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オプション戦略で分配力を上乗せ!注目のカバードコール型ファンド特集!
6月以降、毎月分配型ファンドで分配金の引き下げが相次いでいます。毎月の運用収益を上回って分配金を支払っていたファンドが、分配金額を実力に近づけようとする動きが業界内で広がっていることが主因です。
一方、毎月分配型ファンドを好む投資家からは、できるだけ高い分配金を求められているのも事実。そのニーズに応えるには、ファンドの元々の「分配力」を上げる工夫が必要になります。
そこで編み出された答えの1つが「カバードコール型ファンド」。最近SBI証券でも取扱いを増やし始めています。少々難しい仕組みではありますが、その特徴と商品ラインアップをご紹介しましょう。
カバードコール戦略とは?
大まかな意味合いをつかんでいただくために
まず、「オプション取引のことはよくわからない」という方のために、カバードコール戦略のおおまかな意味合いをご説明しましょう。
日本株に投資するファンドを例にとります。通常のファンドなら、たとえば日本株が1ヵ月後に上昇していれば儲かります。一方カバードコール戦略とは、「1ヵ月後に株価がある水準以上上昇しても、その利益はあなたに渡すから、いま私にその対価として現金をください」という契約をするというものです。
したがって株価がどれだけ上昇しても、一定水準より上の利益は放棄することになりますが、逆に株価が下がってしまったとしても、もらった現金は返す必要はありません。将来の不確実な収益チャンスを放棄する代わりに、現金を確実に獲得する方法、ということができます。
株式からの配当金に、この現金を分配金の原資に加えることにより、通常の投資信託よりも高い分配力を生み出すことを目指す、それがカバードコール型ファンドです。
ここでは日本株の例で説明しましたが、米国リートや為替などでも取引は可能です。
より詳しい説明はこちら
ここからは、もう少し本格的な説明をします。カバードコールとは、ある特定の資産を保有し、その資産のコール・オプション(買う権利)の売りを行う投資戦略です。
この戦略をとることで原資産の値上がり益は限定されるものの、原資産の配当収入とオプション・プレミアムの獲得が期待できます。その一方で、原資産の価格が権利行使価格を下回った場合は、コール・オプション(買う権利)の買い手は権利を放棄しますので、オプション・プレミアム(オプションを売ることで買い手から支払われる権利料)を獲得した分が利益(または損失の軽減)要因になります。
カバードコール型ファンドが対象とするコール・オプションの売りのパターンは以下に分類することができます。
(1) 原資産のコール・オプションの売り
(2) 通貨のコール・オプションの売り
(3) 原資産・通貨のコール・オプションの売り
実際にSBI証券でお取扱いしているファンドの中から(1)のパターンに分類されるカバードコール型ファンド「DIAM米国リート・インカムプラス」の損益イメージ図を以下に掲載いたしました。
このファンドの場合、原資産は米国リートです。下の図の例では、リート価格が値上がりすると、当初の100ドルから102ドルまでの2ドルは自分の利益ですが、それ以上の値上がり益は放棄しているので得られません。その代わり、オプション・プレミアムとして4ドルを獲得します。したがって、利益は最大でも6ドル(2ドル+4ドル)となります。
一方、リート価格が100ドルのままなら、プレミアムの4ドルが丸々利益になります。またリート価格が下落した場合でも、96ドルまでの下落なら、プレミアムでカバーできます。
満期日の米国リートカバードコール戦略と米国リートの損益比較(イメージ)
米国リートカバードコール戦略はコール・オプションの売却によるオプション・プレミアムの獲得により、米国リートより高い収益を得ることができます。(ケースA)
しかし、リート価格が一定以上上昇した場合には、米国リートカバードコール戦略は米国リートに劣後することとなります。(ケースB)。これは米国リートカバードコール戦略が、リート価格の値上がり益を放棄していることによります。
<前提>当初のリート価格:100ドル、コール・オプション(権利行使価格:102ドル、オプション・プレミアム:4ドル)
※配当金、為替変動、コスト等は考慮していません。
※上記は米国リートカバードコール戦略の満期日の損益イメージを表したものであり、当ファンドの実際の損益を示したものではありません。実際のリート価格、オプション・プレミアム等とは異なります。また、将来の運用成果を示唆・保証されるものではありません。
※当ファンドにおいて、米国リートカバードコール戦略の損益は毎営業日時価評価され、日々の基準価額に反映されます。
※当ファンドにおける米国リートカバードコール戦略の損益は、対象となるリートの銘柄毎に異なります。
- (出所)「DIAM米国リート・インカムプラス」の販売用資料より引用
基準価額に与える影響は?
