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改善したインド株式市場〜総選挙後の新政権に期待〜
2014/5/28
SBIインド&ベトナム株ファンドの主要投資対象のうちの一つである、ロイド・ジョージ インド株・マザーファンド(適格機関投資家専用)を運用するロイド・ジョージ・インベストメント・マネジメント(バミューダ)・リミテッドによるインドの総選挙および株式市場の見通しについての最新レポートをご紹介するとともに、マクロ経済が改善し、史上最高値を更新しているインド株式市場についての情報をお届けいたします。以下「お知らせ」欄に掲載の最新レポート:「モディ首相の3つの経済改革、インド成長加速へ」をご確認ください。
総選挙に注目
☆インド最大野党である「インド人民党(BJP)」のナレンドラ・モディ氏(現グジャラート州首相)は、次期首相候補の最有力と見られています。
☆グジャラート州首相として、インフラの整備、大規模な農業改革の実施、経済特区設置の成功等、数々の実績を残したモディ氏の手腕に対する評価は高く、彼のリーダーシップに対する期待が高まっています。
☆同州をインドで最も成長率が速く、経済的に豊かな州に変えたモディ氏がインドの首相に選出されれば、グジャラート州におけるサクセス・ストーリーの「国家規模での再現」が期待され、投資家心理は大きく改善するでしょう。
マクロ経済の大幅な改善に注目
☆インド準備銀行(RBI)主導の様々な政策による通貨の安定、インフレ抑制と経常赤字の縮小、来たる総選挙への期待等により、インド株式市場は史上最高値の水準で取引されています。
☆輸出の増加、RBIの輸入制限措置発動による金輸入の減少、原油相場の下落等によって貿易収支が改善されたことにより、経常赤字が大幅に縮小しました。
☆インドルピー相場は2013年9月以降、経常赤字の改善や海外投資家からの堅調な資本流入等を受けて、対米ドルで大きく上昇しました。
インドの総選挙および株式市場の見通しについて
間近に迫った総選挙〜ニフティー指数は過去最高値の水準〜
今回のインドの総選挙では、インドの有権者8億1,500万人が4月7日から5月12日の間に投票することになり、そのうち1億人は今回初めて候補者に投票することになります。ここ数年間の政府は硬直的な対応が目立ち、政治家はスキャンダルで注目を集め、政府主導のインフラ開発は行き詰まっていますが、間近に迫った総選挙は、インド経済やインド株式市場が大きく変化する見通しを提供するものになっています。こうした変化や相場の一段高を予測し、インドの代表的な株価指数であるニフティー指数は過去最高値の水準で取引されています。
2013年9月以降、市場は回復基調に(図表1)
図表1: Nifty指数 パフォーマンス(現地通貨ベース)
(出所)ブルームバーグのデータを基にSBIアセットマネジメントが作成
- ※期間は2013年9月4日から2014年3月18日まで。
- ※本資料中のグラフ、数値等は作成時点でのデータであり、将来の傾向、数値等を予測するものではありません。
2013年のインド市場は当初乱高下を繰り返しましたが、9月4日以降は米ドルベースで30.5%回復しました(2014年3月18日時点)。主な要因は以下の通りです。
- インド準備銀行(RBI)主導の様々な政策による通貨の安定
- インフレ抑制と経常赤字の縮小
- 来たる総選挙におけるナレンドラ・モディ氏率いるインド人民党(BJP)の勝利予測 により高まる楽観傾向
- 海外機関投資家による活発な買い
グジャラート州首相のナレンドラ・モディ氏が最有力
総選挙の最終結果は5月16日に公表されます。最近の世論調査では、グジャラート州首相のナレンドラ・モディ氏がインド人民党(BJP)主導の連立政権で首相になると予想されています。こうした世論調査に基づけば、約10年間にわたって国民の期待を裏切り、機能不全に陥った国民会議派率いる現政権が終幕を迎えることになるでしょう。
最近の世論調査は、来たる総選挙で、BJPが議会下院で543議席のうち210から220議席を獲得する可能性を示唆しています。こうした状況になった場合、新たな連立政権はBJP主導で樹立され、モディ氏の個人的な立場はBJPの総裁や首相候補として強まることになります。モディ氏は(2002年のグジャラート州の大臣時代に、同州で発生したヒンドゥー教徒によるムスリム教徒の迫害を静観・容認したと一部欧米メディアから報道されるなど)過去の経緯から物議を醸す人物ですが、彼個人の人気は直近3年間で大きく上昇しています。
世論調査では、新たな連立政権の樹立を示唆(図表2)
図表2: 下院構成
政党 |
現在の下院議席数 |
世論調査による推定議席数 |
---|---|---|
与党 |
228 |
107 |
コングレス党 |
206 |
91 |
コングレス党同盟 |
22 |
16 |
野党 |
133 |
220 |
インド人民党(BJP) |
116 |
200 |
インド人民党(BJP)同盟 |
17 |
20 |
