225先物は前週末終値比20円安(下落率0.07%)の29,600円と小幅反落。
週初は、米製薬会社ファイザーが開発中の新型コロナウイルス治療飲み薬の進展や議会下院がインフラ法案を可決したことが材料視され、225先物も買い先行でスタート。
ただ、3万円近くで売り圧力に押されると急失速し、結局、29,500円割れに。その後も、米長期金利の低下傾向などが相場の支援要因となったものの、手掛かり材料難のなか、中国株や香港株、時間外の米株価指数先物の下落などを受けて売りが出やすく、225先物は前週末から10日まで4日続落。この間、700円程下落した。
週後半には、10月の米消費者物価指数(CPI)が予想を大きく上回る伸びを記録したことからインフレ加速・早期利上げ懸念が再び強まり、米金利も急上昇したが、東京市場では前の日までの下落を受けた値ごろ感から、買い戻しが優勢となり、11日の225先物は190円高と反発。
週末12日には、オプションSQなどの需給イベント通過に伴うあく抜け感から、朝方から買いが先行し300円の大幅高。結局、週後半の2日間で前半の下落分をほぼ取り戻す流れとなった。
11月5日時点の裁定残高は、ネットベースで6,055億円の買い越し(前週は7,350億円の買い越し)と減少した。株数ベースでは、2億1,988万株の買い越しで、10月29日時点(2億6,467万株の買い越し)から減少している。
日経平均と裁定残(11月5日時点)
TOPIX先物では週末にかけて海外勢が買い越し
企業の7-9月期決算の発表が終盤戦に入り、先物市場の売買高は停滞気味だったため、総じて目立った手口は少なかった。差し引き1,000枚超傾けたのは225先物ではJPモルガンくらいだが、JPモルガンは9日に1,400枚超売り越した翌日には同枚数買い越した。
そのほか、裁定売りの動きからAアムロCが買い方の累計トップとなった。TOPIX先物では、裁定買いの動きからソジェンが売り方の累計トップに。ほか、週末にかけてJPモルガン、バークレイ、モルガンSが買い越しの動きを見せた。
日経225先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
TOPIX先物手口(期近) 週間累計上位15社(売り買い差し引き)
- ※各取引所より発表される売り買い上位20社のデータをもとに、売り買いの差し引き週間累計の上位順に表示してあるため、日々ベースで上位となっている証券会社でも表示されていないケースがあります。また日々発表される手口は20位以下が未発表であるため、差し引きが実際とは異なる(大きく傾いて表示される)場合があります。日々の手口は限月間スプレッドを含み、イブニング、立会外及びSGXは含んでいませんが、推定建玉はイブニング、立会外の分も加味しています。尚、推定建玉は週初一回のみ各取引所より発表される建玉残に日々の売り買い差し引き枚数を加減算した推計値となっています。
日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は前週末終値比0.44pt安(下落率2.22%)の19.35と低下した。
週末のオプションSQに向けた動きや、225先物の週間での往って来いの動きから、日経VIももみ合い様相の展開となった。
週前半は先物主導で相場が下落するなか、プット(売る権利)が買われ、日経VIの上昇につながったが、後半は、反対に買い戻しが優勢となるなか、プットの手仕舞い売りから、日経VIは低下、結局、週間でも小幅ながら低下となった。
ボラティリティ
NT倍率(先物)は低下、需給イベント通過のあく抜け感から週後半に回復
NT倍率(先物)は低下。
週初は米国での新型コロナウイルス治療薬の開発進展や下院によるインフラ法案の可決など支援要因はあったが、225先物は3万円手前に戻り待ちの売りに押される展開が続き、週半ばまでに700円程下落。短期筋主導の225先物売りからNT倍率は低下した。
ただ、週後半は10月米消費者物価指数が予想を大きくるなど波乱要素もあったが、前日までの下落による値ごろ感もあり、成長期待の高い半導体関連株など値がさ株に買いが入った。
さらに、週末にはMSCI指数構成銘柄見直しの発表や11月オプションSQといったイベント通過に伴う需給懸念の後退が買いを誘い、短期筋主導の225先物買いが入るなか、NT倍率は上昇。週前半の低下分をほぼ取り戻す流れとなった。
今週の225先物は3万円回復なるか。
