225先物は前週末終値比190円高(上昇率0.66%)の28,710円と3週続伸。
オミクロン株を巡る報道で一喜一憂する週となった。前の週末、米株市場では株価指数の先物やオプションなどの取引期限が重なるクアドラプル・ウィッチングにより、テクニカル要因でボラティリティーが高まりやすい背景があった。
そうした中、新型コロナウイルス変異株「オミクロン型」の各国での感染急拡大や行動規制の強化で警戒感が高まったほか、米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事が3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げを示唆するなどタカ派色を強めたこともあり、リスク回避ムードから相場は急落。
これを引き継いで週明けの225先物も620円安となり、28,000円を割り込んだ。
ただ、その後は週末まで戻りを試す展開に。海外勢のクリスマス休暇入りに伴い商いは低調が続いたが、オミクロン株の入院リスクは低いとする複数の調査報告や米国で当局が製薬会社ファイザーなどの新型コロナ経口薬の緊急使用を承認したことが安心感を誘った。こうした背景もあり、直近の下落を受けた値ごろ感からの買いや売り方の買い戻しが進んだ。
12月17日時点の裁定残高は、ネットベースで1,945億円の買い越し(前週は1,663億円の買い越し)と増加した。株数ベースでは、8,465万株の買い越しで、12月10日時点(7,857万株の買い越し)から増加している。
日経平均と裁定残(12月17日時点)
TOPIX先物では海外勢が小幅ながら買い越し
海外勢を中心にクリスマスや年末を前に休暇入りをしている投資家が多く、商いは低調が続き、目立った手口も少なかった。
ただ、TOPIX先物では、モルガンSが21日に3,000枚超、BofA証券が21日と23日にそれぞれ1,000枚超買い越し。JPモルガンも小幅ながら週間で買い越し基調となるなど、小規模ながら海外勢の買い戻し傾向が確認された。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。なお、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。なお、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末終値比1.30pt安(下落率6.47%)の18.79と低下。
週明けこそは、オミクロン株を巡る警戒感などから株式市場が急落するなか日経VIも一時大きく上昇した。
しかし、その後は、オミクロン株の入院リスクは低いとする調査報告や米国での新型コロナ経口薬の緊急使用承認を背景に相場が落ち着きを取り戻すとともに、日経VIも週末まで低下基調を辿った。
米国のVIX指数が節目の20を割ったのに併せて、日経VIも週後半には20を割り込む水準にまで低下した。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は上昇、米マイクロン決算受け半導体関連株に強い買い
NT倍率(先物)は上昇。海外勢のクリスマス休暇入りに伴う取引参加者の減少などを背景に、全般薄商いが続いた。
それでも、新型コロナウイルス変異株「オミクロン型」の入院リスクは低いとする複数の調査結果や、米食品医薬品局(FDA)が製薬会社ファイザーやメルクの新型コロナ経口薬の緊急使用を承認したことから警戒感が後退。
現物株市場では、市場予想を上回る見通しを示した米マイクロン・テクノロジーの決算をきっかけに半導体関連株に強い買いが入った。東エレクトロン<8035>などの値がさ株主導の展開となり、先物でも225型が優位の展開となった。
今週と来週の225先物は、年末にかけて堅調も、年明けは神経質な展開か。
クリスマス休暇明けで一部の海外投資家は相場に戻ってくると思われるが、既に年末年始の休暇に入っている機関投資家も多いだろう。
そのため、前週に続き商いは膨らみにくいだろうが、海外勢の一部が新年度に向けた新たな投資をしてくる可能性もある。オミクロン株を巡る懸念が大きく後退しているなか、売り方の分は悪いとみられ、薄商いのなか指数は上値を試しやすいと予想する。
一方、年明けは中国PMIや米ISM景況指数、米雇用統計など重要な経済指標が相次ぐほか、1月5日には12月開催分のFOMC議事録が公表予定。
この会合でFRBは一気にタカ派へと転換したため、利上げペースや量的緩和縮小(テーパリング)の先に控える量的引き締め(QT)についての見解を見極める必要があろう。
FRBのパウエル議長はテーパリングを終えるまで利上げはしないこと、及び利上げは経済の回復ペース次第と含みを持たせているが、ウォラー理事は3月のテーパリング完了と同時の利上げ、そして早期のQTにまで積極的な姿勢を見せている。
総じてタカ派にシフトしているFRB内でもやや姿勢の度合いには差があり、議事録においてFRBの積極性の程度を確認したい。
内容次第では再び市場が金融引き締めへの警戒感を高める可能性もあろう。今来週の225先物予想レンジは28,000-29,500円とする。
経済スケジュール(12月27日〜2022年1月9日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
---|---|---|---|---|
12月27日 | 月 | 国内 | 08:50 | 百貨店・スーパー売上高(11月) |
08:50 | 小売売上高(11月) | |||
08:50 | 日銀金融政策決定会合における主な意見(12月16、17日分) | |||
17:00 | 国債買い入れ予定(2022年1-3月、日本銀行) | |||
海外 | 10:30 | 中・工業企業利益(11月) | ||
27:00 | ブ・貿易収支(週次)(12月26日まで1カ月間) | |||
英・株式市場は休場 | ||||
香港・株式市場は休場 | ||||
12月28日 | 火 | 国内 | 08:30 | 失業率(11月) |
08:30 | 有効求人倍率(11月) | |||
08:50 | 鉱工業生産指数(11月) | |||
海外 | 21:00 | ブ・全国失業率(10月) | ||
21:30 | ブ・融資残高(11月) | |||
21:30 | ブ・個人ローン・デフォルト率(11月) | |||
21:30 | ブ・ローン残高(11月) | |||
23:00 | 米・FHFA住宅価格指数(10月) | |||
23:00 | 米・S&P/コアロジックCS20都市住宅価格指数(10月) | |||
英・株式市場は休場 | ||||
12月29日 | 水 | 海外 | 18:00 | 欧・ユーロ圏マネーサプライ(11月) |
22:30 | 米・卸売在庫(11月) | |||
24:00 | 米・中古住宅販売成約指数(11月) | |||
25:00 | 露・GDP(7-9月) | |||