その他 |
182 |
216 |
合計 |
543 |
543 |
(出所)www.loksabha.nic.in;及び複数の世論調査、ロイド・ジョージ・マネジメント社のデータを基にSBIアセットマネジメントが作成
- ※本資料中のグラフ、数値等は作成時点でのデータであり、将来の傾向、数値等を予測するものではありません。
第三勢力の集票力は、地方を除けばおそらく限定的なものに
重要なことは、合計で下院の議席数の75%以上を占め、今回の総選挙で激戦が予想される11の主要な州で、BJPが支持率を高めているとみられることです。
また、汚職反対を掲げ、2013年11月のデリー首都圏(州に相当)の議会選挙で勝利を収めたことにより、一気に注目を集めた新興政党・庶民党(AAP)は、中央政界においては重要な第三勢力として浮上していないことを世論調査は示唆しています。一時、AAPは反国民会議派票を二分し、それによりBJPが新たな政権で支配的な役割を得る可能性を低下させると懸念されましたが、こうした懸念は今や完全に後退し、解消されています。
現在の与党・国民会議派や最大野党BJP以外の政党の11人の指導者は、直近で第三勢力となる政党連合の結成を発表しました。歴史的にみれば、第三勢力は安定的な政権樹立を支援するという点ではとりわけ実績が乏しく、様々な世論調査によると、こうした第三勢力の集票力は、地方を除けばおそらく限定的なものになるということが示唆されています。
なぜモディ氏なのか?〜グジャラート州のサクセス・ストーリーの再現に期待〜
意欲的な施政者 〜官僚制度の打壊、州の成長力加速を牽引〜
非効率で有名なインドの官僚制度を打ち壊し、グジャラート州をインドで最も成長率が速く、発展した州に変えたモディ氏は、極めて効率的に企業寄りの政策を推進する意欲的な施政者と総じて受け止められています。
州首相として豊富な実績 〜インフラ整備、経済特区の成功〜
グジャラート州はモディ氏が州首相を務めた12年間に飛躍的発展を遂げました。1日数時間の停電が常態化していた電力不足については、24時間の電力供給を達成し、優れた水道や輸送インフラを整備しました。また、過去5年間にソフトウェア・サービス関連で新たに生み出された雇用の60%はグジャラート州の経済成長に基づくものでした。マンドラやダヘジに設置した経済特区は大成功となりました。
急速な経済成長を実現 〜大規模な農業改革、オンライン・サービスの活用〜
グジャラート州では、タタ・モータースやフォード、マルチ・スズキといった大手メーカーに提供するための自動車産業の集積地が作られているほか、大規模な農業改革が実施されています(灌漑区域等)。グジャラート州政府は、より効果的かつ責任を負った政策を採用するようになっており、とりわけ「イー・ガバナンス(ICT技術の政治への応用)」と呼ばれるオンライン・サービスの活用は、その具体的な事例です。こうした政策的イニシアチブの結果、グジャラート州は、過去10年間にわたって、インドの28の州と7つの連邦直轄領の中で最も急速な経済成長を遂げた州としてその恩恵を享受しており、インドのGDPに占めるグジャラート州の比率は大きく上昇しています。
サクセス・ストーリーの再現に期待 〜投資家心理は大きく改善〜
もしモディ氏がインドの首相に選出されれば、少なくともグジャラート州のサクセス・ストーリーの一部を国家規模で再現してくれる、というのが大きな期待として表れています。したがって、BJP率いる連立政権の後押しを受けたモディ氏がインドの首相になれば、投資家心理は大きく改善するでしょう。
インドのGDPに占めるグジャラート州の比率は大きく上昇(図表3)
図表3: 各州のインド全体GDPに占める比率
(出所)Reserve Bank of India (RBI)のデータを基にSBIアセットマネジメントが作成
- ※期間は2001年から2012年まで。
- ※本資料中のグラフ、数値等は作成時点でのデータであり、将来の傾向、数値等を予測するものではありません。
インド経済のマクロレベルでの大幅な改善にも注目
政治情勢のほか、インド経済のマクロレベルでの大幅な改善にも注目できます。インドの2013年10-12月期GDP成長率は、予想をわずかに下回る数値でしたが(前年同期比+4.7%)、好ましい点としては、経常赤字がGDP比で1%未満の水準に縮小していたことです。これは、2012年10-12月期の同6.5%の経常赤字と比較すれば、改善したことは一目瞭然です。この経常赤字幅の改善は、輸出の回復(こうした輸出の回復傾向は、タタ・コンサルタンシー・サービシズやドクターレディ・ラボラトリーズといったソフトウェア・サービスや製薬大手の2013年10-12月期の好調な企業収益に反映されています。)や(インド準備銀行による輸入制限措置発動後の)金の輸入の大幅な減少によるものでした。インドルピー相場は、2013年半ば以降の米金融政策の転換を受けた「テーパリング(米量的緩和の縮小)・ショック」によって引き起こされた通貨安を経て、現在は安定しています。実際、インドルピーは、インドの経常赤字の水準が改善していることや、原油相場の下落、海外投資家からの堅調な資本流入を考慮すると、今後は上昇傾向となるかもしれません。