前週末にかけて東京市場は全般大きく反発したが、週末の大幅高には想定外との感想をもらす関係者が多かった。
市場では、岸田政権の経済対策が徐々に具体化されてきたことや、米国で利上げ懸念が高まり米株の上値が重くなることが想定されるなか、出遅れ感のある日本株に見直し買いが入った、などといった事が理由として挙げられていた。
しかし、実際は、MSCIリバランスやオプションSQといった需給イベントが重なり、そうした要因が同時に解消されたことに伴う短期的なあく抜け感が主体と考えられる。そのため、週末の相場上昇の持続性にはやや疑念が伴う。
一方、先物手口では、週末にJPモルガンが225先物でなくTOPIX先物で大きく買い越しているため、動きの変化も感じられるが、本格的な買いシグナルかはまだ定かでない。
インフレ加速や利上げ懸念が根強く残るなか、225先物が3万円を突破し定着するには未だ材料不足と思われる。
他方、現物株市場では決算発表が一巡。週末に決算を発表した東京エレクトロン<8035>は、通期計画を市場予想を上回る水準にまで上方修正したことに加え、市況の先行きについても強気の姿勢を示した。
米国でも週後半にエヌビディアなどが決算発表を予定しており、指数寄与度の高い関連株が強含めば、先物にも散発的な買いが入り、225先物の3万円タッチも見られるかもしれない。今週の225先物予想レンジは29,250-30,000円とする。
経済スケジュール(11月15日〜11月19日)
日付 |
曜日 |
国内 海外 |
時間 |
内容 |
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11月15日 | 月 | 国内 | 08:50 | GDP速報値(7-9月) |
08:50 | GDP民間企業設備(7-9月) | |||
08:50 | GDP民間消費支出(7-9月) | |||
08:50 | GDPデフレーター(7-9月) | |||
10:00 | 黒田日銀総裁が金融経済懇談会に出席、同記者会見 | |||
13:30 | 鉱工業生産(9月) | |||
13:30 | 設備稼働率(9月) | |||
決算発表 マツキヨココカラ、リクルトH、MUFG | ||||
海外 | 10:30 | 中・新築住宅価格(10月) | ||
11:00 | 中・鉱工業生産指数(10月) | |||
11:00 | 中・小売売上高(10月) | |||
11:00 | 中・不動産投資(10月) | |||
11:00 | 中・固定資産投資(都市部)(10月) | |||
11:00 | 中・調査失業率(10月) | |||
11:30 | タイ・GDP(7-9月) | |||
15:30 | 印・卸売物価指数(10月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏貿易収支(9月) | |||
20:30 | 印・貿易収支(10月) | |||
22:30 | 米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(11月) | |||
米・レモンド商務長官がアジア歴訪(15日日本、16-17日シンガポール、18日マレーシア) | ||||
米・キャサリン・タイ通商代表部(USTR)代表が日本など歴訪(15日日本、18日韓国、22日インド) | ||||
米・証券取引委員会(SEC)への13F届け出期限 | ||||
中・北京証券取引所が開業 | ||||
アブダビ国際石油展示会・会議(ADIPEC、18日まで) | ||||
決算発表 ウィーワーク | ||||
11月16日 | 火 | 国内 | 13:30 | 第3次産業活動指数(9月) |
海外 | 16:00 | 英・失業率(10月) | ||
16:00 | 英・ILO失業率(3カ月)(9月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏GDP改定値(7-9月) | |||
20:00 | ブ・FGV消費者物価指数(IPC-S)(10月15日まで1カ月間) | |||
20:00 | ブ・FGVインフレ率(IGP-10)(11月) | |||
20:25 | ブ・週次景気動向調査 | |||
21:00 | ブ・経済活動(9月) | |||
22:00 | ハンガリー・中央銀行が政策金利発表 | |||
22:30 | 米・輸入物価指数(10月) | |||
