米国リートの相場動向の振り返りと気になる今後の見通し!トランプ新大統領誕生の影響にも注目!
2016/11/18
11/8(火)、トランプ新大統領の誕生で、動揺する米国。
トランプ新大統領の誕生に対して楽観論も出ている一方で、トランプ氏自身の政策実行力には疑問の声が大きいのも事実。米国経済全体がどうなっていくのか期待と不安が入り混じった状況です。
では、米国のリート市場は今後どうなっていくのか?米国リート市場の相場動向の振り返りと、今後の見通しについて、フィデリティ投信から藤田氏をお招きし、徹底解説していただきました。
リート市場の中で最も歴史が長く、世界最大の規模である米国リートに投資します。 |
- ※レーティングは2016年10月末基準のものを記載
2016年の米国リートを振り返る
2016年7月末まで米国リート相場は米ドルベースで2桁の上昇を記録!物件の稼働率が過去最高であったこと、物件の供給数が限定的であることを背景とした賃料の上昇が好感されました。
一方で、2016年8月以降は年内の利上げ観測の高まりを受けた長期金利の急激な上昇、米大統領選挙を目前に先行き不透明感が増したことから、軟調な推移に転じています。
(注)RIMESなどよりフィデリティ投信作成。米国リートはFTSE NAREIT Equity REITs インデックス。期間初を100として指数化。米ドル円は実数値。2015年10月末〜2016年10月末。
|
1ヵ月間 |
3ヵ月間 |
6ヵ月間 |
1年間 |
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オフィス・物流 |
-4.3% |
-7.3% |
8.6% |
14.3% |
小売 |
-9.2% |
-15.9% |
-2.6% |
1.7% |
住宅 |
-2.7% |
-5.6% |
3.8% |
6.9% |
複合施設 |
-6.2% |
-10.9% |
4.3% |
3.4% |
ホテル・リゾート |
-2.1% |
-11.0% |
0.8% |
-6.6% |
ヘルスケア |
-6.8% |
-9.7% |
6.8% |
16.0% |
倉庫 |
-5.3% |
-11.6% |
-12.2% |
-4.9% |
林業 |
-4.5% |
-5.7% |
-1.8% |
13.6% |
インフラストラクチャー |
0.03% |
-1.4% |
11.1% |
15.6% |
(注)各種資料よりフィデリティ投信作成。FTSE NAREIT REITs インデックスの各セクター指数。米ドルベース。2016年10月末時点。
出所:フィデリティ投信作成 販売用資料より抜粋
気になるのは今後の動向!2017年はどうなる?
2017年の予想業績成長率は8.7%!着実な業績拡大に期待
米国経済は2%程度の底堅い成長が予想されており、米国リートが保有する不動産の入居率は、景気回復や雇用環境の改善を受けて約95%と過去最高水準です。一方で過剰供給は見られず、商業用不動産の価格や賃料は上昇基調を維持しています。保有物件の賃料収入増加や一部保有物件の売却益などの恩恵を受け、今後も米国リートの着実な業績の伸びが期待されます。
(注)FMR CoおよびCiti Researchよりフィデリティ投信作成。入居率の期間は2001年第2四半期〜2016年第2四半期。米国リートの業績予想は調整後キャッシュフロー増加予想、2016年11月4日時点。
出所:フィデリティ投信作成 販売用資料より抜粋
米国リートの保有不動産の入居率は過去平均92.9%を上回る水準で推移。
安定した賃料収入に支えられ、2017年の予想業績成長率は前年と比べても高い8.7%!
業績の堅調な拡大が予想されています。
金利上昇の影響は限定的?
トランプ氏が新大統領に選ばれたこともあり、年内の利上げ予想は低下してはいるものの、遅かれ早かれ利上げ時期はやってくると考えられます。金利上昇はリートの資金調達に影響しネガティブにとらえられる傾向が強いですが、実は過度に心配する必要はないとフィデリティ投信の運用担当者が解説してくれました。
政策金利の引き上げには物価上昇(インフレ)の抑制効果があります。その結果、長期金利の上昇を限定的にする効果が期待されます。米国リートが資金調達する際に基準となるは米国長期国債利回りであるため、政策金利の引き上げにより結果的に長期金利の上昇が抑制されれば、そのリートへのマイナスの影響は限定的と考えられるのです。
下図では、過去の金利上昇局面で、米国10年国債利回りの上昇が抑制されていることがわかりますね!