モディ氏があらゆる問題を解決する魔法の杖を持っているとは我々も思っていませんが、BJPが今回の総選挙で勝利を収めれば、インド株式相場は好成績を挙げ、新政権による新たな活力と政策決定における目的を確認出来ると我々は期待しています。
- ※上記の内容は、ロイド・ジョージ・インベストメント・マネジメント(バミューダ)・リミテッド)のファンド・マネジャーのコメントをSBIアセットマネジメント株式会社が和訳・編集したものです。
インドの経常赤字は大幅に縮小
2012年10-12月期末には経常赤字がGDP比で6%超ありましたが、2013年10-12月期末には0.8%に縮小しました。主な要因は以下の通りです。
- 輸出競争力の改善
- インド準備銀行による輸入制限措置発動後の金の輸入の大幅な減少
- 原油相場の下落
2月の卸売物価指数(WPI)上昇率が前年同月比+4.6%まで鈍化したことにより、翌四半期内におけるインド準備銀行による利下げの可能性が高まりました。
図表4:経常赤字とインフレ(卸売物価指数(WPI)ベース)
(出所)ブルームバーグのデータを基にSBIアセットマネジメントが作成
- ※経常赤字の期間は2005年6月から2013年12月まで、卸売物価指数の期間は2005年6月から2014年2月まで。なお経常赤字は四半期単位、卸売物価指数は月単位です。
- ※本資料中のグラフ、数値等は作成時点でのデータであり、将来の傾向、数値等を予測するものではありません。
インドルピー通貨高
2013年9月3日の最安値以降、インドルピーは対米ドルで10.9%上昇しました(2014年3月18日時点)。主な要因は以下の通りです。
- 経常赤字の縮小
- 2013年11月以降の外国人投資家による48億米ドルの資金流入
- 効果的な外貨建て非居住者預金(FCNR(B))プログラムによる外貨預金流入
インドルピーは引き続き現在の水準で安定すると思われます。
図表5:インドルピーの対米ドル為替レートの推移
(出所)ブルームバーグのデータを基にSBIアセットマネジメントが作成
- ※期間は2013年9月3日から2014年3月18日まで。
- ※本資料中のグラフ、数値等は作成時点でのデータであり、将来の傾向、数値等を予測するものではありません。
インド市場は、ここ5年間低迷→今後大きなリターンが得られる可能性
- 市場は現地通貨ベースで過去最高値の水準で取引されていますが、これは2008年1月のピーク時をわずかに上回っているに過ぎません。
- インド市場(米ドルベース)はインドルピー通貨安によって、実に2008年1月から31%も下落しています。
- 運用資産の一部の運用を再委託しているロイド・ジョージ・インベストメント・マネジメント(バミューダ)・リミテッドは、2013-15年にかけての企業収益の年平均成長率は13.6%と予測していますが、利益は上方修正される可能性もあります。
- 現在のインドはマクロ・データの改善、所得の回復および精力的な新政権が誕生する可能性等により、投資家にとって大きなリターンが得られる市場であることを示唆しています。
図表6:インド SENSEX PERバンドチャート(現地通貨ベース)
(12カ月後予想利益)
(出所)ブルームバーグ、ロイド・ジョージ・マネジメント社のデータを基にSBIアセットマネジメントが作成
- ※期間は2006年4月1日から2014年3月18日まで。
- ※本資料中のグラフ、数値等は作成時点でのデータであり、将来の傾向、数値等を予測するものではありません。
留意事項
(1)石油価格:
インドは、エネルギー資源の約65%を輸入しています。そのため、石油価格の上昇は経常赤字を悪化させ、インフレ圧力の増加を招き、利下げ時期を遅らせることになります。しかし反対に、石油価格が下落した場合には、インドの経済と株式市場に大きな恩恵を与えることになるでしょう。
(2)総選挙:
インド人民党(BJP)が次の政府を主導すると予想されていますが、党が国民からの強い支持を得られなかった場合、第三勢力からなる脆弱な連立政権は、喫緊の課題である市場改革を推し進めることが、より困難になると思われます。
インド準備銀行のラグラム・ラジャン新総裁が就任した2013年9月4日以降、SBIインド&ベトナム株ファンドの基準価額は上昇を続け、2014年3月18日時点の基準価額は6,238円で、2013年9月4日から2014年3月18日までの騰落率は+31.8%となりました。
過去3年間の基準価額の推移 (2011年3月18日〜2014年3月18日)
- ※基準価額は信託報酬控除後のもので、税引前分配金を再投資したものとして算出しています。
- ※本資料中のグラフ、数値等は作成時点でのデータであり、将来の傾向、数値等を予測するものではありません。
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