上記の図は米国リートを保有し、米国リートのコール・オプションの売りを行った場合の取引の損益イメージ図ですが、下記は米国リート・カバードコール戦略の損益が「DIAM米国リート・インカムプラス」の基準価額に与える影響をまとめた表です。
原資産の米国リートが上昇することで、基本的に基準価額はプラスになります。原資産が下落した場合でもオプション・プレミアムを受け取っているため、原資産のみを保有した場合よりもプレミアム分損失を抑えることができます。
米国リートの価格変動が当ファンドの基準価額に与える影響(イメージ)
ケース(1)〜(3)は、コール・オプション売却時と比較した満期日のリート価格水準によって場合分けしております。
(※配当金、為替変動、コスト等は考慮しておりません。)
- ※「権利行使価格」とは、オプションの権利行使の基準となるリート価格のことです。
- ※「満期日」とは、オプション取引の期限のことで、オプションの権利行使が可能となる日です。
- ※「オプション・プレミアム」とは、オプションを売却した対価として受け取る権利料をいいます。
満期日のリート |
米国リートカバーコール戦略による損益 |
当ファンドの基準価額への影響 |
||
---|---|---|---|---|
米国リート投資による損益 |
コール・オプション売却による損益 |
|||
ケース(1) |
リート価格上昇による利益 |
オプション・プレミアムによる利益 |
オプションにおける支払いによる損失 |
基本的にプラス |
ケース(2) |
リート価格上昇による利益 |
オプション・プレミアムによる利益 |
損益なし |
基本的にプラス |
ケース(3) |
リート価格下落による損失 |
オプション・プレミアムによる利益 |
損益なし |
基本的にマイナス |
※上記は米国リートカバードコール戦略に関する説明の一部であり、すべてを網羅したものではありません。
※上記は米国リートカバードコール戦略の満期日の損益イメージを表したものであり、当ファンドの実際の損益を示したものではありません。また、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。
※当ファンドにおける米国リートカバードコール戦略の損益は、対象となるリートの銘柄毎に異なります。
※当ファンドにおいて、米国リートカバードコール戦略の損益は毎営業日時価評価され、日々の基準価額に反映されます。
- (出所)「DIAM米国リート・インカムプラス」の販売用資料より引用
SBI証券取扱いのカバードコール型ファンド
ここでご紹介いたしました「DIAM米国リート・インカムプラス」は原資産である米国リートのカバードコールを行いますが、他にも、通貨に対するカバードコールや、原資産と通貨の両方に対するカバードコールを行うファンドもあります。
SBI証券取扱いのカバードコール型ファンドを以下に掲載しました。ここ最近相次いで設定されてきています。これからの毎月分配型ファンドのひとつの主流となるかどうか、注目されるファンド群です。
SBI証券取扱いのカバードコール型ファンド
原資産 |
国・地域 |
カバードコールの |
銘柄名 |
基準価額 |
直近分配金 |
---|---|---|---|---|---|
株式 |
アジア |
アジア諸国・地域の株 |
6,444 |
120 |
|
オーストラリア |
豪州高配当株 豪ドル |
10,645 |
150 |
||
豪ドル |
10,635 |
120 |
|||
債券 |
トルコ |
トルコリラ |
11,106 |
90 |
|
REIT |
アメリカ |
米国リート |
10,042 |
110 |
- ※注)基準価額及び分配金は2012/12/18時点のデータ
- ※分配金等の実績は過去のものであり、将来の運用成果等を保証するものではありません。
投資信託に関するご注意事項
- 投資信託は、主に国内外の株式や債券等を投資対象としています。投資信託の基準価額は、組み入れた株式や債券等の値動き、為替相場の変動等により上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。
- 投資信託は、個別の投資信託毎にご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なります。ファンド・オブ・ファンズの場合は、他のファンドを投資対象としており、投資対象ファンドにおける所定の信託報酬を含めてお客様が実質的に負担する信託報酬を算出しております(投資対象ファンドの変更等により、変動することがあります)。
- ご投資にあたっては、目論見書や契約締結前交付書面をよくお読みください。