世代」の特徴は、2001年のアメリカ同時多発テロ事件などを目の当たりにしてきただけに、文化的な多様性・人権などの社会問題について関心が高いとされます。また、デジタルパイオニア世代として世界とつながり、自己主張する場を獲得してきたこともそれらの動きを助長していると言えそうです。

こうしたことから、「ベビーブーマー世代」が掲げてきた典型的なアメリカンドリームに対する興味は薄く、独自の生き方を尊重し合う傾向にあります。そのため、モノへの執着というよりは、デジタルを活用して必要な時に必要なものを効率的に手に入れることを好みます。こうした世代が2050年までの人口予想で経済の主役を維持し続けることを踏まえると、現在起きている「サブスクリプション・エコノミー」が今後も急成長を遂げると考えることが自然でしょう。

米国における世代別の人口推移(予想)

  • ※(出所)フィデリティ投信

サブスクリプション・エコノミーにおける新たな消費スタイル

所有からサービスの利用へのシフトという鮮明な流れを捉えているのがサブスクリプション(定額制)ビジネスです。米Zuoraによると、2012年から2018年6月まで、サブスクリプションビジネスの売上の伸びは、米国の小売売上やS&P500種企業の売上の伸びと比べ、およそ5倍の速度で成長しています。現在でもメディアの比率が高いものの、食材、化粧品、車、アパレル、家具など様々なサービスを定額で提供する企業が登場しています。

サービス

事例

商品を定期購入

  • アマゾン・サブスクライブアンドセイブ(定期お得便)
  • ダラーシェイブクラブ(カミソリを毎月配達)
  • イプシー(コスメ用品の定期購入)
  • ブルーエプロン(食材宅配)
  • バークボックス(ペット用品定期配達)

メディアを無制限に定額利用

  • ネットフリックス(映画・ドラマ)
  • スポティファイ(音楽)
  • クラスパス(フィットネス)

高級車を定額で乗り換え

  • ポルシェ・パスポート(ポルシェ)
  • メルセデスベンツ・コレクション(メルセデスベンツ)

「エンターテイメント」x「サブスクリプション」

スマートフォンが普及した今、身近なサブスクリプションサービスとなっているのが、エンターテイメントです。いつでも、どこでも、好きなだけ楽しむ、という人々のニーズを捉えています。米ネットフリックスは世界で約1億4千万人もの加入者が利用し、映画やドラマを好きなだけ楽しんでいます。話題の映画だけでなく、テレビで放映されないようなマニアックでニッチな番組も観られます。

音楽では、米アップルミュージックやスウェーデンのスポティファイなどのデジタル配信サービス(ストリーミング)が人気です。ストリーミングで気分にあった音楽をかけ流しで楽しめるのです。国際レコード連盟によると、2017年の世界の音楽市場は、CDの売上は減少傾向であるものの、増加したストリーミングやデジタル配信が売上全体の約54%を占めました。韓国語で歌うK-POPグループが全米チャート上位になるなど、ローカルなスターがグローバルな注目を集めるようになったのも、ストリーミングサービスの影響だと指摘されています。

ゲームの世界でも、サブスクリプション&ストリーミングが注目されています。バーチャル・リアリティ(VR)や拡張現実(AR)との融合、eスポーツなどが市場を拡大させていくと考えられます。

これらのサービスが人気を博している背景のひとつとして、絶妙なおすすめをしてくれることがあげられます。「こういったものがお好きならば、こちらもおすすめですよ」などと、促されます。ベテラン店員さんのように的確なアドバイスにつられて次々に楽しむことができます。テクノロジーがもたらす魅力的なエンターテイメントを提供できる企業は、今後も一層成長していくと展望されます。

「高級賃貸住宅」x「サブスクリプション家具」

2016年に底打ちして以来、回復基調であった持ち家比率ですが、足元では再び低迷しています。これは、住宅ローン金利の上昇や建設費用の高騰が背景にあると考えられます。

また、ミレニアル世代を中心に、サブスクリプション・エコノミーを作り出した世帯が、働く場所の移動性(モビリティー)を重視しているため、かつてのアメリカンドリームである戸建購入ではなく賃貸住宅を収入に応じて変えていくというライフスタイルへと変化したことも影響しているでしょう。モビリティーが高い生活を経て環境が安定するまで住宅の購入に時間を費やして吟味しているのです。

定額制の家具レンタルサービスを手掛けるFeatherのCEOであるJay Renoによれば、「米国では18歳から35歳の若者は大学を卒業し住宅を購入するまでに平均的に約11回引っ越す」ようです。彼は引っ越しを気軽に行うためにも大きくて移動の負担となる家具をNYやサンフランシスコなどの大都市圏でレンタルすることを思いつき2017年4月に起業しました。実際、米国リートが手掛ける比較的高級な集合賃貸物件では1年契約が主流となっていますが、大都市圏を中心に前年比+3〜5%程度賃料を引き上げて契約更新することが現状では可能となっています。ミレニアル世代などからの高い需要に対し、建設費用の上昇などから今後も新規供給が抑えられた状態がしばらく継続すると見込まれますので、住宅リートへは追い風となることが想定できます。

  • ※(出所)フィデリティ投信

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