12月30日 | 木 | 国内 | 大納会 | |
海外 | 21:30 | ブ・基礎的財政収支(11月) | ||
21:30 | ブ・純債務対GDP比(11月) | |||
22:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
23:45 | 米・MNIシカゴ購買部協会景気指数(12月) | |||
印・経常収支(7-9月) | ||||
12月31日 | 金 | 国内 | 株式市場は休場 | |
海外 | 10:00 | 中・製造業PMI(12月) | ||
10:00 | 中・非製造業PMI(12月) | |||
10:00 | 中・総合PMI(12月) | |||
19:30 | 印・財政赤字(11月) | |||
21:00 | 南ア・貿易収支(11月) | |||
中・経常収支(7-9月) | ||||
独・株式市場は休場 | ||||
英・株式市場は短縮取引 | ||||
米・債券市場は短縮取引 | ||||
1月1日 | 土 | 海外 | 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定発効 | |
ドイツがG7議長国に就任 | ||||
欧・欧議長国に就任(フランスが2022年上半期) | ||||
1月3日 | 月 | 国内 | 株式市場は休場 | |
海外 | 14:00 | 印・製造業PMI(12月) | ||
18:00 | 欧・ユーロ圏製造業PMI(12月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(12月) | |||
22:00 | ブ・製造業PMI(12月) | |||
23:45 | 米・製造業PMI(12月) | |||
24:00 | 米・建設支出(11月) | |||
英・株式市場は休場 | ||||
中・株式市場は休場 | ||||
1月4日 | 火 | 国内 | 09:30 | 製造業PMI(12月) |
大発会 | ||||
海外 | 10:45 | 中・財新製造業PMI(12月) | ||
16:30 | スイス・消費者物価指数(12月) | |||
17:55 | 独・失業率(失業保険申請率)(12月) | |||
24:00 | 米・ISM製造業景況指数(12月) | |||
24:00 | 米・求人件数(11月) | |||
米・自動車販売(12月、5日までに) | ||||
「OPECプラス」閣僚級会合 | ||||
核拡散防止条約(NPT)再検討会議(ニューヨーク国連本部、28日まで) | ||||
1月5日 | 水 | 国内 | 08:50 | マネタリーベース(12月) |
10:00 | 営業毎旬報告(12月31日現在、日本銀行) | |||
14:00 | 自動車販売台数(12月) | |||
14:00 | 消費者態度指数(12月) | |||
14:45 | 経済三団体記者会見 | |||
海外 | 14:00 | 印・サービス業PMI(12月) | ||
14:00 | 印・総合PMI(12月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏サービス業PMI(12月) | |||
18:00 | 欧・ユーロ圏総合PMI(12月) | |||
22:15 | 米・ADP全米雇用報告(12月) | |||
23:45 | 米・サービス業PMI(12月) | |||
23:45 | 米・総合PMI(12月) | |||
米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(12月14-15日) | ||||
1月6日 | 木 | 国内 | 09:30 | サービス業PMI(12月) |
09:30 | 総合PMI(12月) | |||
海外 | 10:45 | 中・財新サービス業PMI(12月) | ||
10:45 | 中・財新総合PMI(12月) | |||
16:00 | 独・製造業受注(11月) | |||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(12月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏生産者物価指数(11月) | |||
21:00 | ブ・鉱工業生産(11月) | |||
22:00 | 独・消費者物価指数(12月) | |||
22:30 | 加・貿易収支(11月) | |||
22:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
22:30 | 米・貿易収支(11月) | |||
24:00 | 米・ISM非製造業景況指数(12月) | |||
24:00 | 米・製造業受注(11月) | |||
米・セントルイス連銀総裁が講演 | ||||
1月7日 | 金 | 国内 | 08:30 | 東京CPI(12月) |
08:30 | 毎月勤労統計-現金給与総額(11月) | |||
08:30 | 実質賃金総額(11月) | |||
08:30 | 家計支出(11月) | |||
08:50 | 対外・対内証券投資(先週) | |||
海外 | 15:45 | スイス・失業率(12月) | ||
16:00 | 独・貿易収支(11月) | |||
16:00 | 独・経常収支(11月) | |||
16:00 | 独・鉱工業生産指数(11月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏小売売上高(11月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏消費者物価コア指数(12月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏消費者信頼感指数(12月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏景況感指数(12月) | |||
21:00 | 印・年間GDP予想(2021年4月-22年3月) | |||
22:30 | 加・失業率(12月) | |||
22:30 | 米・非農業部門雇用者数(12月) | |||
22:30 | 米・失業率(12月) | |||
22:30 | 米・平均時給(12月) | |||
29:00 | 米・消費者信用残高(11月) | |||
中・外貨準備高(12月) | ||||
米・リッチモンド連銀総裁が講演 | ||||
1月9日 | 日 | 海外 | 中・資金調達総額(12月、15日までに) | |
中・マネーサプライ(12月、15日までに) | ||||
中・元建て新規貸出残高(12月、15日までに) |
- 提供:フィスコ社