(注)RIMESなどよりフィデリティ投信作成。期間:1993年9月末〜2016年10月末。米国リートは、FTSE NAREIT Equity REITsインデックス。米国株式はS&P500種指数。
トータル・リターン、米ドルベース。課税前、諸費用控除前。期間初を100として指数化(対数軸)。金利上昇期:米国10年国債利回りが1%以上上昇した期間。
出所:フィデリティ投信作成 販売用資料より抜粋
トランプ新大統領誕生の米国リート市場への影響は?
トランプ氏は実業家ですが、政治経験はないため、将来の決定能力や実行能力に対する不透明感が拡大。世界の金融市場では変動性が高まることが予想されます。しかし一方で、トランプ氏が約5,500億米ドルもの費用を投じて進めようとしているインフラ整備は、リートに好影響を与えると期待されます。短期的には相場の変動性に注視が必要ではあるものの、米国リート市場を中長期的に見ると、優良な銘柄を割安で購入できる投資機会ととらえているようです。
投資家心理 |
不透明感の拡大からリスクオフへ |
---|---|
金融政策 |
不透明感の拡大が12月の利上げの障害に |
通商政策 |
強い保護主義 |
財政政策 |
財政赤字拡大志向 |
ポートフォリオ・マネージャー
スティーブ・ビューラー
- 今回のような政治的イベントでは、結果を事前に推測し投資行動を行うことは懸命な判断ではありません。一方で、短期的な投資家心理の悪化による相場の下落時は、優良な銘柄を割安で購入することが出来る絶好の投資機会です。
- 私としましては、中・長期的な視点に基づき倉庫や家族向け住宅、オフィス・物流などで一部投資を増やしました。
- 今後も短期的には相場の変動性が高まることが想定されます。しかしながら、中・長期的にはファンダメンタルズを反映した相場の動きに回帰すると考えており、冷静に状況を見極める事が肝要と言えるでしょう。
(注)フィデリティ投信作成。上記は予想であり実際の結果はこれと異なる動きをする場合があります。
出所:フィデリティ投信作成 販売用資料より抜粋
「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」分配金変更の背景を解説!
2016年11月15日の第155期決算において、フィデリティ投信の運用するフィデリティ−フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)の分配金が『100円から70円(課税前)』に変更になりました。
運用は大丈夫なのか?とご心配になった方も多いのではないでしょうか。
フィデリティ投信に、今回の分配金変更を決定した考え方、背景を解説していただきました。
- 運用成果においては、トータルリターンを上げることを重視
- トータルリターンは短期ではなく、中長期で追求する
- 中期的な分配の安定性
(1)米国リートは今後も堅調な推移が見込まれているが、2009年以降続いた急成長局面から、緩やかな上昇ペースに移行してきていると考えている
(2)リーマンショック後に起こった円安進行が一服し、相場環境に応じた為替の動きに移行してきた
(3)分配金支払い後の基準価額の推移が緩やかに低下してきている
こうした状況と、フィデリティ投信の分配方針を鑑みた結果、中長期的な基準価額の上昇と安定した分配を継続するため、今回の分配金変更に至りました。ですが、運用環境について悲観的になっているのではなく、米国リートへの投資の魅力は継続していると考えており、今後も銘柄選定力を活かし運用していく、と語ってくださいました。
投資信託に関するご留意事項
- 投資信託は、主に国内外の株式や債券等を投資対象としています。投資信託の基準価額は、組み入れた株式や債券等の値動き、為替相場の変動等により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。
- 投資信託は、個別の投資信託毎にご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。ファンド・オブ・ファンズの場合は、他のファンドを投資対象としており、投資対象ファンドにおける所定の信託報酬を含めてお客様が実質的に負担する信託報酬を算出しております(投資対象ファンドの変更等により、変動することがあります)。
- 本ページでご案内するファンドには、「毎月分配型投資信託」または「通貨選択型投資信託」が含まれております。お取引の前に必ず「毎月分配型投信の収益分配金およびNISAでのご注意事項、ならびに通貨選択型投信に関するご注意事項」の内容をご確認いただきますようお願いいたします。
- 投資信託の決算日時点の基準価額がお客様の個別元本を下回っている場合、分配金は「特別分配金」となり課税されません。当該分配金については、NISA口座での非課税メリットを享受いただけませんので、ご留意ください。
- ご投資にあたっては、目論見書や契約締結前交付書面をよくお読みください。