22:30 | 米・小売売上高(10月) | |||
23:15 | 米・鉱工業生産指数(10月) | |||
23:15 | 米・設備稼働率(10月) | |||
24:00 | 米・企業在庫(9月) | |||
24:00 | 米・NAHB住宅市場指数(11月) | |||
27:00 | ブ・貿易収支(週次)(先週) | |||
30:00 | 米・対米証券投資収支(ネット長期TICフロー)(9月) | |||
米・地区連銀(リッチモンド、カンザスシティー、アトランタ、ミネアポリス)総裁が人種差別関連オンラインイベントに参加 | ||||
米・サンフランシスコ連銀総裁が講演 | ||||
米・フィラデルフィア連銀が年次フィンテック会議(17日まで) | ||||
国際エネルギー機関(IEA)月報 | ||||
決算発表 ホーム・デポ、ウォルマート | ||||
11月17日 | 水 | 国内 | 08:50 | 貿易収支(10月) |
08:50 | 輸出(10月) | |||
08:50 | 輸入(10月) | |||
08:50 | コア機械受注(9月) | |||
10:10 | 国債買い入れオペ(残存1-3年、残存5-10年、残存25年超)(日本銀行) | |||
海外 | 16:00 | 英・消費者物価コア指数(10月) | ||
16:00 | 英・生産者物価産出指数(10月) | |||
19:00 | 欧・ユーロ圏CPI(10月) | |||
22:30 | 米・住宅着工件数(10月) | |||
22:30 | 米・住宅建設許可件数(10月) | |||
22:30 | 加・消費者物価指数(10月) | |||
米・ボウマン連邦準備制度理事会(FRB)理事がダラス連銀主催円卓会議で講演 | ||||
米・クリーブランド連銀総裁とウォラーFRB理事が会議で講演 | ||||
米・ニューヨーク連銀主催の米国債市場関連会議(同連銀総裁やサンフランシシコ連銀総裁が参加) | ||||
米・シカゴ連銀総裁がQ&Aに参加 | ||||
米・アトランタ連銀総裁がオンライン会議で閉会の挨拶 | ||||
米・ロサンゼルス自動車ショーのプレスデー(18日まで、一般公開は19-28日) | ||||
欧・欧州中央銀行(ECB)が金融安定報告公表(暫定日程) | ||||
決算発表 百度、エヌビディア、シスコシステムズ | ||||
11月18日 | 木 | 国内 | 08:50 | 対外・対内証券投資(先週) |
14:00 | 首都圏新築分譲マンション(10月) | |||
GRCSが東証マザーズに新規上場(公開価格:3600円) | ||||
海外 | 16:00 | フィリピン・中央銀行が政策金利発表 | ||
16:00 | 欧・ユーロ圏新車販売台数(10月) | |||
16:20 | インドネシア・中央銀行が政策金利発表 | |||
17:00 | ブ・FIPE消費者物価指数(週次)(11月15日まで1カ月間) | |||
20:00 | トルコ・中央銀行が政策金利発表 | |||
22:30 | 米・新規失業保険申請件数(先週) | |||
22:30 | 米・フィラデルフィア連銀製造業景況指数(11月) | |||
24:00 | 米・景気先行指数(10月) | |||
南ア・南アフリカ準備銀行(中央銀行)が政策金利発表 | ||||
米・カナダ・メキシコ首脳会議 | ||||
米・アトランタ連銀総裁がオンライン会議で講演 | ||||
米・シカゴ連銀総裁がQ&Aに参加 | ||||
米・サンフランシスコ連銀総裁が連邦準備制度のイベント参加 | ||||
ゲオルギエバ国際通貨基金(IMF)専務理事がフォーラムで討論参加 | ||||
決算発表 アリババ、アプライド、JDドットコム | ||||
11月19日 | 金 | 国内 | 08:30 | 消費者物価コア指数(10月) |
政府が経済対策取りまとめ | ||||
AB&Companyが東証マザーズに新規上場(公開価格:1490円) | ||||
決算発表 東京海上H、SOMPO、MS&AD | ||||
海外 | 16:00 | 英・小売売上高指数(10月) | ||
18:00 | 欧・ユーロ圏経常収支(9月) | |||
22:30 | 加・小売売上高(9月) | |||
米・ウォラーFRB理事が講演 | ||||
米・クラリダFRB副議長がサンフランシスコ連銀のイベントで講演 |
- 提供:フィスコ社